夏目漱石

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坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第34話

自分たちが今ごろ飛び込んだって、「乱暴者だ」と言われて途中で遮られるだけだ。理由を話して面会を求めても、いないと逃げるか、別室へ案内されて終わりだ。不用意に踏み込んだところで、数十とある座敷のどこにいるかなんてわかるはずがない。退屈でも出て...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第33話

とにかく、家でもう一度考え直してみてくれ」考え直すと言われても、変えようのない明々白々な理由だが、狸が青くなったり赤くなったりして、なんだかかわいそうになってきたので、ひとまず考え直すことにして引き下がった。赤シャツには一言も口をきかなかっ...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第32話

用心しないとやられるぞ」と忠告してきた。「どうせ臭い奴だろうが、今日から急に臭くなったわけじゃないだろ」と返すと、「お前、まだ気づかないのか。昨日わざわざ俺たちを誘い出して、喧嘩の真っ只中へ引きずり込んだのは、あいつの策略なんだよ」と教えて...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第31話

山嵐はどうしたかと見回すと、紋付の羽織をズタズタにされて、向こうで鼻を拭いている。鼻の頭を殴られて、ずいぶんと出血したらしい。鼻が腫れ上がって真っ赤になっていて、ひどく見苦しい。俺は絣(かすり)の着物を着ていたから泥だらけにはなったけれど、...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第30話

今度は「陸海軍万歳」と赤地に白く染め抜かれたものが風に揺られて、温泉の町から相生村の方へ飛んでいった。たぶん観音様の境内にでも落ちたことだろう。式の最中はそれほどでもなかったが、今はとんでもない人出だ。田舎にもこんなに人間が住んでいたのかと...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第29話

清が心配している気持ちは分からないでもないけれど、清の注文通りに手紙を書くのは、三週間も断食するより苦しい。おれは筆と巻紙を放り出して、ごろりと横になり、肘をついて庭のほうを眺めてみたけれど、やっぱり清のことが気にかかる。その時、おれはこう...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第28話

十今日は祝勝会で学校は休みだ。練兵場で式があるというので、校長(タヌキ)は生徒を引率して参列しなければならない。おれも職員の一人として、その後ろについて行くことになった。町へ出ると日の丸だらけで、目が眩むほどだ。学校の生徒は八百人もいる。体...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第27話

それで演説ができないなんて不思議だ」「なに、これは喧嘩のときに使おうと思って、用心のために取っておく言葉さ。演説となっちゃ、こうは出てこない」「そうかな、しかしペラペラ出るじゃないか。もう一遍やってみたまえ」「何遍でもやるさ、いいか。『――...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第26話

後で調べてみたら、瀬戸で作られる焼き物だから「瀬戸物」と呼ぶのだそうだ。俺は江戸っ子だから、陶器全般のことを瀬戸物というのだとばかり思っていた。床の間の真ん中には大きな掛け軸がかかっていて、俺の顔くらいの大きさの字が二十八文字も書かれている...
坊つちやん

初級翻訳・坊つちやん 第25話

最近は学校へ来てその一銭五厘を見るのが苦になるくらい嫌だったんだ」と言うと、山嵐は「君はよっぽど負け惜しみの強い男だな」と言うので、「君こそよっぽど強情っぱりだ」と答えてやった。それから二人の間でこんな会話が始まった。「君は一体どこの出身だ...
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