初級翻訳・罪と罰 第139話

ドストエフスキー

額のシワが伸び、目が細まり、顔の輪郭が長く歪んだかと思うと、彼はラスコーリニコフの目を真っ直ぐに見つめたまま、突然、全身を波打たせるようにして、神経質な笑い声を上げ始めた。
ラスコーリニコフも、いくぶん無理やりな調子で笑い返した。
しかし、ポルフィーリイがそれを見て、顔を紫色に染めるほど腹を抱えて笑い出したとき、ラスコーリニコフの嫌悪感は、もはや一切の警戒心を突き抜けてしまった。
彼は笑うのをやめて眉をひそめ、ポルフィーリイが何か企んでいるような様子で、いつまでも飽きもせずに笑い続けている間、じっと相手を憎々しげに見つめ続けた。
とはいえ、互いに注意不足であったことは明らかだった。
ポルフィーリイは目の前の客を面と向かって嘲笑し、客がその笑いを敵意として受け取っているにもかかわらず、その状況をまるで気にしていない様子だった。
この事実は、ラスコーリニコフにとって非常に大きな意味を持った。
彼は悟った。
ポルフィーリイは、さっきも決してうろたえてなどいなかった。それどころか、自分こそが罠に落ちたのかもしれない。
ここには、自分が知らない何かが確実に存在する。
何か明確な目的がある。
もしかすると、準備はすべて整っていて、今この瞬間にも何かが暴露され、頭上に崩れ落ちてくるのかもしれない……。
彼は一気に用件を済ませようと、席を立ち、帽子を掴んだ。
「ポルフィーリイ・ペトローヴィッチ」毅然とした、しかしかなり苛立ちを含んだ声で、彼は切り出した。
「昨日、あなたは尋問のために来いとおっしゃいました(彼は特に『尋問』という言葉を強調した)。
だから僕はこうして来たんです。
何か用があるなら、さっさと尋ねてください。
そうでないなら、もう失礼させてもらいます。
こっちは忙しいんです。用事があるんですよ……あの、あなたもご存知の、馬に蹴られて死んだ役人の葬儀に行かなければならないんですから」と付け加えたが、すぐさまその余計な一言を言った自分自身にいらついた。
そして、さらに苛立ちを募らせながら続けた。
「もう、この騒ぎにはうんざりなんです。わかりますか、ずっと前から……そのせいで病気にもなったんだ……」『病気』という言葉がまたしても失策だったと気づき、彼はほとんど叫ぶように続けた。
「要するに、尋問するならする、つきまとうならやめる、どちらかにしてください! 正式にやってくれるなら応じます。それ以外は認めません。
だから、今日はこれで失礼します。
今、こうして二人で顔を合わせていても、何も進展しませんから」
「とんでもない! 何をそんなことをおっしゃるんです! あなたを尋問することなど、何がありましょう?」ポルフィーリイは急に笑うのをやめ、顔つきも声の調子も改めると、まるでメンドリが鳴くようなせかせかした声で言った。
「まあ、どうぞご心配なく」またしても部屋中をひょこひょこと歩き回ったかと思うと、今度は突然、ラスコーリニコフを席に座らせようと世話を焼き、あわただしく動き回った。
「時間はたっぷりありますよ、時間はたっぷりあります。
それに、こんなことは何でもありません! それどころか、あなたがこうして来てくださったことを、私は心から喜んでいるんです……あなたを大切なお客様としてお迎えしているんですからね。
さっきの、あの失礼な笑いについては、ロジオン・ロマーヌイチ、どうかお許しください。ロジオン・ロマーヌイチ、たしかそうでしたね、あなたの父称は? わたしは神経質でしてね、あなたのあの恐ろしいほど鋭い観察に、つい笑わされてしまったんですよ。
どうかすると、ゴム細工みたいに体じゅうをぶるぶる震わせて笑い出してしまうことがあるんです。それも、かれこれ半時間くらいぶっ通しに……。笑いっぽい質(たち)でしてね。
わたしの体質ですから、脳卒中にならないかと恐れているくらいなんです。
が、まあ、お掛けになったらどうです?……さあ、どうぞ、座ってください。でないと、あなたがすっかり怒ってしまったのだと思ってしまいますよ……」

ラスコーリニコフは依然として腹立たしげに眉をひそめたまま、黙って相手の言葉を聞きながら、じっと様子を観察していた。
もっとも、彼は言われるままに腰をおろしたが、帽子はまだ手から離さなかった。

「ねえ、ロジオン・ロマーヌイチ。わたしは自分のことを、いわば性格の説明として申し上げておきましょう」
部屋の中を気ぜわしなげに歩き回りながら、相変わらず客と視線を合わせるのを避けるような風で、ポルフィーリイは言葉を続けた。

「実はわたしは独身者で、社交界というものを知らない、名もない一介の人間です。
しかもそれでいて、もうでき上がってしまった人間、固まってしまった人間で、もう種になりかかっているんです。
で……で……で、ロジオン・ロマーヌイチ、あなたはお気づきかどうか知りませんが、わがロシアでは、とりわけこのペテルブルグの社会では、お互いに格別深い知り合いではないけれど、互いに尊敬し合っている二人の聡明な人間が――まあ、たとえば今のあなたとわたしのような人間が――一緒に顔を合わせたとします。すると、まる三十分くらいは、どうにも話題を見つけることができず、お互いに固くなってしまって、腰かけたまま照れ合っているんです。
いったい話題というものは誰でも持っているもので、たとえば女の人なんかそうです……上流の社交界の人たちでも、話題はいつだって持ち合わせています。『C’est de rigueur(セ・ド・リグール=それは必要欠くべからざるものですからね)』。ところが、我々みたいに中流の人間になると――皆はにかみやで、話下手です……つまり、思索人(しそうにん)というわけですな。
いったいこれはどういうわけなのでしょう? われわれには社会的な興味が欠けているのか、あるいはまたあまりに正直すぎて、お互いにだまし合うのを望まないからか、どうもわからんです。
え? あなたはどうお考えですかな? まあ、その帽子をお置きになったらどうです? まるで今にも帰ろうとしていらっしゃるようで、まったく、見ていても変ですよ……わたしはそれどころか、あなたとお話しできることがやたらにうれしくて……」

ラスコーリニコフは帽子を置いたが、依然として無言のまま、まじめに眉をひそめて、ポルフィーリイの空虚でとりとめのない饒舌(じょうぜつ)に耳を傾けていた。
(いったいこの男は、こんな愚にもつかないおしゃべりで、おれの注意をそらそうとでも思っているんだろうか?)

「コーヒーは別に差し上げません、場所が場所ですから。
しかし、五分やそこいら友人と対談して、気晴らしをするのがいけないというわけはありますまい」とポルフィーリイはのべつしゃべり立てた。
「何しろ、こうしたいろんな職務上の仕事というやつは……ですが、あなた、わたしがこう始終あちこちと歩き回るのを、どうかお腹立ちにならないでください。
失礼ですが、わたしはあなたの気を悪くしやしないかとはらはらしているんですが、運動というやつはわたしにとって、なんとしても必要なんでしてね。

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