これも皆、アンドレイ・セミョーヌイチが見ていたことです。
それから、私はあなたを戸口までお送りしました――その時もあなたはやはりもじもじしていらした。その後でアンドレイ・セミョーヌイチと二人きりになってから、十分ほど話をしました――やがて彼が出て行ったので、私は改めて紙幣の勘定を済ませ、前から考えていた通り別にしておこうと、金が置いてあるテーブルに向かったのです。ところが、驚いたことに、その中に百ルーブリ紙幣が一枚足りない。
ねえ、一つとっくりと考えてみてください。アンドレイ・セミョーヌイチを疑うことは、私にはどうしてもできません。そんなことは想像するのさえ恥ずかしいくらいです。しかし、私が勘定間違いをするということも、同様にあり得ないことです。なぜなら、あなたが来る一分ほど前に、一度すべて数え終えて、合計に間違いないことを確かめておいたのですから。ええ、あなただってこれが無理だとはお思いにならないでしょう。
あなたのもじもじした様子や、しきりに帰ろうと急いでいたこと、そしてあなたがしばらくの間、テーブルの上に手をおいておられたことを思い出して、さらにまたあなたの社会的な境遇と、それに伴う習性を考え合わせた結果、恐ろしいことではあるけれど、自分の意志に反しながらも、一つの疑念――もちろん残酷ではありますが――正当な疑念を肯定せざるを得なかったのです! もう一言、念のために付け加えておきますが、私は十分明白な確信があるにもかかわらず、この告発が私にとってやはり一種の冒険だということは、自分でも承知しているのです。けれど、ご覧の通り、私はそのままうやむやに葬ることはせず、敢然と立ち上がったのですよ」それはなぜかといえば、結局のところ、あなたという人のとんでもない恩知らずさのせいですよ! いったいどういうことですか? わたしはあなたの貧しい義母さんのことを思って、わざわざあなたをお招きし、その上、わたしとしてできる限りの親切心から、十ルーブリという大金をあなたに差し上げているのですぞ。
それなのにあなたは、その場でこんな仕打ちをして報いるというのですか! いやはや、これは実によくない! あなたには教訓が必要です。
よく分別してごらんなさい。
その上、わたしはあなたの真の友としてお願いしているのです(この瞬間、私以上の友はあなたにはいないのですから)。どうか正気に返ってください! さもないと、わたしは断固として引き下がりませんぞ! さあ、どうするつもりですか?」
「わたし、あなたのものを何も盗んだ覚えなんてありません」
ソーニャはぞっとしたように小声で言いました。
「あなたはわたしに十ルーブリくださいました。さあ、どうぞお返しします」
ソーニャはポケットからハンカチを取り出し、結び目を探してそれを解くと、十ルーブリ紙幣を取り出し、その手をルージンの方へ差し出しました。
「すると、そのほかの百ルーブリのことは白状しないというわけですな」
ルージンはその紙幣を受け取ろうともせず、責めるように、いかにも頑固な調子で言いました。
ソーニャはあたりを見回しました。
誰もかれもが恐ろしく、厳めしく、あざけるような、憎々しげな顔つきをして、彼女をじっと見つめていました。
彼女はちらりとラスコーリニコフを眺めました……彼は腕を十字に組んだまま壁際に立ち、燃えるような眼差しで彼女を見つめていました。
「ああ、なんてこと!」という叫びが、ソーニャの胸からあふれ出ました。
「アマリヤ・イヴァーノヴナ、警察へ知らせなければなりませんから、どうかご面倒ですが、今すぐ庭番を呼びにやってくださらんか」
ルージンは、静かな、愛想のいい調子で言いました。
「あらまあ、大変! わたしもあの娘が盗んだのは、ちゃんと知っていましたよ!」
アマリヤはぱっと両手を打ち鳴らしました。
「あなたもちゃんと知っていたのですか?」
ルージンは言葉尻を捕らえました。
「すると、以前からもうそんなふうに疑う根拠が、多少なりともあったわけですね。では、アマリヤ・イヴァーノヴナ、お願いですから今おっしゃったことを覚えていてください。もっとも、証人は大勢いますからね」
急に四方からがやがやと話し声が起こりました。一座はざわついてきました。
「な、な、なんですって!」
カチェリーナは我に返って、ふいにこう叫びました。そして――まるで鎖が切れたように――ルージンの方へ飛びかかりました。
「なんですって! あなたはこの娘を泥棒とおっしゃるのですか? このソーニャを? ああ、あなた方はなんて卑劣な、卑劣な人たちなの!」
こう言って、彼女はソーニャの方へ駆け寄ると、まるでしめ木にかけるように、やせ細った手で彼女を強く抱きしめました。
「ソーニャ! よくもまあ、あんな人から十ルーブリなんてものをもらってきたねえ! ああ、ばかな子! こっちへおよこし! さあ、すぐその十ルーブリをおよこしったら――それ!」
カチェリーナはソーニャの手から紙幣をひったくり、手でもみくちゃにすると、すぐさまその手を返して、ルージンの顔面にまともに叩きつけました。
丸められた紙玉はルージンの目にあたって、はね返りながら床の上に落ちました。アマリヤは飛んでいってその金を拾い上げました。
ルージンは火のように怒り出しました。
「この気ちがい女を押さえろ!」と彼はわめきました。
この時、戸口にはレベジャートニコフと並んで、四、五人の顔が並んでいました。その中には、例の田舎から出てきた婦人親子ものぞいていました。
「なんだって! 気ちがい女? それはわたしが気ちがい女だと言うのかね? ばかあ!」
カチェリーナは金切り声を上げました。
「お前こそ馬鹿だ、口先だけの詐欺師だ、卑怯者だ! ソーニャが、ソーニャがお前の金を盗んだって? ソーニャが泥棒だって? ちっ、あの子は逆に、お前に恵んでやるくらいだよ、この馬鹿!」
こう言って、カチェリーナはヒステリックにからからと笑い出しました。
「皆さん、この馬鹿を見ましたか?」
彼女は一同にルージンを指さしながら、四方八方へ駆け回って叫ぶのでした。
「ああ! お前もそうだ!」
彼女はふいにおかみを見つけました。
「ええ、この腸詰屋(腸詰屋は、ドイツ人に対する悪口)、お前まで尻馬に乗って、今あれが『盗んだ』と言ったね、スカートをはいた卑しいプロシアの鶏の足め! ああ、みんな! ああ、みんななんてやつらなんだ! 第一あの子は、お前んとこから帰ってきてから一歩も部屋の外へ出ちゃいないよ、ちくしょう、ちゃんとここに、わたしと並んで腰をかけていたんだよ。それはみんなが見ていたはずだ!」ロジオン・ロマーヌイチと並んで腰をかけていたんだよ……。さあ、あの子を調べてごらんなさい! どこへも出かけていないんだから、お金はきっとあの子の身についているはずです! 調べてごらん、お調べ、お調べ! だがね、もし何も出てこなかったら、その時こそはお気の毒だけど、ただじゃおかないからね! わたしは陛下のところへ、陛下様のところへ、お情け深い陛下様のところへ駆けつけて、そのおみ足のかたわらに身を投げてお願いするんだから。
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