初級翻訳・罪と罰 第76話

ドストエフスキー

夫に水を飲ませたり、額の汗や血を拭ってやったり、枕を直してやったりと、カチェリーナはせわしなく世話を焼いていました。僧侶と話をしていたかと思えば、突然、我を忘れたかのように、彼女は僧侶に食ってかかりました。

「ええ、神父さん! そんなのただの言葉です。言葉だけですよ! 許すだなんて! もし今日こうしてひかれなかったら、あの人はまた泥酔して帰ってきたはずです。ぼろぼろのシャツの上に、さらに古着を重ねて、正体もなく床に倒れ込んでいたでしょう。
その間、わたしは夜が明けるまでせっせと水を汲んできては、あの人や子供たちの古着を洗い、窓の外に干して、夜が白みかける頃には座り込んでほころびを繕わなきゃいけない。これがわたしの夜なんです!……これでも許せなんて言えるんですか! もう十分すぎるほど許してきましたよ!」

恐ろしいほどの激しい咳が、彼女の言葉を遮りました。カチェリーナは片手で苦しげに胸を押さえ、もう片方の手で持ったハンカチに血を吐き出しました。彼女はそれを僧侶の目の前に突き出しました。ハンカチは一面、真っ赤に染まっていました。僧侶は黙ったまま、ただ頭を垂れました。

マルメラードフは死の苦しみにあえいでいました。彼は、身を乗り出して世話を焼く妻の顔から、一瞬たりとも目を離しませんでした。何か言いたくてたまらない様子で、一生懸命に舌を動かし、聞き取れないような声で何かを切り出そうとしました。カチェリーナは夫が許しを請おうとしていることに気づき、すぐさま命令するように叫びました。

「黙ってて! 言わなくていいの! 何を言いたいのか分かってるから……」

病人は口をつぐみました。しかしその時、力のない視線が戸口の方へ落ち、彼はソーニャを見つけました。それまで彼は娘の存在に気づいていなかったのです。彼女は隅っこの物陰に立っていました。

「あれは……あれは誰だ?」

彼は突然、息を切らしたしゃがれ声で言いました。全身に不安の色を浮かべ、恐ろしげな目で娘のいる戸口を指さしながら、起き上がろうともがきました。

「寝てて! じっとしてて!」

カチェリーナが叫びましたが、夫はまるで超自然的な力でも得たかのように、片肘を立てました。そしてしばらくの間、まるで娘が誰なのか分からないかのように、怪訝な表情でじっとその顔を見つめていました。それもそのはず、彼は娘のそんな派手な服装を一度も見たことがなかったのです。

やがて、彼は娘を見分けました。虐げられ、踏みにじられた娘。けばけばしい安物の衣装を恥じ入りながら、死にゆく父に別れを告げる番を、つつましげに待っている愛娘の姿を。彼の顔には、言いようのない苦悶が浮かびました。

「ソーニャ! 娘よ! 許してくれ!」

彼は叫び、手を伸ばそうとしましたが、支えを失ってグラリと揺れると、そのまま長椅子から床へと顔から落ちました。人々が駆け寄って抱き起こし、元の長椅子に寝かせましたが、その時にはもう息を引き取っていました。

ソーニャは弱々しく「ああっ!」と叫んで、すぐさま駆け寄り、父を抱きしめたかと思うと、そのまま気を失ってしまいました。父は娘の腕の中で息を引き取ったのです。

「やっと本望を遂げたんだわ!」

カチェリーナは夫の亡骸を見て、そう叫びました。

「さあ、これからどうすればいいの! どうやってこの人を埋葬すればいいの? 明日からどうやって、あの子たちを養っていけばいいっていうの?」

ラスコーリニコフがカチェリーナのそばに寄りました。

「カチェリーナ・イヴァーノヴナ」と彼は切り出しました。「つい先週、亡くなられたご主人が僕に自分の身の上話や、ご家族のことを話して聞かせてくださいました……誓いますが、ご主人はあなたのことを、感激に近い尊敬の念をもって話しておられました。ご主人が皆さんに献身的な愛情を注ぎ、あの痛ましい病癖があったにもかかわらず、あなたを尊敬し、愛していると伺ったその晩から、僕はご主人の親友になったのです……ですから、カチェリーナ・イヴァーノヴナ、失礼ですが、今ここで……僕に友人の義務を果たさせていただけませんか。ここに……確か二十ルーブリあるはずです。もしこれが何かのお役に立てば……そうしたら……僕は……いや、いいんです、また伺います。必ず伺います……明日にも伺うかもしれません……それでは、さようなら!」

彼は足早に部屋を出て、人混みを押し分け、急いで階段へ向かいました。しかし、群衆の中で警察署長のニコジーム・フォミッチと鉢合わせました。彼はこの不慮の事故を聞きつけ、すぐさま適切に処置しようと駆けつけたところでした。署での一件以来、二人は会っていませんでしたが、ニコジーム・フォミッチは彼を見分けました。

「おや、君か?」と彼はラスコーリニコフに声をかけました。「死にました」とラスコーリニコフは答えました。
「お医者さんも、神父さんも来ました。すべて、やるべきことはきちんとおこなわれました。
どうか、あの不幸のどん底にいる奥さんを、あまり追い詰めないであげてください。
ただでさえ肺を病んでいる体なのですから。
もしできることなら、何か温かい言葉をかけて、元気付けてやってくれませんか……あなたは親切な方でしょう、知っていますよ……」
彼は署長の目をじっと見つめながら、どこか皮肉めいた笑みを浮かべて言い添えました。

「それにしても君、ひどく血だらけじゃないか」
明かりの下で、ラスコーリニコフのチョッキに生々しい血の跡がいくつもついているのを見つけ、署長が指摘しました。

「ええ、汚してしまいました……僕は血まみれなんです!」
ラスコーリニコフは何か特別な感情を込めたような表情でそう言うと、ニヤリと笑い、一つうなずいてから階段を降りていきました。

彼はまるで熱病にでもかかったかのような感覚を覚えながら、静かに階段を下りていきました。
自分でもはっきりとは意識していませんでしたが、力強く張り詰めた命の波が押し寄せ、その限りなく偉大で新しい感覚が、彼の全身を満たしていました。
この感覚は、死刑を宣告された者が、思いもよらず急に恩赦を受けた瞬間に似ている、と言えるかもしれません。

階段の途中で、家路につく僧侶が彼を追い越しました。
ラスコーリニコフは無言で会釈をし、黙ってやり過ごしました。
しかし、最後の数段を降りようとしたとき、背後から急ぐ足音が聞こえてきました。誰かが追いかけてきているのです。
それはポーレンカでした。彼女は後ろから走りながら、彼を呼び止めていました。
「ねえ、ちょっと! ねえ、待って!」

彼は振り返りました。
少女は最後の階段を駆け下りると、彼より一つ上の段に立ち止まり、すぐ目の前で顔を合わせました。裏庭からのぼんやりとした明かりが、彼女を照らしています。
ラスコーリニコフは、やせてはいるけれど愛らしい少女の顔をつくづくと眺めました。彼女は楽しげにニコニコしながら、無邪気な瞳で彼を見つめています。どうやら、自分にとってとても大切な伝言を預かって、駆けつけてきたようです。

「ねえ、ちょっと、あなたのお名前なんていうの?……それと、もう一つ――お家はどこなの?」
彼女は息を切らしながら、せきこんで尋ねました。

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