初級翻訳・罪と罰 第105話

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やつらに言う口実は、ちゃんと心得てるぞ……だが、貸間の一件まで知っているだろうか? それを突き止めるまでは帰らないぞ! なんのためにここまで来たんだ? ところで、今おれはこんなにじりじりしているが、この落ち着かない様子こそが、かえって『事実』らしく見えるのかもしれない! くそっ、おれはなんて短気なんだ! だが、これもかえっていいかもしれない。

病気という役割を演じているんだからな……やつはおれに探りを入れてくるだろうし、おれをまごつかせようとするはずだ。

ああ、おれはなんのためにこんなところへ来たんだ?」

こうしたいっさいの考えが、稲妻のごとく彼の頭の中を駆け巡りました。

ポルフィーリイ・ペトローヴィッチが、すぐにもどってきました。彼はなんだか急にうきうきしている様子です。

「僕はね、昨日の君の宴会以来、どうも頭が……それに体じゅうが、なんだかぜんまいが緩んだような具合でね」と、彼は先ほどとは打って変わった調子で、笑いながらラズーミヒンに話しかけました。

「で、どうだった、面白かったかい? 何しろ僕はちょうど興が乗ってきたところで抜けちゃったもんだから! で、結局誰が勝ったんだい?」

「もちろん、誰も勝ちゃしないさ。永遠に終わりのない問題を追いかけて、空を駆け回ったようなものだ」

「おい、ロージャ、昨日われわれがどんな問題と格闘したと思う? 『犯罪が存在するかどうか』という問題なんだぜ。しまいには、とてつもない迷論になっちまったのさ!」

「何も不思議はないだろう? ありふれた社会問題だよ」と、そわそわした調子でラスコーリニコフが答えました。

「問題の立て方がそんな単純なものじゃなかったんだ」ポルフィーリイが注意を促しました。

「形は多少ちがう、それはまさにその通りだ」ラズーミヒンはいつものくせで咳き込み、熱くなりながら、すぐにこう同意しました。

「いいか、ロージャ、一つ聞いてくれ。君の意見がぜひとも聞きたいんだ。昨日は僕も彼らを相手に必死になって戦って、君が来るのをずっと待っていたんだよ。皆に君が来るって話していたからな……まず最初は社会主義の見地から始まったのさ。その見地たるや周知の通り、犯罪というのは社会制度の不備に対する抗議だというわけだ――ただそれだけで、それ以外には何の原因も認めないんだ。まるで、他の理由などありえないと言わんばかりに!」

「またデタラメを言ってる!」とポルフィーリイが叫びました。彼は目に見えて活気づいています。そして、ひっきりなしに笑いながらラズーミヒンの顔をのぞき込み、ますます彼を焚きつけるのでした。

「いっさい認めないんだ!」ラズーミヒンは躍起になって遮りました。「デタラメなんかじゃない!……なんならあの連中の本だって見せてやれる。あの連中に言わせれば、犯罪なんてすべて『環境に蝕まれた』結果だというんだ――それ以外には何もありゃしない! いつもの決まり文句さ。それを突き詰めていくと、『もし社会が正しく組織されたら、すべての犯罪も一度に消滅してしまう』という結論になるんだよ。なぜなら、抗議の理由がなくなり、すべての人がたちまち立派な人間になってしまうからだ、とな。自然の摂理なんてものは計算に入っちゃいない。自然は迫害され、無視されている。彼らに言わせると、人類は歴史という生きた過程を最後まで歩んでノーマルな社会になるのではなく、その逆で、数学的な頭脳から導き出された『社会システム』が、一瞬のうちに全人類を組織し、歴史的な過程などすっ飛ばして、正しい社会に変えてしまうんだそうだ! だからこそ、彼らは本能的に歴史というものが嫌いなのさ。

『歴史なんてものは醜悪で愚劣なものだ』と言って、すべてを愚かさだけで片付けている! だからこそ、人生の生きた過程を好まないし、生きた魂など不要だと言うんだ! 生きた魂は生命を要求し、機械的な法則には従わない。生きた魂はうさんくさく、時代遅れだと彼らは言う。ところが、社会主義的な社会の人間は、少しばかり死人の臭いはするけれど、ゴム人形のように作ることができる――しかし、その代わり生きていない、意志もない、奴隷と同じで反逆もしない! 結果として、共同宿舎の煉瓦を積んだり、廊下や部屋の間取りをどうするかといった、そんなことばかりに話が簡略されてしまった! しかし、共同宿舎はできたとしても、そのための『人間性』という土台がまだ出来上がっていないんだ!」「命がほしい、まだ生きる過程を終えていないんだ、墓場へ行くのはまだ早いぞ! と、そう叫ぶわけさ。

ただの理論だけで、自然の摂理を飛び越すことなんてできない! 理論というのは三つくらいのパターンしか予測できないけれど、実際には無数の可能性があるんだからね。その無数のケースを切り捨てて、すべてを『快適さ』という一つの問題に押し込めてしまうなんて、問題を解決するのにこれほど楽な方法はないよ。人をだますには十分なくらい分かりやすいし、考える手間もいらないからな! ここが肝心なんだ――考える手間がいらないってところがね! 人生のあらゆる秘密だって、たった三十二ページの冊子に書き切れてしまうってわけさ!」

「おっと、火がついたぞ! 止まるところを知らないな。誰かこいつの手でも押さえてやらなきゃいかんな」と、ポルフィーリイは笑いました。

「ねえ、どうでしょう」と、彼はラスコーリニコフの方に向き直りました。

「昨夜もまったくこの調子だったんですよ。六人が声をそろえてね……しかも、その前にみんなでパンチ酒を飲んでいるんですから……どういう雰囲気だったか想像できるでしょう? ところで君、それは違うよ。でたらめだ。

『環境』というものは、確かに犯罪に対して大きな意味を持っている。

これは僕が証明して見せよう」

「大きな意味を持っているくらい、僕だって知っているさ。

じゃあ一つ、僕の質問に答えてみてくれ。

四十過ぎの男が十歳の女の子を襲ったとしたら……それも、環境がそうさせたっていうのかい?」

「いや、それは厳密な意味でいえば、やはり環境のせいだとも言えるよ」と、ポルフィーリイは驚くほど真面目な口調で言いました。

「幼い少女に対するその種の犯罪も、もちろん、もちろん『環境』で説明ができるよ」

ラズーミヒンは、もう我を忘れて夢中になりかけていました。

「よし、望むなら今すぐにでも論証してやるぞ」と彼はわめき立てました。

「君のまつ毛が白いのは、他でもない、イヴァン大帝の鐘楼(クレムリンにある大鐘の塔)の高さが三十五間(約六十三メートル)あるからだっていう理屈を、明快に、的確に、進歩的に、いや、それどころかリベラリズムの匂いさえ漂わせて証明して見せようか? いいか、やるぞ! なんなら賭けてもいい」

「よしきた! さあ、どんな風に論証するのか、一つ聞かせてもらおうじゃないか!」

「ええ、くそっ、どこまでもしらばっくれやがって、このやろう!」とラズーミヒンは叫び、飛び上がらんばかりに片手を振りました。

「まったく、きみなんかと議論するだけ無駄だよ! あいつはね、ロージャ、みんなわざとやってるんだ。

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