初級翻訳・罪と罰 第15話

ドストエフスキー

誰であれ人を知ろうとする時には、後から直すのが難しいような先入観や、早合点による嫌悪感を持たないよう、長い目でじっくりと観察しなければなりません。何はともあれ、ピョートル・ペトローヴィッチは、いろいろな点から見て、非常に立派な紳士なのです。

初めて訪ねてこられた時、その方は私たちに向かって、自分は現実的な人間だが、しかし多くの点において(あの人の言葉で言うと)、『わが国の新しい世代の信念』を共有するものであり、あらゆる偏見を敵としている、と仰いました。そのほかにも、いろいろなことを話してくださいました。もともと虚栄心が強い方らしく、自分の話を聞いてもらうのがひどく好きな様子です。でもね、お前、これくらいのことは大した欠点というほどではありませんよ。

私はもちろん詳しいことは分かりませんでしたが、ドゥーニャが私に聞かせてくれたところによると、この方はそれほど教育レベルが高いわけではないけれど、理知的で善良な人らしいとのことです。ロージャ、お前は妹の性格をよく知っているでしょう? あの子はとてもしっかりしていて分別もあり、辛抱強く、激しい気性でありながら度量の広い娘です。それは私がよく見ていて分かっています。

もちろん、この縁談にはあの子の方からも、また相手の方からも、燃え上がるような特別な愛情があるわけではありません。けれどドゥーニャは、賢い娘であるだけでなく、天使のように高潔な娘ですから、夫を幸せにすることを自分の義務だと心得ているに違いありません。そうすれば夫の方も、自然の道理としてあの子の幸せを大切に考えてくれるはずです。

このドゥーニャの幸福ということについては、あまりに急に決まった話ではありますが、私たちとしてはそれほど心配する理由もありませんからね。それに、あの人は非常に先見の明がある方ですから、夫としての自分の幸せが、ドゥーネチカが幸せであればあるほど確かなものになる、ということくらい、もちろん自分でも分かっているはずです。

もっとも、性格のちょっとした違いや、古い習慣、意見の食い違いなどは多少あるかもしれません(そんなことは、どんなに仲の良い夫婦の間でも避けられないものです)。ですが、それについてはドゥーネチカが自信を持っていると、自分から私に言っていました。何も心配することはない、これからの関係が誠実で公平に続いてさえいけば、あの子はたいていのことは我慢できると言っているのです。

人の見かけというのは本当に当てにならないもので、例えばあの人は、私などには最初はなんとなくトゲトゲしい感じがしました。けれどそれは、あの人があまりに生一本すぎるからでしょう。いいえ、きっとそうに違いありません。手短に言うと、二度目に訪ねてこられたとき、すでに承諾の返事をしたあとだったのですが、いろいろと話をしているうちにその人がこんなことを言ったのです。まだドゥーニャを知る前から、純粋で潔白なのはもちろんだけれど、持参金を持っていない、そして一度は苦しい生活を経験したことのある娘を奥さんにしたいと考えていたのだ、と。

つまり、その人の説明によれば、夫が妻に少しも恩を着せるようなことがなく、妻の方だけが夫を恩人として慕うような結婚にしたい、というわけなのです。

断っておきますが、その人は私がこうして書いているよりも、ずっと柔らかく優しい言い回しを使っていました。私は正確な言葉遣いを忘れてしまって、意味だけを覚えているものですから。それに、決して前もって準備していた話ではなく、つい話が盛り上がって、うっかり口をすべらせてしまったに違いありません。だからこそ、あとで言い直したり、言葉を濁したりしたのでしょう。

それでも、私にはやはり少し言葉が過ぎるような気がしました。あとでドゥーニャにそのことを伝えると、あの子はかえっていまいましそうな顔をして、「お母様、ただ口にしただけで、本当にそんなふうにするつもりはないはずよ」と言いました。それはもちろん、その通りだと思います。

正式な返事をする前、ドゥーネチカは一晩中眠れませんでした。あの子は私がもう寝ているものだと思ってベッドから起き出し、夜通し部屋をあちこち歩き回っていましたが、最後には聖像の前に膝をついて、長いあいだ熱心に祈っていました。そして翌朝、私に向かって「心を決めたわ」と言ったのです。

ピョートル・ペトローヴィッチがペテルブルグへ出発する準備をしていることは先ほど書きましたが、あの方にはあちらで大切な用事があって、ペテルブルグに弁護士の事務所を開こうと考えているのです。もう長いことさまざまな訴訟を扱ってきて、三、四日前も大きな裁判に勝ったばかりなのです。ペテルブルグへどうしても行かなければならないのは、大審院に重要な用事があるからなのです。

ねえ、ロージャ、そういうわけですから、その人は何かと、お前のためにもなってくれる人だと思うのです。私とドゥーニャは、今日からでもお前が将来の方針をしっかりと立てて、自分の運命がもう決まったものと考えてくれることを、ずっと前から勝手に期待しています。

ああ、もし本当にそうなったら! それこそ神様が私たちに直々に授けてくださったお慈悲に違いありません。それ以外には考えられないほどの幸せです。ドゥーニャは、ただそのことばかりを夢見ています。

私たちはそのことについて、思い切ってピョートル・ペトローヴィッチに二言三言、話をしてみました。すると先方は慎重になりながらも、「もちろん自分にも秘書が必要だし、給料を他人に払うより身内に払う方がいいに決まっている。ただ、本人にその仕事ができさえすれば(まあ、お前にそれができないはずはありません!)」と答えてくれました。

ただ、大学の勉強もあるから、事務所で働く暇などないのではないか、という心配も漏らしていました。その時は話もそこで終わりましたが、ドゥーニャは今、そのこと以外何も考えていません。あの子はここ四、五日というもの夢中になって、やがてお前が訴訟の仕事でピョートル・ペトローヴィッチの片腕、いえ、パートナーとして働くようなことまで考えて、すっかり細かい計画を立ててしまいました。お前が法科にいるからこそ、なおさら好都合だというのです。

なつかしいロージャ、私もそれには大賛成です。あの子の計画や希望を十分に確かなものだと信じて、同じように楽しみにしています。今のところ、ピョートル・ペトローヴィッチも曖昧な返事しかしてくれませんが、それは無理のない話です(だって、まだお前のことをよく知らないのですから)。でもドゥーニャは、これから自分が夫をうまく導いていけば、何でも実現できると固く信じています。

もちろん、私たちもこうした先の夢については、特に「お前が事務所の仲間になる」といったようなことは、ピョートル・ペトローヴィッチの前でうっかり口を滑らせたりはしません。なにしろ現実的な性格の方ですから、冷たくあしらわれてしまうかもしれませんし、そんなことはただのつまらない空想だと思われてしまうに違いありませんからね。

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