初級翻訳・罪と罰 第130話

ドストエフスキー

「今わかっただろう?」突然ラスコーリニコフが、病的にゆがんだ顔をして言いました……「引き返して、彼女たちのところへ行ってやってくれ」彼はそう言い足すと、くるりと背を向けて、家から外へ出て行ってしまいました……

この晩、プリヘーリヤの身に何が起きたか、あえて詳しく書くことはやめておきましょう。
ラズーミヒンは引き返してくると、二人を一生懸命に慰めました。ロージャは病気だから静養が必要なだけだ、必ず来る、毎日だってやって来る、彼はひどく体調を崩しているから、あまりいらいらさせてはいけない、自分ラズーミヒンが彼をしっかり見守って、一流のいい医者を連れてきてやる、それどころか、大勢の医者に集まってもらって診察させる、と誓ったのです……一口に言えば、この晩からラズーミヒンは彼らにとって、息子のような存在であり、兄のような存在になったのでした。

ラスコーリニコフはそのままの足で、ソーニャが住んでいる川沿いの家を目指しました。
それは緑色に塗られた古い三階建ての建物でした。
彼は庭番を見つけ出し、裁縫師のカペルナウモフがどこに住んでいるか、大まかな場所を教えてもらいました。
裏庭の片隅で、狭くて真っ暗な階段へ通じる入り口を見つけ、彼はやっとの思いで二階へ上がりました。
そして、裏庭側から二階をぐるりと取り囲んでいる廊下へ出ました。
彼が暗闇の中をうろうろして、カペルナウモフの住まいへ入る入り口はどこだろうと思案に暮れていると、突然、彼から三歩ほど離れたところで、何かの戸が開きました。
彼は無意識のうちにそれに手をかけました。

「誰、そこにいるのは?」と不安そうな声で女の人が尋ねました。
「僕です、あなたのところへ来ました」とラスコーリニコフが答えて、思い切って小さな入り口の間へ入っていきました。
そこには、ぺちゃんこになった椅子の上に、ひん曲がった銅の燭台にさしたろうそくが灯っていました。
「あなたでしたの! まあ!」とソーニャは弱々しい声で叫び、釘付けにされたように立ちすくみました。
「あなたの部屋へはどう行けばいいんです? こっちですか?」
そう言ってラスコーリニコフは、彼女の方を見ないようにしながら、大急ぎで部屋の奥へと入っていきました。

しばらくして、ソーニャもろうそくを持って入ってきました。
彼女はろうそくを置くと、思いがけない彼の訪問に驚いた様子で、何と言っていいか分からないほどの興奮と戸惑いを浮かべ、彼の前に立っていました。
すると、にわかに赤みがさっとその青白い頬に広がり、目には涙さえにじみ出てきました……彼女は忌まわしくもあり、恥ずかしくもあり、また甘い気持ちでもあったのです……ラスコーリニコフはさっと顔をそむけ、テーブルに向かって椅子に腰を下ろしました。
その短い間に、彼は一目で部屋の様子を見てとることができました。
それは広さはあるものの、非常に天井が低い部屋で、カペルナウモフが貸しに出している唯一の部屋でした。左手の壁には、その住まいへ通じる、鍵のかかった戸口がありました。反対側の右手の壁にも、もう一つの戸口があり、いつもぴったりと閉ざされていました。そこはもう、別の番号の隣の部屋へと続いていたのです。

ソーニャの部屋は、どこか物置のような雰囲気で、ひどくゆがんだ四角形をしていました。それがこの部屋に、どこか不自然で落ち着かない印象を与えています。運河に面した窓が三つある壁が部屋を斜めに横切っているため、一方の隅は鋭く尖り、薄暗い明かりではどこまで続いているのか見分けがつかないほど奥まっていました。それとは逆に、もう一方の隅はみっともないほどに大きく鈍角に開いていました。

この広い部屋には、家具らしきものはほとんどありませんでした。右側の隅にベッドがあり、そのすぐそばに椅子が一つ置かれています。ベッドのある壁に沿って、隣の部屋へ通じる戸口のすぐそばには、青い布をかけた粗末なテーブルが置かれ、その周りには籐(とう)でできた椅子が二つありました。また、反対側の壁に沿った鋭角の隅の近くには、小さな雑木のタンスが、がらんとした空間にポツンと置き忘れられたかのように立っていました。この部屋にあるのは、これだけです。

すり切れてボロボロになった黄ばんだ壁紙は、隅という隅が黒ずんでいました。冬になると、きっと湿っぽくて息苦しい空気がこもってしまうに違いありません。貧しさの影が、一目で見てとれました。ベッドのそばにさえ、カーテンの一枚もかかっていないのです。

ソーニャは黙ったまま、自分の部屋を注意深く、そして遠慮もなくジロジロと見回す客の様子をじっと眺めていました。そのうち、まるで裁判官や、自分の運命を左右する人の前に立たされているかのように、恐ろしさでわなわなと震え始めました。

「僕、こんなに遅くに……もう十一時でしょう?」
彼は彼女の顔に目を向けることもなく、尋ねました。
「ええ」とソーニャは小さくつぶやきました。
「あっ、そうですね!」
まるでその一言で救われたかのように、彼女は急にあわてて言い足しました。
「今、仕立屋さんのところで時計が鳴りましたわ……わたし、自分で聞きましたから……間違いありません」
「僕があなたのところへ来るのは、これが最後です」
ここへ来たのは今が初めてだというのに、ラスコーリニコフは気むずかしげな調子で言葉を続けました。
「僕はもしかすると、もう二度とあなたにお目にかかれないかもしれません……」
「どこかへ……行かれるのですか?」
「わかりません……すべては明日、決まることです……」
「では、明日カチェリーナ・イヴァーノヴナのところへも、いらしてくださらないのですか?」
ソーニャの声がピクリと震えました。
「わかりません。すべては明日の朝……いや、問題はそんなことじゃない。僕は一つだけ、言っておきたいことがあって来たんです……」

彼は彼女の方へ、物思いに沈んだような視線を向けました。すると急に、自分は腰を下ろしているのに、相手はまだずっと立ったままでいることに気がつきました。
「なんだって立っているんです? 座ってくださいよ」
彼は調子を急に変え、穏やかで優しい声で言いました。
彼女は腰を下ろしました。
彼は愛想の良い、同情に満ちたまなざしで、しばらくの間、彼女を見つめていました。
「あなたはなんてやせているんでしょう! あなたのその手はどうでしょう! まるで透き通るようです。さわったら、まるで死人のように冷たい」
彼は女の手をとりました。
ソーニャは弱々しく、にっこりとほほえみました。
「わたし、いつだってこうでしたから」と彼女は言いました。
「家にいる時から?」
「ええ」
「いや、それはそうでしょうとも!」
彼はちぎれちぎれにそう言うと、顔の表情も声の響きも、また急に変わってしまいました。彼はもう一度、あたりを見回しました。

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