初級翻訳・罪と罰 第176話

ドストエフスキー

「ああ、なんて苦しいんでしょう!」
ソーニャの胸から、そんな悲痛な叫びがこぼれ落ちました。
「さあ、これから僕はどうしたらいいんだ、教えてくれ!」
急に頭を振り上げ、絶望のあまり醜くゆがんだ顔を彼女に向けながら、彼は尋ねました。

「どうしたらいいって!」
そう叫ぶと、ソーニャはすぐさま椅子から飛び上がりました。それまで涙でいっぱいだった彼女の目が、急にキラキラと輝き始めたのです。
「お立ちなさい!」(彼女は彼の肩をつかみました。彼は驚きに打たれたような顔で彼女を見ながら、体を起こしました)「すぐ、今すぐ行って、四つ辻に立つんです。そして身をかがめて、まずあなたがけがした大地にキスをしてください。それから、世界じゅうの四方八方へ頭を下げて、みんなに聞こえるように大きな声で、『わたしは人を殺しました!』とおっしゃるんです! そうすれば神さまが、またあなたに新しい命を授けてくださいます。行きますか? 行きますか?」
彼女はまるで何かに取りつかれたように、全身をわなわなと震わせ、男の両手をつかんで力いっぱい握りしめ、燃えるような目で彼を見つめながら問いかけました。

彼は驚いたというより、彼女のあまりの熱意に言葉を失った様子でした。
「お前は刑務所へ行けとでもいうのかね、ソーニャ? 自首しろとでもいうの?」と彼は暗い声で尋ねました。
「苦しみを自分から受けて、それで罪を償うんです。それが必要なんです」
「いや! 僕はあんな連中のところへは絶対に行かないよ、ソーニャ」
「じゃあ、どうして、どうしてこの先どうやって生きていくつもりなんですの?」ソーニャは絶叫しました。
「そんなことが今できると思って? ねえ、お母さんにどんな顔をして会うおつもり? (ああ、あの人たちは、この先どうなるんだろう!)……まあ、わたしは何を言ってるんでしょう! あなたはもうお母さんも、妹さんも捨ててしまったんでしたわね。もうちゃんと捨ててしまったんだわ。おお、なんてことだろう!」と彼女は叫びました。
「だって、この人はもう何もかも自分で分かっているんですもの! でもどうして、どうして人間から離れて一人で生きていけますか! あなたはこれからどうなるんでしょう!」

「赤ん坊みたいなことを言うのはおよし、ソーニャ」と彼は低い声で言いました。
「いったい僕は彼らにどんな罪があるっていうんだい? なんのために自首なんかしなきゃならない? 彼らに何を言えっていうんだ? そんなことはみんな、ただの幻にすぎないよ……彼らだって、何百万もの人間を滅ぼしておきながら、それを『善行だ』と思っているんじゃないか。彼らこそごまかし者の卑劣漢だよ、ソーニャ!……僕は行かない。それに、いったい何を言うんだい? 『人は殺したが、金をとる勇気がなくて石の下へ隠しました』とでも言うのかね?」と彼は皮肉っぽく薄笑いを浮かべて付け加えました。
「そんなことをしたら、彼らは僕を笑ってこう言うだろう。『バカめ、どうして金を取らなかったんだ? 卑怯者の弱虫め!』とね。彼らはなにも、なにも分かっていないんだよ、ソーニャ。分かるだけの資格だってないんだ」「なんのために僕が行かなきゃならないんだ! 僕は行きゃしない。赤ん坊じみたことはおよし、ソーニャ……」
「あなた、お苦しみになって、お苦しみになって」死に物狂いで懇願するような表情で、彼女は彼の方へ両手を差し伸べながら繰り返しました。

「僕はもしかしたら、まだ自分で自分を中傷していただけなのかもしれないな」と彼は物思いに沈んだ様子で、暗い口調で言いました。
「もしかしたら、僕はまだ人間で、しらみじゃないのかもしれない。あまり急いで自分を責めすぎたかもしれない……僕はもう少し、闘ってみるつもりだ」
不敵な笑みが、彼の唇に浮かびました。
「そんな苦しみを抱えたまま生きていくなんて! しかも一生涯、まるまる一生涯ですよ!……」
「そのうちに慣れるさ……」と彼は、気難しく、考え込むような口調で言いました。

「実はね、話があるんだ」と彼は一分ほどして、また口を開きました。
「泣くのはもうたくさんだ、用事を済ませなきゃ。今日ここへ来たのは、僕が今、お尋ね者になっていて、捕まりそうになっているってことをお前に知らせるためなんだ……」
「ああ!」とソーニャはおびえたように叫びました。

「え、なんだってそんな声を出すんだい! お前は自分の方から、僕が懲役に行くのを望んでいるくせに、今になってそんなにびっくりするなんて? だがね、よく聞きな。僕はあんな奴らに屈しやしないから。僕はもっと闘ってやるんだ。そうすれば、奴らにはどうすることもできやしない。奴らには決定的な証拠がないんだ。昨日はとても危ない目に遭って、もうだめかと思ったくらいだが、今日はまた状況が一変したんだ。奴らの持っている証拠は、みんなどうにでも解釈できるようなものばかりさ。つまり奴らの起訴材料を、僕は自分に有利なようにひっくり返すことができるんだ。わかったかい? 本当にひっくり返してみせるよ。僕はもう要領を覚えちまった……。しかし、監獄へは必ずぶち込まれるだろうね。もしある事件が起こらなかったら、今日はもうぶち込まれていたかもしれないんだ。いや、まだ今日これからぶち込まれるかもしれない……だけど、そんなことはどうでもいいよ、ソーニャ。しばらくいたら、また出してくれるさ……だって奴らは一つだって確かな証拠を持っていないんだから。これからも出てきやしないよ。それだけはきっと約束する。ところで、今奴らが持っている程度の証拠では、人間一人を台なしにすることなんてできやしないんだ。いや、もうたくさんだ……僕はただお前に知っておいてもらおうと思ってね。妹や母にはなんとかして、二人が信じないように、びっくりしないようにするつもりだ。もっとも、こんど妹の身の上は保証されたらしいから……したがって母も同様だ……さあ、これで話はおしまい。しかしそれにしても、用心しておくれ。もし僕がぶち込まれたら、お前、監獄へ面会に来てくれるかい?」
「ええ、行きますとも! 行きますとも!」

彼らはまるで嵐の後に、ただ二人きりで荒涼とした岸辺に打ち上げられた者のように、わびしげに、悄然と並んで腰かけていました。彼はソーニャをじっと見つめていました。そして、彼女の愛がいかばかり豊かに、自分の上に注がれているかを感じました。
すると不思議なことに、彼は突然、それほどまでに愛されているということが、苦しくも切なく感じられたのです。そうだ、それは奇妙で恐ろしい感覚でした! ソーニャのところへ来るまでの道々、彼は自分の希望と救いが、すべて彼女にあるような気がしていました。彼は自分の苦しみを一部だけでも軽くしてもらうつもりでいたのですが、今や突然、彼女の心がすべて自分に向けられていることを知ると、かえって以前よりも限りなく不幸になったような気分になり、それを意識してしまったのです。

「ソーニャ」と彼は言いました。
「僕が収監されても、いっそ来てくれない方がいいな」
ソーニャは答えませんでした。彼女は泣いていました。
しばらく時間が過ぎました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました