岸田 国士

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岸田 国士

初級翻訳・雪だるまの幻想(ラジオ・ドラマ) 第3話

老人 お前に悪いところなんかあったかしら? もしあったとすれば、世の中を少し甘くみていたぐらいのものだ。雪人形 ええ、それもそうだけど、あたしはなによりも「情熱」というものを軽蔑していたわ。それが自分にないからというよりも、それを人から指摘...
岸田 国士

初級翻訳・雪だるまの幻想(ラジオ・ドラマ) 第2話

(イヤホンをつけたことがわかるように、声を少し普通の調子に落として)昨日から度々申し上げたように、お父さんは「不自由は構わない」とおっしゃるけれど、われわれ子供の立場からは、それを黙って放っておくわけにはいかないんですよ。英三夫婦とも相談し...
岸田 国士

初級翻訳・雪だるまの幻想(ラジオ・ドラマ) 第1話

音楽 少女たちの合唱(歌というよりは、遠くから次第に近づいてくるような不思議な響きで)雪が降る日に わたしたちは目を覚ます雪が消える日に わたしたちは眠りにつく悲しみもなく 怒りもなくよろこびもなく ただ静かにわたしたちは息づき風に舞い 大...
岸田 国士

初級翻訳・苦労人クウルトリイヌについて 第1話

『わが家の平和』というお話を書いたジョルジュ・クルトリーヌさんは、ぼくが大好きな劇作家(劇の台本を書く人)の一人なんだ。彼の名前は、フランスのパリではものすごく有名なんだよ。ちょうど、日本でいう菊池寛(きくち かん)さんのようにね。彼の作る...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第9話

家の方は、そんなに広くなくたっていいよね。あや子 そんなこと言って、いや、ごまかそうとしたって……。あたし、もう聞かないからね(と首を振る)亮太郎 だから、僕が悪かったって言ってるじゃないか。もうわかったよ。何とも思っちゃいないよ。あや子 ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第8話

あや子 おだてないで頂戴。亮太郎 おだててるわけじゃないけど、あれでは、そばにいる男は物足りないよ。こっちは、ひと通り勇ましい気持ちになって、君の出方一つでは「僕がついているから安心しなさい」ってなことを、涙ぐみながらでもさ、男らしく言って...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第7話

(立ち上がって、辺りを見回す)誰か、ちょっと来てください!(返事がないので、自分で母屋の方へ走っていく)やや長い間。亮太郎 (かすかに目を開けて、手を額のあたりに当ててみる。それから、痛む喉をさする)あや子 (金だらいに水を入れて持って来る...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第6話

誰かと話がしたいときは――ここに来れば誰かしらいる。それに、特に君のそばに行きたいと思えば、ここに来さえすればいい。――君も、どうやらここよりほかに気に入った場所はないみたいだしね」あや子「そんなことないわよ……」亮太郎N「別に悪いことじゃ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第5話

別に行ったってしょうがないんだけど、家のことで、また何かと世話になる奴も来るしするから、顔だけでも出しておこうと思うんだ。遅くなっても泊まらずに帰ってくるよ。終列車に乗れば、明日の昼には帰れるからさ……。あや子 そう……じゃあ、仕方がないわ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第4話

二十三にもなれば、男の恋愛なんて空想の域を出るものさ。誰もいない川べりで魚が泳ぐのを見ているふりをして、そこを通りかかった女の子を呼び止めてみるくらいの度胸は自然とついてくるもんさ。それだけじゃない、何かこっそり手渡しでもしたって言うのかい...
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