初級翻訳・罪と罰 第73話

ドストエフスキー

カチェリーナはここ一週間で、いっそう痩せが目立つようになり、頬の赤い染みは前よりずっと鮮やかに燃えていました。

「お前はとても、本当には想像できないだろうね、考えることもできないだろう。ねえ、ポーレンカ」と彼女は部屋を歩きながら言いました。
「おじいさまのおうちにいた頃、わたしたちはどんなに面白く華やかに暮らしていたか。それを、あの酔っ払いがわたしを破滅させた上に、お前たちまで破滅させようとしているんだよ! おじいさまは五等官だったから、軍人なら大佐で、まあいわば知事様みたいなものだったんだよ。もうほんの一息で知事様というところだったのよ。だから、みんながおじいさまのところへ来ては、『わたしどもはあなたを知事さまだと思っております、イヴァン・ミハイルイチ』なんて言ったものさ。わたしがね……ごほん! わたしが……ごほん、ごほん……ああ、つくづくいやになってしまう!」と彼女は痰を吐き出して胸を抑えながら、叫ぶように言いました。

「わたしがね……ああ一番最後の舞踏会の時……貴族会長さんのお宅の舞踏会の時……ベズゼメーリナヤ公爵夫人がね――これはあとでわたしがお前のお父さんと結婚した時に、祝福してくださった方だよ、ポーレンカ――この方がね、わたしを見るとすぐに『卒業式の時にショールを持って踊ったかわいいお嬢さんは、あの人じゃなかったかしら?』とお聞きになったんだよ。(ああ、ほころびを縫わなくちゃ。さ、早く針を持って来て、わたしが教えた通りに繕ってごらん。でないと、明日は……ごほん! 明日は……ごほん、ごほん、ごほん! もっとひどく裂けてしまうから)」と苦しげに身悶えしながら、彼女は叫びました。「その時ね、ペテルブルグから来たばかりのシチェゴリスコイ公爵という侍従武官が……私とマズルカを踊ってくださって、その翌日にはプロポーズまでしてくださったのよ。
私はとても丁寧に、でもはっきりとお断りしたわ。私の心はもう他の人に捧げています、って。
その『他の人』というのが、つまりあなたのお父さんだったのよ、ポーリャ。
おじいさまはそれですごく怒って……あら、お湯はもう沸いたかしら? さあ、肌着をちょうだい。それから靴下は?……リーダや」と彼女は下の娘を呼びました。「今夜は仕方がないから、肌着なしで寝ておしまい。
どうにかしなくちゃ……靴下はこっちに出しておいて……一緒に洗うんだから。それにしても、あの飲んだくれはどうして帰ってこないのかしら! 肌着が雑巾みたいになるまで着倒して、ボロボロにしてしまって……。二晩も続けて夜なべをするのはもうこりごりだけど、みんなまとめて片付けてしまわないとね! ああ、もう! ごほん、ごほん、ごほん、ごほん! まただわ! ……あれは何?」

彼女は、入り口の玄関先で騒がしい人だかりがしていること、そして誰かが何かを担いで部屋へ押し入ってきたことに気づき、思わず叫びました。
「何事ですの? いったい何を持ってきたんです? まあ、どうしましょう!」
「いったいどこへ置けばいいんだ?」血だらけになって意識を失っているマルメラードフが部屋へ運び込まれたとき、巡査の一人があたりを見回して尋ねました。
「長椅子だ! 長椅子にそのまま寝かせてくれ、そう、頭をこっちにして」とラスコーリニコフが指示しました。
「道で馬車にひかれたんだよ! 酔っ払って歩いてたからな!」と玄関の誰かが叫びました。
カチェリーナは真っ青になって立ち尽くし、苦しげに息を荒くしました。
子供たちは大パニックです。
小さなリードチカは「キャッ!」と叫んでポーレンカに飛びつき、姉にしがみついて全身を震わせました。
マルメラードフを寝かせると、ラスコーリニコフはすぐさまカチェリーナのそばへ駆け寄りました。
「どうか落ち着いてください、そんなに驚かないで!」と彼は早口で言いました。
「ご主人は道を横切ろうとして馬車にひかれたんですが……心配はいりません。すぐに意識を取り戻すはずです。
僕がここへ運ぶようにお願いしたんです……以前一度お会いしたことがありますよね、覚えていらっしゃるでしょう……大丈夫、すぐ目を覚ましますよ。
治療費は僕が払います!」
「ああ、ついに最悪の事態が来たんだわ!」カチェリーナは絶望的な声を上げると、夫のそばへ駆け寄りました。

ラスコーリニコフは、彼女が気絶して倒れ込むような弱々しい人間ではないことをすぐに悟りました。
不幸な老人の頭の下には、今まで誰も気づかなかった枕が差し込まれました。
カチェリーナは夫の服を脱がせ、傷の状態を確認し始めました。
自分のことなどすっかり忘れ、震える唇をぎゅっと噛みしめ、今にもあふれ出しそうな悲鳴を必死にこらえながら、彼女は驚くほどテキパキと働きました。取り乱した様子は微塵もありません。
その間にラスコーリニコフは、医者を呼ぶために人を走らせました。医者は一軒隣に住んでいることが分かっていたからです。
「医者を呼びに行かせました」と彼は何度も何度もカチェリーナに伝えました。
「心配はいりません、僕が払いますから。水はありますか?……それからナプキンでもタオルでも、何でもいいですから早くください。
まだ傷の深さは分かりませんが……ご主人はひかれただけで、死んでいるわけじゃありません。本当です……ああ、医者は何と言うだろう!」

カチェリーナは窓の方へ飛んで行きました。
部屋の隅の、今にも壊れそうな椅子の上には、夫や子供たちの肌着を夜中に洗うために用意していた大きなタライが置いてありました。
カチェリーナは、こうした夜中の洗濯を少なくとも週に二度は、時にはそれ以上、自分の手でこなしていました。
家族の肌着は一人につき一枚しかなく、着替えすらままならないほど落ちぶれていましたが、彼女は不潔なことが大嫌いでした。だから、家の中に汚れた物を放置するくらいなら、力仕事で身を削るほうがましだと思い、みんなが寝静まった夜中に洗濯をして、縄に干して、朝までにさっぱりとした服を着せようと頑張っていたのです。
彼女はラスコーリニコフに言われてタライを持とうとしましたが、その重さに危うく倒れそうになりました。
その間にもラスコーリニコフはタオルを見つけ出し、水に浸して、血に染まったマルメラードフの顔を拭き始めました。
カチェリーナは痛みをこらえるように息を吐き、両手で胸を押さえながらその場に立ち尽くしていました。彼女自身も、誰かの手当てが必要なほど追い詰められていたのです。ラスコーリニコフは、ここに怪我人をかつぎ込むようにすすめたのは、自分の早まった判断だったかもしれないと、だんだん気づき始めていました。
巡査もまた、どうしたものかと迷ったような顔つきで立ち尽くしています。
「ポーリャ!」とカチェリーナが叫びました。
「ソーニャのところへ大急ぎで走っておいで。もし家にいなくても、とにかく伝えておくのよ――お父さんが馬車にひかれたから、帰ってきたらすぐにお家へ来るようにって……早く、ポーリャ! ほら、この頭巾をかぶって!」
「一生懸命走るんだよ!」と弟がふいに椅子の上から叫びました。

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