初級翻訳・罪と罰 第145話

ドストエフスキー

予審判事であるこの私が、ですよ! それなのに、あなたはそれになんの意味も見出そうとしない。ねえ、もし私があなたをほんの少しでも疑っていたら、こんなことができますか? 普通なら、まずはあなたの警戒心を眠らせておいて、私がすでにその事実を知っているなんてことは、おくびにも出さないはずでしょう。
あなたの注意をまるで別の方向へそらしておいて、ふいに斧の背で頭をガツンとやるように(あなたの言い方を借りれば、ですがね)、それから矢継ぎ早にこう問い詰めるはずだ。『いったいあなたは、夜の十時、いやもう十一時に近い時間に、殺人のあった部屋で何をしていたんですか? なんのために呼鈴を鳴らしたんですか? なんのために血のことを尋ねたんですか? なんのために庭番たちに変なことを言って、警察へ、それも副署長のところへ行けなどと勧めたんですか』とね。
もし私が少しでもあなたを疑っていたら、間違いなくそうやって攻め立てますよ。それから正式に証言をとって、家宅捜索をするだけでなく、状況によってはあなたを捕まえることだってあり得る……。つまり、そんな態度をとらないということは、私はあなたをまったく疑っていないという証拠なんですよ! それなのに、あなたは正しく判断する力を失っているから、繰り返し言いますが、何一つ見えていないんです」

ラスコーリニコフは全身をピクリと震わせました。ポルフィーリイは、その様子をあまりにもはっきりと見逃しませんでした。

「やっぱりあなたは嘘をついている!」ラスコーリニコフは叫びました。「あなたの狙いが何なのかはわからないけれど、あなたは嘘ばかりついているんだ……さっきあなたが言ったのは、そんな意味じゃなかった。僕が誤解するはずがない……あなたは嘘をついている!」

「私が嘘をついている?」ポルフィーリイはカッとなったのか、言葉を少し強めましたが、例の愉快そうな嘲笑(ちょうしょう)の表情は崩しませんでした。彼は、ラスコーリニコフが自分をどう思っていようと、少しも気にしていない様子です。
「私が嘘をついているですって?……では、さっき私はあなたに対してどんな行動をとったというのです(この私が、予審判事がですよ)。私は自分から進んで、あなたにありったけの弁護の理屈を教えたり、ぶちまけたりしたじゃありませんか。『病気だ、熱病の発作だ、極度の屈辱だ、憂鬱症だ、警察の連中がどうのこうの』といった心理的な言い訳まで、自分から持ち出した。え? へ、へ、へ! もっともそれは――ついでに言っておきますがね――すべて心理的な弁護法や口実、言い逃れに過ぎず、いくらでも解釈できる代物(しろもの)なんですよ。『病気、熱病の発作、うわごと、幻覚だ。覚えていない』……それは確かに事実かもしれない。しかし、その病気の時、うわごとの間に、どうして決まって都合のいい幻覚ばかり見えて、他のことは何も現れなかったのでしょう? 他のことだって幻に現れていいはずでしょう? そうではありませんか? へ、へ、へ、へ!」

ラスコーリニコフは傲然と、相手をさげすむように見つめ返しました。「要するに」彼は立ち上がりながら、その勢いでポルフィーリイを少しばかり突き飛ばすと、どこまでも自分の言い分を押し通すような強い調子で言いました。
「要するに、あなたは僕を全く疑っていないのか、それとも疑っているのか、僕はそれをはっきりさせたいんです。
どうか答えてください。
ポルフィーリイ・ペトローヴィッチ、はっきりと決定的な言葉で言ってください。さあ、早く、今すぐに!」

「いやはや、これはまた厄介なことになりましたね! やれやれ、あなたを相手にするのは本当に骨が折れますよ」ポルフィーリイは、愉快そうで、どこかずる賢い、これっぽっちも心配などしていないような顔つきで叫びました。
「それに、あなたがそんなことを知って何になるんです? まだ私からあなたに何か迷惑をかけたわけでもないのに! なんのためにそんなことをあれこれ知りたがるのですか。
まったく、あなたは子供みたいですね。
まるで『手の中に火を入れてくれ、早く入れてくれ』とせがんでいるのと同じですよ! それに、なぜそんなに心配するんです? どうして自分からそんなに押しつけがましく迫るんですか、一体なんの理由があって? え? へっ、へっ、へっ!」

「繰り返しますが」ラスコーリニコフは激しい怒りで叫びました。
「僕はもう、これ以上我慢ができません!……」
「何がですか? 正体不明の不安というやつですか?」ポルフィーリイが言葉を遮りました。
「皮肉を言うのはやめてください! 僕はもう嫌だ!……もう嫌だと言っているんです!……我慢ができない、嫌なんです!……わかりましたか! わかりましたか!」彼は再び拳でテーブルをドンと叩き、大声で怒鳴りました。

「まあ、落ち着いて、落ち着いて! 外の人に聞こえてしまいますよ! 真面目な忠告ですが、もう少し自分を大切になさい。
私は冗談を言っているわけではないんですからね!」ポルフィーリイはささやくような声で言いましたが、今度はさっきまでの女性のような優しさや、おびえたような表情はどこにもありませんでした。
それどころか、彼は眉をひそめ、すべてを隠していたベールを一気に引き裂くかのように、堂々と、厳しく命令したのです。
しかし、それはほんの一瞬のことでした。
気勢をそがれたラスコーリニコフは、すぐさま猛烈な怒りにかられましたが、不思議なことに、怒りが頂点に達しているにもかかわらず、再び「静かに話せ」という相手の命令に従ってしまったのです。

「僕は、いいように人に苦しめられたりしませんぞ!」彼は急にさっきと同じ調子でささやきましたが、命令に逆らえない自分自身に対して、苦痛と憎しみを覚え、それがまるで稲妻のように脳裏を駆け巡りました。
そしてその思いが、彼をさらに激しい怒りの渦へと突き落としたのです。
「僕を逮捕してください、家宅捜索をしてください。
しかし、やるなら正式な手続きを踏んでやってください。
人をからかうのはやめてくれ! そんな失礼な真似は断じて許しません……」

「いやいや、形式のことはご心配なく」ポルフィーリイは以前のずる賢そうな微笑を浮かべ、むしろ満足げな様子で、ラスコーリニコフの激昂する姿を見つめながら言葉を遮りました。
「私は今日、あなたを個人的にお招きしたのですから。つまりまあ、完全に友人同士の付き合いですよ!」
「僕はあなたの友情なんか望んでいない。
そんなもの、唾でも吐きかけてやりたいくらいだ! いいですか? 見ていてください、僕はこうして帽子を取って出て行くから。
おい、どうだ、捕まえるつもりなら、これに対して何と言う?」
彼は帽子をつかむと、戸口の方へ歩き出しました。

「ところで、一つ驚くようなプレゼントがあるのですが、見てみたくはありませんか?」ポルフィーリイは再び彼の肘の少し上をつかんで戸口で引き止めると、ニヤニヤと笑いました。
彼は目に見えてますます楽しげで、まるで遊んでいるかのような気分になっていったのです。
そのせいで、ラスコーリニコフはすっかり周りが見えなくなってしまいました。

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