初級翻訳・罪と罰 第106話

ドストエフスキー

君はまだこの男をよく知らないんだよ! 昨日だって、みんなをからかいたい一心で、あいつらの肩を持ったんだ。

ああ、昨日のこの男の言い草といったら! しかも、あいつらはそれを真に受けて喜んでるんだからな……。この男は、こんな調子で二週間くらいは平気でしらばっくれるぞ。

去年も、なんの理由だか知らないが、坊主になるなんて言い出して、僕らを信じ込ませてさ、二ヶ月も強情を張り通したんだ! ついこの間だって、『俺は結婚する、式の準備も完璧だ』なんて言うから、僕らも本当に心からお祝いを言ったんだよ。

ところが、花嫁なんてどこにもいないし、そんな気もさらさらなかった。何もかもが蜃気楼だったのさ!」

「ほら、でたらめだ! 服はその前にこしらえていたんだよ。

新調した服ができたから、君たちをかついでやろうといういたずら心が起きただけさ」

「あなたは、実際にそんなに白を切るのが得意なんですか?」とラスコーリニコフは無造作に尋ねました。

「あなたは違うと思っていたんですか? 待っていてください、そのうちあなたにも一杯食わせてあげますからね――は、は、は! いや、実はね、あなたに包み隠さず話してしまいましょう。

犯罪とか、環境とか、女の子の問題に関連して、今ふと思い出したんですが――いや、実は以前からずっと興味を持っていたんですよ。あなたが書いたあの論文のことです。

犯罪について……とかいう題名だったかな、正確には覚えていませんが、二ヶ月ほど前に『定期新聞』で拝見する栄誉にあずかりました」

「僕の論文が? 『定期新聞』に?」と、ラスコーリニコフは驚いて問い返しました。

「僕は半年ほど前、大学を辞める時にある本について論文を一つ書きましたが、その時は『週刊新聞』に持っていったんです。『定期新聞』じゃありませんよ」

「ところが、『定期新聞』に載ったんですよ」

「ああ、なるほど……『週刊新聞』が廃刊になったので、その時は掲載されなかったんです」

「その通りでしょうが、『週刊新聞』は廃刊と同時に『定期新聞』と合併したんです。だからあなたの論文も二ヶ月前に『定期新聞』に載ったというわけです。

いったい、ご存じなかったのですか?」

ラスコーリニコフは、本当にそのことを少しも知りませんでした。「いやいや、冗談じゃない。あなたは原稿料だって請求できるくらいなんですから! それにしても、あなたという人はなんて性格なんでしょう。自分自身に関することなのに、それすら知らないなんて、世間からどれだけ離れて暮らしているんですか。これは紛れもない事実ですよ」

「すごいぞ、ロージャ! 僕もその記事のことは全然知らなかったよ!」ラズーミヒンは叫びました。

「さっそく今日、図書館に行ってその号を借りてこよう! 二ヶ月前だね? 日付はいつだったかな。いや、まあいいや、とにかく探し出してやる! こいつは面白いことになったぞ! それなのに、君は一言も言わないんだからな!」

「でも、どうしてあれが僕の書いたものだと分かったんですか? イニシャルだけで署名していたはずなのに」

「ふとしたきっかけでね。しかも、つい二、三日前のことですよ。編集者から聞いたんです。知り合いなものでね……。非常に興味を惹かれましたよ」

「確か僕は、犯罪が実行されるまでの全過程における、犯人の心理状態を考察したつもりでしたが」

「その通りです。そして、犯罪という行為は常に病的な状態を伴うものだと主張されていましたね。実に、実に独創的な意見です。しかし……私が興味を抱いたのは、あなたの論文のその部分ではなく、結末の方に少しだけ触れられていた一つの感想なんです。ただ、残念なことに、そこは暗示的に書かれているだけで、少し分かりにくい……。一口に言えば、お覚えでしょうか。世の中には、あらゆる不法や犯罪を行える人間……いや、行えるどころか、それを行う絶対的な権利を持っているある種の人々が存在していて、彼らのためには法律などあってないようなものだ――という事実に触れた箇所のことです」

ラスコーリニコフは、自分の思想をわざと大げさに歪められたことに気づき、ニヤリと薄笑いを浮かべました。

「ねえ、なんだって? 犯罪に対する権利だって? じゃあ『環境にむしばまれた』からじゃないっていうのかい?」ラズーミヒンは何だかおびえたような表情を見せながら尋ねました。

「いや、いや、そうとは言い切れないよ」とポルフィーリイは答えました。

「問題はだね、この人の論文によれば、あらゆる人間が『凡人』と『非凡人』に分かれるという点なのさ。凡人は常に服従を美徳としていて、法律を破る権利なんか持っていない。だって、彼らは凡人だからね。ところが非凡人は、まさにその非凡人であるがゆえに、どんな犯罪でも犯せるし、どんな法律でも踏み越える権利がある。確かそうでしたよね、私が誤解していなければ?」

「一体どうしてそんなことになるんだ? そんなのあり得ないだろう!」ラズーミヒンは納得がいかない様子でつぶやきました。

ラスコーリニコフは再びニヤリと笑いました。彼は相手が自分をどこへ引きずり出そうとしているのか、その真意がどこにあるのかを瞬時に見抜いたのです。彼は自分の論文の内容を思い出し、いよいよ挑戦を受ける決意をしました。

「僕が書いたのは、そこまで極端なことじゃないんですよ」彼は率直でつつましい口調で話し始めました。「もっとも、正直なところ、あなたはあの内容をほとんど正確に説明してくれました。いや、むしろ『完全に正確』と言ってもいいくらいです。(……彼は『完全に正確だ』と認めるのが、実は少し心地よかったのです)。ただ唯一の大きな違いは、これです。僕は決して、あなたがおっしゃるように『非凡人は何が何でも、どんな不法も行わなければならない、必ずそうすべきだ』と主張したわけじゃないんです。そんな内容だったら、発表することすら許されなかったでしょう。僕はただ、次のようなことを暗示しただけなんです。つまり『非凡人』は、ある種の障害を乗り越えることを、自分の良心に許す権利を持っている……といっても、公的に認められた権利というわけではありませんがね。ただし、それは自分の思想――時には全人類を救うような重大な思想――を実行するために、どうしてもそれが必要な場合に限るのです。あなたは僕の論文が分かりにくいとおっしゃいましたが、それならできるだけ詳しく説明する手間を惜しみません。あなたもそれを望んでいるんでしょう? そう考えて間違いありませんね。なら、やりましょう。僕の考えでは、もしケプラーやニュートンの発見が、ある事情の積み重ねによって、一人や十人、あるいは百人以上の邪魔者の命を犠牲にしなければ世に認められないのだとしたら、その場合、ニュートンは自分の発見を全人類に広めるために、その十人や百人の人間を取り除く権利があるはずだ、ということなんです」いや、それどころか、そうしなければならない義務があるくらいですよ……。ですが、だからといってニュートンが誰彼かまわず手当たり次第に人を殺したり、毎日市場で泥棒を働いたりする権利を持っていた、なんて結論には決してなりません。

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