良寛物語 手毬と鉢の子

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新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第37話

たとえ、良寛さんの偉さがよく分からなかったとしても、この話を読んで、みんなが良寛さんのことを好きになってくれたなら、私はそれでも満足です。もし、みんなが良寛さんを偉いとも思えず、好きにもなれないというのなら、それはとても残念なことです。しか...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第36話

それから、近くに生えているのを順々に摘んでいきました。だんだん菫の紫の花が、良寛さんの手の中で増えていきました。「まだ、ここにもある。ほい、まだあそこにもある」きりがありませんでした。良寛さんは菫摘みに夢中になって、時の経つのを忘れていまし...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第35話

もう気が咎めて、寝てなんかいられないんだ」そう言うと、武助さんは外の明るい月夜の中へ飛び出していきました。村は静まり返り、どこかで藁を打つ音が響いているばかりです。武助さんは一人で船に乗り込み、立てかけてあった棹(さお)を抜きました。船は川...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第34話

そこには顔色の黒い年老いた坊さんが、寒そうに体を丸め、膝の上に木の鉢の子を乗せてうずくまっていました。「おっ、良寛さんだ」」と、今まで良寛さんの話をしてきた人が、船を降りながら言いました。「ああ、今日は、叔問(しゅくもん)さん」「今、船の中...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第33話

わしは、みなさんから物を恵んでいただいて、不自由なく暮らしていますから、わしの方でも、欲しい人には字を書いて差し上げますじゃ。もっとも、自分の気分の悪いときは書けませんがの」と答えました。また亀田先生が、「一つ、江戸へ出てこられてはいかがで...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第32話

けれど、良寛さんの本当の気持ちを疑っているのか、顔をふり仰ぎました。「さあ、遠慮しないで取りなさい」その子は、良寛さんの大きな瞳にたたえられた、やさしい慈愛の色を見ました。そこで手毬をそっと受け取ると、良寛さんの手のひらの上に、まだ少し濡れ...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第31話

」という意味のことが書いてあったのです。衣の裾(すそ)を何かにひっかけて破ったのかもしれない、と思った造酒右衛門さんは、注文の品を下男に持たせながら、「禅師はお年寄りだから、そんな細かい仕事は難儀だろう。お前がしてあげなさい。」と言いました...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第30話

春には花が咲き、秋には紅葉がわしの眼を楽しませてくれる。何というありがたいことだ。何一つ世の中のためにできなかった、わしのようなものには、本当にもったいないくらいだ。だから、わしはこれ以上何も望まない。何でもありがたいと思って生きている。」...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第29話

もうご飯がうまく蒸れている頃です。蓋をとると、ふわっと白い湯気が顔を撫で、美味しそうな匂いが鼻をくすぐりました。上出来のようです。「詩はまずくできたが、飯はうまくできた」一人でそんな冗談を言いながら、良寛さんはささやかな朝食をとりました。朝...
新美 南吉

初級翻訳・良寛物語 手毬と鉢の子 第28話

すべてが二十年前とは逆になっているように、良寛さんには思えました。あの時は、まだ世の中をよく知りませんでした。大きな希望に胸が膨らんでいました。今は人の世の様々な苦しみを知ってしまいました。胸には何の希望もありません。……――たくさんのしな...
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