初級翻訳・罪と罰 第38話

ドストエフスキー

「あらまあ、そんなぼろきれを集めて、まるで宝物でも抱いてるみたいに寝てるなんて……」
ナスターシャはそう言って、例の神経に障るような笑い声を高く上げた。
彼は素早くそれらを外套の下へ隠すと、食い入るように彼女を見つめた。頭がぼんやりしていて冷静な判断はできなかったけれど、警察が誰かを逮捕しに来るとき、こんな風に接することはないはずだ、と直感した。

『でも……警察へ来い、とは?』
「お茶でも飲むかい? ほしいなら持ってきてあげるよ。まだ残ってるから……」
「いや……僕は行ってくる。これからすぐに出かけるんだ」彼は立ち上がりながら、そうつぶやいた。
「階段を下りるのさえ無理そうじゃないか?」
「行ってくるよ……」
「そう、好きにすればいいさ」
彼女は庭番のあとを追って、部屋から出て行った。

彼はすぐに、光の当たる場所へ飛び出して、靴下とズボンの切れ端を調べ始めた。
『シミはある。でも、それほど目立つもんじゃないな。すっかり汚れて擦り切れているから、色が褪せて見えないんだ。事情を知らない人間が見たって、気づくはずがない。ナスターシャだって、あれだけ離れていれば何も見ていないはずだ。しめた!』
その時、彼は胸を躍らせながら呼び出し状の封を切り、読み始めた。長い時間をかけて読み終え、ようやく意味を理解した。それは、今日の九時三十分、区の警察署へ出頭せよという、ごく普通の呼び出し状だった。

『一体どういうことだ? おれには警察に用なんて何もないはずだ。しかも、よりによって今日、どうしてこんなことが……』
彼は悩みと疑惑に包まれ、あれこれと考えを巡らせた。
『ああ、神様、もうこうなったら、とにかく早く終わってくれ!』
彼は思わず膝をついて祈ろうとしたが、自分で自分が笑えてきてしまった。神に祈るというより、自分自身の滑稽さを笑ったのだ。

彼は急いで着替え始めた。
『破滅するなら、いっそ破滅してやる! この靴下を履いていってやるさ!』
そんな考えが急に頭をよぎった。
『埃の中で擦り切れたら、血の跡なんて消えてしまうだろう』
しかし、それを履くやいなや、嫌悪と恐怖が襲いかかり、引きむしるように脱ぎ捨ててしまった。それでも、代わりの靴下がないことを思い出し、再び拾い上げて履いた。そして、またしてもからからと笑い出した。

『こんなことはすべて条件付きで、相対的なものだ。すべては形式にすぎないんだ』
頭の片隅でそう考えながらも、全身が震えていた。
『ほら、こうして履いてしまったぞ。結局、履いてしまったじゃないか』
そう思いつつも、すぐに笑いは絶望へと変わった。
『いや、とても耐えられない……』
そんな考えが自然と湧き上がってくる。足がぶるぶると震えた。
『恐怖のせいだ』と彼は一人ごちた。頭はぐらぐらと揺れ、熱のためにずきんずきんと痛んだ。

『これは罠だ! やつらは策略で俺をおびき寄せ、不意を突いて完全に追い詰めようとしているんだ』
階段へ出ながら、彼は独り言を続けた。
『何よりまずいのは、俺がほとんど熱に浮かされていることだ……何かうっかり、へまな口を滑らせるかもしれない』
階段に立ったとき、彼はふと、あの品々を壁紙の穴に隠したままにしてきたことを思い出した。
『もしかすると、俺が留守の間に家宅捜索をやる気かもしれない』
そう気づいて足を止めた。けれど、極度の自暴自棄と、自滅に対する自嘲の念が、ふいに彼を支配した。彼は片手をぶんぶんと振ると、そのまま先へ進んだ。
『ただ、一刻も早く終わってくれ……』

通りは相変わらず、耐え難いほどの暑さだった。この四、五日の間、雨の一滴も降らず、相変わらずの埃、煉瓦と石と石灰の匂い、安食堂や酒場から漂う臭気、絶え間なく行き交う酔っ払いやポーランドの行商人、そして半分壊れかけたような辻馬車の御者たちが、そこにはいた。太陽はぎらぎらと容赦なく彼の目を射て、物を見るのさえ痛いほどだった。頭はすっかりぐらぐらとしていた――それは、高熱に浮かされた病人が、太陽の照りつける中へいきなり外に出たときにありがちな、あの独特の感覚だった。
昨日の町へ曲がる角まで来ると、彼は胸の奥に嫌な不安を感じながら、あの家の方をちらりと見たが……すぐに視線をそらした。
『もし尋ねられたら、俺は全部話してしまうかもしれない』
警察署へ近づきながら、彼はそう考えた。
警察署は彼の住まいから四分の一露里(り)ばかり離れた、新築の建物の四階に移転したばかりだった。
もとの事務所へは、彼も以前一度だけ立ち寄ったことがあったが、それもずっと昔の話だ。
門をくぐると、右手に階段が見えた。
帳簿を小脇に抱えた百姓が一人、その階段を降りてくる。
『庭番だな。ということは、あそこが役所か』
そう判断すると、彼は誰に聞くでもなく、あてずっぽうに階段をのぼり始めた。誰かに何かを尋ねるような気力は、到底残っていなかったのだ。
『中に入ったら、いきなり膝をついて、すべてを告白してしまおう』
四階へ向かいながら、彼はそう心の中でつぶやいた。
階段は狭くて急なうえ、一面に汚れた水がこぼれていた。
この建物のアパートは、どの部屋も台所口がこの階段に向かって開いており、しかも一日中ほとんど開け放たれているため、むんむんとするような熱気が立ちこめていた。
帳簿を抱えた庭番や、巡査、そしてさまざまな用事を持った男女が、ひっきりなしに行き来している。
警察の入り口のドアもまた、大きく開け放たれていた。
彼は中へ入ると、控室で足を止めた。
そこには何やら百姓のような格好をした連中が、立ち並んで順番を待っていた。
ここの息苦しさは並大抵ではなく、そのうえ新しく塗り直した壁の、腐った油で溶いたペンキの匂いが、まだ乾ききっていないために鼻をつき、気分が悪くなるほどだった。
しばらく待ったのち、彼は思い切って、隣の部屋へ進んでみることにした。
どれもこれも、天井の低い狭い部屋ばかりだ。
恐ろしい焦燥感が、彼をなおも先へ先へと突き動かした。
周囲の誰も、彼のことなど気にも留めていない。
次の部屋には、彼よりは少しはまともな服装をした、書記官のような男たちが控えていて、せっせと書き物をしていた。
見渡す限り、みんな一癖ありそうな連中ばかりだ。
彼はその中の一人に近づいた。
「お前、何の用だ?」
彼は呼び出し状を差し出した。
「君は大学生か?」
呼び出し状をちらりと見て、相手が尋ねた。
「そうです。元大学生ですが」
書記官は好奇心を見せることもなく、じろじろと彼を見回した。
男は髪をぼうぼうに伸ばしていて、その目つきには何やら固定観念のようなものが宿っていた。
『こんなやつに聞いたって、何もわかりはしない。こんなやつには関係のないことなんだからな』
ラスコーリニコフはそう思った。
「あっちへ行け、事務官のところだ」
書記官は、一番奥の部屋を指さした。
彼は、順番からいえば四つ目にあたる、その狭い部屋へ入った。
部屋は人でいっぱいだったが、先ほどの部屋にいた連中よりは、いくらか身なりのいい人たちがいた。
客の中には、婦人が二人混じっていた。
一人はみすぼらしい喪服を着て、事務官と向かい合わせに座り、何かを口述筆記している最中だった。

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