やもり物語 初級翻訳・やもり物語 第2話 日が暮れるまでは影も形もないのに、夜になるといつの間にか現れて、ガラスにピタッと貼り付いたまま、ちっとも動きません。朝、出かける時に見ると、もうどこにもいないのです。「一晩中あそこに貼り付いていて、朝の光と一緒にパッと消えてしまうんじゃない... やもり物語寺田 寅彦
やもり物語 初級翻訳・やもり物語 第1話 これは、とりとめもない、短い夏の夜の物語です。毎年、夏の始まりになると、すぐ近くの植物園からこのあたりにかけて、若葉がしげって木々が真っ黒に見えるようになります。むなしい空風が遠い街のホコリを巻き上げて、森の香りが清らかなこの場所にまで吹き... やもり物語寺田 寅彦