初級翻訳・罪と罰 第88話

ドストエフスキー

さあ、まだ何かあるかな……とにかく僕の見るところでは、あなた方が上京されたことは、あの男にとってこの上ない良い影響を及ぼすに違いありません」

「ああ、本当にそうありたいものです!」ラズーミヒンが試みた、最愛のロージャの人物評に堪え難い切なさを覚えながら、プリヘーリヤは思わずこう叫びました。

ラズーミヒンはついに思い切って、アヴドーチャに少し大胆な視線を向けました。彼は話の間にも何度となく彼女の顔をちらちらと見てはいましたが、それはほんの一瞬で、すぐに目をそらしてしまうのでした。

アヴドーチャはテーブルに向かってじっと注意深く聞いているかと思うと、ふいに立ち上がり、いつもの癖で手を組み合わせて唇をきゅっと結び、部屋の中をあちこちと歩き回りました。そして、時折歩みを止めずに質問を発しては、深く考え込むのでした。彼女もまた、人の話を最後まで待たずに口を挟む癖がありました。彼女は軽い生地で作った黒っぽい服を着て、首には透き通るような白いショールをかけていました。ラズーミヒンは、二人の女性の身の回りの様子から、彼女たちがひどく貧しい暮らしをしていることを察しました。
もしアヴドーチャがまるで女王様のような豪華な衣装をまとっていたら、彼はそれほど緊張しなかったかもしれません。
ところが今の彼女はあまりに質素な身なりをしていました。そして、彼がその貧しさに気づいてしまったせいか、心の中に急に恐縮する気持ちが芽生え、一言一句を慎重に選んで話すようになったのです。
もともと自分に自信がないラズーミヒンにとって、これはかなり窮屈なことでした。

「あなたは兄の性格について、いろいろと興味深いお話をしてくださいましたね……しかも、ひいき目なしで公平に。それはありがたいことですわ。わたし、てっきりあなたが兄を盲目的に崇拝しているのかと思っていましたの」アヴドーチャは、少し微笑みながら言いました。
「でも、なんと言いますか……兄にはどこかに女の人の影がある、ということも、あながち嘘ではない気がしてまいりました」と、彼女は考え込むように付け加えました。
「そんなことは言っていないつもりでしたが……しかし、おっしゃる通りかもしれません。ただ……」
「ただ、なんですの?」
「だって、ロージャは誰も愛してはいませんから。これからも、決して誰かを愛するなんてことはないでしょう」ラズーミヒンはきっぱりと言い切りました。
「つまり、兄には人を愛する気持ちが欠けている、とでも?」
「ねえ、アヴドーチャ・ロマーノヴナ。あなたも本当に兄さんそっくりですね。何から何まで!」
彼は思わず、自分でも驚くようなことを口走ってしまいました。
しかし、ついさっき彼女に語ったロジオンの人物評を思い出し、彼はエビのように顔を真っ赤にして、ひどく恥ずかしがりました。
それを見たアヴドーチャは、思わず声を上げて笑い出さずにはいられませんでした。

「ロージャのことについては、二人とも少し勘違いをしているのかもしれないよ」と、プリヘーリヤが少しムッとした様子で口を挟みました。
「今の話ではなくてね、ドゥーネチカ。ピョートル・ペトローヴィッチがあの手紙に書いてよこしたこと……わたしたちが二人であれこれ推測したことは、もしかすると本当ではないかもしれないけれど。ねえ、ドミートリイ・プロコーフィッチ、あなたはあの子がどんなに突飛で、そうですね……気まぐれな人間か、とても想像がつかないでしょう。まだやっと十五歳くらいの時でさえ、わたしはあの子の気性には少しも安心できませんでした。あの子は今でも、他の人には思いもつかないようなことを、突然しでかすかもしれない……そう、昔の話をわざわざ持ち出さなくても、一年半ほど前にね、あなたもご存知かもしれませんけれど、ザルニーツィナという下宿のおかみさんの娘と結婚するなんて言い出して……どんなにわたしを困らせて、心配させたことか。あれには本当に泣かされましたよ」
「あなた、その件について何か詳しくご存知なのですか?」とアヴドーチャが尋ねました。

「あなた方はそう思われるでしょう」プリヘーリヤは熱っぽく言葉を続けました。
「あの時、わたしの涙や嘆願、病気、苦しみ、家の貧しさ……そういったものが、あの子を思いとどまらせたとお思いでしょう? ところがどっこい、あの子はどんな障害があっても、平気で踏み越えていったに違いありません。それで……そんなあの子が、わたしたちを愛していないなんて、言えますか?」
「ロージャは一度もその話を僕にはしませんでしたが」とラズーミヒンは用心深く答えました。
「けれど、当のザルニーツィナから少しばかり聞いたことがあります。もっとも、彼女もあまり口数の多い方ではありませんでしたがね。聞いた話は、なんだか少し不思議な内容でしたよ」
「何を、何を聞いたのですか?」二人の女性が同時に尋ねました。

「格別、変わったことというほどではありませんが。ただ僕の聞いたところでは、この結婚はもうすっかり話がまとまっていたのに、花嫁が亡くなってしまったために成立しなかった。しかも、母親のザルニーツィナでさえ、あまり乗り気ではなかったそうです……。その上、人の噂では、花嫁は器量も良くなかった、むしろ不器量といってもいいくらいで……それに病弱で……少し変わった娘だったそうです。……もっとも、どこか人には見えない良いところがあったのかもしれません。そうでなければ、わけがわかりませんからね……。持参金も全くありませんでした。ロージャは持参金を目当てにするような人間ではありませんし……概して、こういう複雑なことは、簡単には言い切れないものですよ」
「きっと、その方は心根の立派な娘さんだったに違いありませんわ」とアヴドーチャは短く言いました。「でもね、本当にひどいことを言うようだけど、あの時あの子が死んでくれて、わたしは心からホッとしたんですよ。まあ、あの子が娘をダメにしたのか、娘があの子をダメにしたのか、どっちもどっちってところかもしれないけれどね」
プリヘーリヤはそう言って話をまとめました。
それから彼女は、ドゥーニャの顔をちらちらと盗み見ながら、とても慎重で控えめな態度で、昨日ロージャとルージンの間で起きた出来事について、あれこれと質問を始めました。(ドゥーニャは、お母さんがそんなふうに自分をうかがうのが、たまらなく嫌だったようです)
この一件は、プリヘーリヤにとって身震いするほど恐ろしく、何よりも心配の種になっているようでした。
ラズーミヒンは改めて一部始終を説明しましたが、今度は自分の考えを付け加えました。
つまり、ラスコーリニコフが最初からルージンを侮辱しようと企んでいたとして、真っ向から彼を非難したのです。
今回は、病気のせいだという言い訳もあまり使いませんでした。
「あれは、病気になる前から考えていたことなんですよ」と、彼は付け加えました。
「わたしもそう思います」プリヘーリヤは、すっかり打ちのめされた様子でうなずきました。
けれど彼女を驚かせたのは、ラズーミヒンが今度はルージンのことを話す際、とても慎重なだけでなく、むしろ敬意さえ払っているように見えたことでした。
それはアヴドーチャさえも驚かせるほどでした。

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