初級翻訳・罪と罰 第41話

ドストエフスキー

「今後もし貴様の上品な家で、たとい一度でも不体裁をしでかしたら、その時はおれが貴様の首に縄をかけてやるぞ、高尚な言葉で言えばな。わかったか! で、何だって? 文士が……作者が『上品な家』で、裾の弁償に五ルーブリ取ったんだな? いや、作者なんてものは、たいていそういうもんだ!」

こう言って、彼は軽蔑に満ちた視線をラスコーリニコフに投げた。

「一昨日も居酒屋で似たり寄ったりの事件があった。昼食を食べておいて金を払おうとしないんだ。そして、『おれはその代わりに、この店のことを滑稽小説に書いてやる』と言い放つ。ある汽船の中でも、先週同じようなことがあった。れっきとした五等官の家族、つまり奥方と令嬢が、聞くに堪えない下等な言葉で罵倒されたのだ。この間も、ある喫茶店から突き出されたやつがいる。まあ、みんなこういう連中ばかりだ。作者だの、文士だの、大学生だの、新聞記者だのというやつらは……ぺっ! おい、貴様はもう帰れ! 今に自分で行ってやるからな!……その時は気をつけるがいいぞ! わかったか?」

ルイザ・イヴァーノヴナは、気ぜわしい愛嬌を振りまき、四方八方へ小腰をかがめながら、戸口まで後ずさりしていった。ところがドアのところで、開け放たれた爽やかな顔に、ふさふさとした見事な亜麻色の頬ひげを生やした、一人の立派な警察官に尻をぶつけた。それは署長のニコジーム・フォミッチその人だった。ルイザ・イヴァーノヴナはあわてて床に頭がつくほど低くお辞儀をすると、小股でちょこちょこと飛び跳ねるようにして、事務所から駆け出していきました。

「またしても、天地がひっくり返るような大騒ぎですな。雷に稲妻、竜巻に台風というわけですよ!」

ニコジーム・フォミッチは、愛想よく親しげな口調で、副署長に向かって言いました。

「また癇癪(かんしゃく)を起こして、自分で心臓を悪くしてしまったのでしょう。階段のところまで叫び声が聞こえていましたよ」

「いや、なに!」

副署長は、少し横柄で投げやりな調子で言いました。
(実際には「なに」というより、「や、なあん!」と聞こえるような、気の抜けた返事でした)。
そして、何かの書類を持って別のテーブルへ移動しながら、一歩歩くごとに肩をゆすって、気取った格好で歩いていきました。一歩踏み出すたびに、肩が一緒にひょいと持ち上がるような歩き方です。

「これですよ、見てください――この著述家先生、いや、失礼、大学生、いわゆる『元・大学生』というやつですがね、金を払う代わりに手形をむやみやたらに発行して、部屋は明け渡さないものだから、当人に対する苦情が絶えないんですよ。それなのに、わたしが先生の目の前でタバコを吸ったというだけで、ご立腹なさるんですよ! 自分はあんなにも卑劣でひどい真似をしているくせに。どうです、あの男を見てやってください。あの通り、すました顔をして座っているじゃありませんか!」

「貧しいからといって悪人だとは限らないよ、君。まあ、仕方がないじゃないか! 君は有名な『火薬』なのだから、侮辱を黙って受け流すことなんてできなかったんだろう。だが、君もきっと何かこの男に腹を立てて、我慢しきれなかったんだろう?」

ニコジーム・フォミッチは、愛想よくラスコーリニコフの方へ向き直り、言葉を続けました。

「しかし、それは誤解ですよ。君、この男は実に高潔な人物なんです。それはわたしが保証します。ただ、少しばかり『火薬』なだけなんですよ! 癇癪持ちでね。パッと爆発して、ぐらぐらと沸き立って、燃え尽きてしまえば――それでおしまいなんです! すべてが終われば、あとは黄金のような心だけが残る。この男は連隊にいた頃も、『火薬中尉』というあだ名で呼ばれていたくらいですからね……」

「しかも、その連隊と来たら!」

副署長は、署長におだてられてまんざらでもない気分になり、悦に入りながらも、まだふくれっ面をして叫びました。

ラスコーリニコフは突然、その場にいる全員に対して、何かとても愉快なことを言ってやりたい気分になりました。

「いや、とんでもない、署長」

彼は急にニコジーム・フォミッチの方を向き、恐ろしくくだけた調子で話し出しました。

「僕の身にもなって考えてみてください……もし僕の方に何か失礼なことがあったのなら、あの人に謝罪してもいいとすら思っています。僕は貧しく、病気がちな学生です。貧乏に押しつぶされそうになっている男なんです。僕は元・大学生です。学資が払えなくなってしまったので。ですが、お金は届くはずなんです……僕には母と妹が××県におりまして……それが送金してくれる手はずになっています。そうしたら僕は……ちゃんと返済します。大家さんはいい人なのですが、僕が家庭教師の仕事を見つけられず、四ヶ月も家賃を払っていないので、かんかんに怒ってしまって、食事も出してくれなくなりました……それに、手形がどうこうと言いますが、僕にはさっぱりわけがわかりません! 今、大家さんはこの借用証書をたてに僕を訴えているんです。ですが、今の僕にどうやって払えと言うんですか。ご賢察ください!」

「だが、そんな話はこっちの知ったことではない……」

事務官がまた注意しようと口を挟みました。

「ちょっと、ちょっと、それはそうですが、僕にも弁解させてください」

ラスコーリニコフは事務官の言葉を遮り、あくまでニコジーム・フォミッチを相手にしながら、同時に副署長にも話を聞いてもらおうと一生懸命に努力しました。ところが副署長は、書類をかき回したままで、「お前などに興味はない」とばかりに、完全な無視を決め込んでいました。

「まあ、僕にも今の事情を述べさせてください。僕はあの女のところに、もうかれこれ三年も暮らしているんです。国を出てここへ着いてすぐに、ずっとね。そして以前……以前……ええ、僕の方からすべて白状してしまっても構わないでしょう。僕は最初、大家さんの娘と結婚しようと約束したんです。もっとも、それは口約束に過ぎませんでしたが……この娘は……ええ、僕はその娘を気に入ってさえいたんです……もっとも、深く惚れていたわけではありませんが……一口に言えば、若かったんですね。いや、つまり僕が言いたいのは、大家さんはその約束のおかげで、当時多額の信用貸しをしてくれた。だから僕も多少その、気楽な暮らしをしていたんです……僕は実に軽はずみでした……」

「われわれは、そんな立ち入った打ち明け話を君に要求しているんじゃないんだ。」「それに、こっちだってそんな暇はないんだ」
副署長はぞんざいな態度で、威圧的に話を遮ろうとしました。しかし、ラスコーリニコフは熱くなり、それを抑えつけるように言葉を続けました。
本当は、急に口を動かすことさえ耐えがたいほど苦しくなっていたのですが。

「いや、失礼ですが、失礼ですが……多少なりとも、きちんとお話しさせてください。どういう経緯でこうなったのかを。僕の方としても……もちろん、こんなことをしゃべるのは余計なことだと分かっていますし、あなたのおっしゃる通りですよ。ですが、ともかく……この娘は一年前にチフスで亡くなりましたが、僕はそのまま下宿人として残っていました。

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