彼女は生来、笑い上戸で快活、そして穏やかな性質でしたが、続く不幸と失敗の結果、すべての人が平和と喜びの中に暮らしてほしいと願いすぎるあまり、それを周囲に強く求めるようになっていました。そのため、生活上のほんの些細な不調和や、ちょっとした失敗でも、ほとんど狂ったような怒りの状態に彼女を突き落としてしまうのです。
今までこの上もなく輝かしい希望と空想を抱いていたかと思うと、たちまち運命を呪いながら、手当たり次第のものを引き裂いたり、投げつけたり、壁に頭をぶつけたりするようになるのでした。
アマリヤ・イヴァーノヴナも、どうしたわけか、急にカチェリーナから並外れた信頼と尊敬を勝ち得た一人でした。
それは、今回の法事が計画された際、アマリヤが心からいっさいの面倒を見ようと決心したあたりから始まったことのようでした。
彼女は食卓の準備から、テーブルクロスや食器などの手配、そして自分の台所で料理を作ることまで引き受けました。
カチェリーナはすべての全権を彼女にゆだね、留守の間のことを万事頼んで、自分は墓地へ出かけたのです。
実際、何もかも立派に準備はできていました。
テーブルはさっぱりとクロスで覆われていました。
食器、フォーク、ナイフ、杯、コップ、茶碗といったものは、もちろんいろんな間借り人から借り集めたため、形も大きさもバラバラでしたが、とにかく一定の時間にはそれぞれ各々の場所に並んでいました。
で、アマリヤは自分の役目を立派に果たしたと満足しながら、黒の服に新しい喪章をつけた室内帽子をかぶり、大めかしにめかしこんで、得意げに帰ってきた人たちを出迎えたのです。
この得意げな様子は当然のことではありましたが、なぜかカチェリーナの気に入らなかったようです。
「まるでアマリヤ・イヴァーノヴナがいなくちゃ、テーブルの支度もできないと言わんばかりの顔つきだよ、本当に!」
それから、新しいリボンのついた帽子も、やはりカチェリーナの目には気に入らないものとして映ったのでした。「もしかしてこの愚かなドイツ女は、自分がおかみさんだからといって、困っている店子にお慈悲をかけて助けてやってるんだと、鼻にかけているんじゃないかしら? お慈悲ですって? とんでもないこと! カチェリーナ・イヴァーノヴナの父親は大佐で、知事に匹敵するほどの身分だったのよ。時には四十人分もの食卓を並べたことだってあるんですから。だから、どこの馬の骨ともしれないアマリヤ・イヴァーノヴナなんかが――いや、リュドヴィーゴヴナと呼ぶべきね――そんな人間が、うちの台所に入るなんておこがましいにもほどがあるわ……」
カチェリーナは心の中でそう毒づいていました。今日こそはアマリヤをこっぴどくやっつけて、身のほどを思い知らせてやろう、そうしないとどこまで増長するかわからないと固く決心していましたが、今はまだぐっとこらえて、そっけなくあしらうにとどめておくことにしました。いざという時が来るまでは、こうした感情は口に出すまいと腹をくくったのです。
それからもう一つ、カチェリーナをイライラさせる不快な事情がありました。
それは、葬儀の場に墓地までついてきたポーランド人を除けば、招待した間借り人たちが誰一人として顔を見せなかったことです。その代わりに、法事の振る舞いには、どこから湧いてきたのか、ひどくつまらなそうで貧乏たらしい、お世辞にも人並みとは言えないような連中がぞろぞろとやって来たのです。
しかも、彼らの中で少しは分別があり、それなりの地位があるような連中は、申し合わせたように全員がすっぽかしました。
例えば、間借り人の中で一番まともそうなピョートル・ペトローヴィッチ・ルージンさえも姿を見せませんでした。
昨日の晩、カチェリーナは世界中の人たち――アマリヤやポーレチカ、ソーニャ、例のポーランド人たち――を捕まえては、あの高潔で寛大な紳士こそ先夫の友人であり、父の屋敷にも出入りしていた人物だと吹聴していたのです。さらに、彼には各方面に顔が利くから、自分に相応の年金が出るようあらゆる手を尽くしてくれるはずだと、さんざん自慢していたのでした。
ここで断っておきますが、カチェリーナが他人の地位や関係を自慢するのは、決して打算や利己的な理由からではありません。彼女は全くの無心で、ただ感情があふれ出るままに、相手を褒めちぎり、その人に一段上の価値を添えてあげたいという純粋な喜びからそうしていたのです。
ルージンに続いて、その真似をしたのか、例の鼻持ちならないやくざ者のレベジャートニコフも来ませんでした。
この男はいったい自分を何様だと思っているのでしょうか。彼こそ、ほんの慈悲で招待してやったに過ぎないのです。ルージンと同じ部屋に住んでいて、彼と知り合いだから招待しないわけにはいかなかった、ただそれだけの理由でした。
さらには、年増の娘を連れた痩せた夫人も姿を見せませんでした。その夫人はアマリヤの貸間に引っ越してきてまだ二週間ですが、マルメラードフ家で騒ぎや叫び声(特に故人が酔っ払って帰ってきた時など)が起きるたびに、何度も苦情を言いに来ていました。
そんな話はとうの昔にアマリヤを通じてカチェリーナの耳に入っています。例の夫人がカチェリーナと口論した際に、「あんたたち一家のせいで、私たちのような立派な間借り人がひどい迷惑をしている!」と、ありったけの声でわめき散らしたことがあったからです。
だからこそ、カチェリーナはわざわざ「自分たちより高貴」と自称するその夫人と娘を招待したのです。これまで道端で会うたびに、夫人は高慢な態度で顔をそむけていましたから、なおさらでした。つまり、彼女たちに「自分たちはあなた方よりもずっと高尚な考えと感情の持ち主であり、恨みなんて忘れて招待できるのよ」というところを見せつけ、自分はこんな貧しい暮らしに慣れた人間ではないのだと証明したかったのです。
食事の席で、亡き父の知事時代の話などを交えながら、そのことを彼女たちに説明するつもりでした。それと同時に、道で会った時に顔を背けるなんてバカげたことはやめなさい、とそれとなく釘を刺すつもりでもありました。
他にも、太った陸軍中佐(実は退職した二等大尉)もやって来ませんでした。
もっとも、この男については昨日の朝から「酔っ払って足が立たない」状態だということは分かっていたのですが。結局のところ、集まったのはポーランド人が一人と、脂ぎった燕尾服を着て嫌な匂いを放つ、ニキビ面で口数の少ない貧相な下っ端役人、それからもう一人、かつて郵便局に勤めていたらしいけれど、いつの頃からか何のためとも分からぬまま、誰かの情けでこのアマリヤの貸間に居候している、耳が遠くてほとんど目も見えない老人くらいなものでした。
それから、酔っ払いの退職中尉もいましたが、こいつは実は食料品局の役人で、聞くに堪えないほど無作法で傍若無人な笑い声を上げる男であり、しかも「どうだろう」なんていうチョッキすら着ていませんでした! さらに、どこの誰だか分からない男が一人、カチェリーナに挨拶もせずいきなりテーブルに着いてしまいました。
最後には、着ていく服がないからと寝間着のままやって来ようとした女までいました。
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