初級翻訳・罪と罰 第21話

ドストエフスキー

「ほら」と彼はポケットを探り、二十カペイカを取り出しました。ちょうど持ち合わせがあったのです。
「これで辻馬車でも拾って、家まで送ってやってください。
住所さえ分かればいいんですがね」
「お嬢さん、お嬢さん!」巡査は金を受け取ると、再び呼びかけました。
「すぐに馬車を呼んで、家まで送り届けましょう。どちらにお住まいです? ええ? どこに住んでいるんですか!」
「あっちへ行って……うるさいわね……」と娘はつぶやき、またしても手を振って追い払おうとしました。
「いやはや、これは困ったな! こんな若いお嬢さんが、なんて恥ずかしい姿なんだ! 本当に、なんという恥さらしなことか!」と彼は自分でも恥ずかしさを感じ、哀れみ、憤りを感じながら、またしても首を振りました。
「どうしたものかな!」と彼はラスコーリニコフの方を向きましたが、その拍子に相手の身なりを足の先から頭のてっぺんまで、じろじろと見回しました。
こんなボロ服を着ているくせに、自分から金を出したことが、きっと不思議でならなかったのでしょう。
「あなたは、この二人を遠くから見つけたのですか?」と巡査が尋ねました。
「僕が言っている通りですよ。この娘はすぐそこの並木道で、僕の前をふらふらと歩いていたんです。
それがベンチに着くやいなや、いきなりバタリと倒れ込んでしまったんですよ」
「いやはや、今の世の中はなんてひどいことが行われているんだ! どこにでもいそうな娘のくせに、もうこんなに酔っ払っているなんて! 誘惑されたんだ、それも一目瞭然だ! やれやれ、この服の破れといったら……ああ、なんて堕落した世の中になったものか!……育ちは良さそうだが、きっと落ちぶれた家の子なんだろう……近ごろは、こういうのが本当に増えた。様子を見るに、きゃしゃな育ちのようだし、どう見てもお嬢さんなんだがなあ」

彼はまた娘の方へかがみ込みました。
もしかすると彼自身にも、この年頃の娘がいるのかもしれません――『お嬢さんのようにきゃしゃな育ちらしい』、上流階級の真似事をして流行を追いかけるのが好きな娘が……。
「何よりもまず」とラスコーリニコフは一人で焦りながら言いました。
「なんとかして、あの悪党に渡さないことです! もう分かり切っています、あいつは必ずこの娘をさらにひどい目に遭わせるはずです! あいつが何を企んでいるか、見ていれば手に取るように分かります。どうです、あの悪党、どうしても離れようとしない!」

ラスコーリニコフは大きな声でこう言い、まっすぐに男を指差しました。
相手の男はそれを聞くと、また怒り出しかけましたが、思い直したのか、ただ軽蔑するような視線を投げかけるだけで我慢しました。
それから、ゆっくりと十歩ほど脇へ移動し、また立ち止まりました。「あの男に渡さないようにすることは、なんとかできるだろう」と、元下士官の巡査は考え深そうに答えました。
「ただ、どこへ送り届ければいいのか、それさえ言ってくれればいいんだが。それが分からないと……お嬢さん、もし、お嬢さん!」と、彼はまた娘にかがみ込みました。
娘はふいに目をぱっちりと開いて、じっと注意深く二人を見つめていましたが、やがて何かを理解したのか、ベンチから立ち上がると、もと来た道の方へふらふらと戻り始めました。
「ちょっと、恥知らずめ、まだうるさくつきまとってるのね!」と彼女はまた片手をヒラヒラと振りながらつぶやきました。
そして、すたすたと歩き出しましたが、さっきと同じように、ひどくよろよろとしています。
洒落者の男は並木道の反対側を歩きながら、娘から目を離さずにあとをつけていきました。
「ご心配には及びません、けっしてあの男には渡しませんよ」と、ひげの巡査はきっぱりとした口調で言うと、二人のあとを追いかけました。
「いやはや、なんて堕落した世の中になってしまったんだ!」と彼はため息をつきながら、また独り言のように繰り返しました。

この瞬間、ラスコーリニコフは、まるで心臓をちくりと刺されたような気分になりました。
一瞬のうちに、彼の気持ちはガラリと裏返ってしまったのです。
「おーい、もしもし!」と彼は後ろから巡査に声をかけました。
巡査が振り返ります。
「よしたまえ! それが君にとって一体なんなんだ? 放っておけよ! 勝手に楽しませておけばいいじゃないか」と、彼は洒落者の男を指さして言いました。
「君に何の関係があるっていうんだ?」
巡査はわけが分からず、目を丸くして彼を見つめました。
ラスコーリニコフは笑い出しました。
「ったく!」巡査は片手を大きく振ると、そう言い捨てて洒落者と娘のあとを追いかけていきました。
たぶんラスコーリニコフのことを、頭がおかしいか、あるいはそれ以下の人間だと思ったのでしょう。

「俺の二十カペイカを持って行きやがったな」
一人ぼっちになると、ラスコーリニコフは毒づくように言いました。
「まあいい、あの男からも金を巻き上げればいいんだ。そして娘をあの男に渡してやれ。それで一件落着だ……。どうして俺はあんなに正義ぶって、余計な口出しをしたんだろうな! 俺なんかが人を助ける柄か? 俺に誰かを救う権利があるのか? なあに、やつらはお互いに食い合って生きればいいんだ――俺には関係のないことさ。それに、どうして俺はあの二十カペイカをやってしまったんだ、罰当たりな。そもそも、あれは俺の金だったのか?」

そんな奇妙なことを口にしながらも、彼は苦しくてたまりませんでした。
彼は取り残されたベンチに腰を下ろしました。
頭に浮かぶ考えはバラバラで……そもそも、今の彼にとって何かを考えるということ自体が苦痛でした。
できることなら、何もかも忘れて意識を失ってしまいたかった。
すべてを忘れて眠り、それから目を覚まして、何もかもを新しくやり直したかったのです……。

「可哀想な娘だ!」がらんとしたベンチの片隅を眺めながら、彼はつぶやきました。
「正気に戻って、少しばかり泣いて、やがて母親に知られるだろう……。最初は少し叩かれるかもしれないが、しまいには鞭でお仕置きをされて、恥ずかしくて耐えられないような折檻を受けたあげく、最悪の場合は家を追い出されるかもしれない。
よし、追い出されなかったとしても、どうせダーリヤ・フランツォヴナ(女衒の女)みたいな連中が嗅ぎつけて、やがて娘はあちらこちらに出没し始める……その果てには、すぐに病院行きだ。(こういうのは、とても潔癖な母親のそばで暮らしながら、こっそり悪さをする連中にありがちなことだ)。
さて、その次は……その次はまた病院だ……酒だ……酒場だ……それからもう一度病院だ……二、三年も経てば――体はボロボロで、彼女の生涯なんてせいぜい十九か、十八歳が限界だろう……。俺はこれまでにもそんな女を何人も見てきた。彼女たちはどうしてそうなったんだろう? いや、みんなああいう風にしてそうなっていくんだ……ちぇっ! 勝手にしろだ! それが必然の出来事なんだからな。
年々、一定の割合でこういう人間が出てこなければならないんだ……なんのために? 悪魔にでも食わせるためだろう、他の連中を浄化して、邪魔をさせないためだろうよ。

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