金 史良

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親方コブセ

初級翻訳・親方コブセ 第4話

いよいよ全員揃って乗船することになり、乗船する人たちだけがぞろぞろと入口から入り始めました。はじめ、親方は入口の端にピタッと張り付いて、ニラニラと笑いながら見送っていました。その姿はまるでウサギのようで、目は赤く、口元はしきりにクチャクチャ...
親方コブセ

初級翻訳・親方コブセ 第3話

しかし正直なところ、私はこのX市へ「二百メートル競走に出るくらいの軽い気持ちで遠征しよう」とやって来たものの、目の前で長鼓が鳴り、笛がピーヒャラと響き、たとえにごり酒であっても「お酒」と呼ばれるものが少しでも体内に入ってしまうと、自然と肩が...
親方コブセ

初級翻訳・親方コブセ 第2話

部屋のあちこちで七輪の火が赤々と燃えていて、男の人たちが、ある人はしゃがみ込み、ある人は片ひざをつきながら七輪を取り囲んで、三十人から四十人ほどがぎっしり詰まっています。みんなでお肉の内臓部分を焼きながら、にごり酒の入った白いお酒の器をまわ...
親方コブセ

初級翻訳・親方コブセ 第1話

X市で働く土工(どこう)たちの親方で、「コブセ」というあだ名の男の噂は、ずいぶん前から耳にしていました。でも、私がじかに彼と会ったのは、金鵄(きんし)勲章の値段がまだ九銭から十銭になる直前のことだから、本当にほんの少し前のことです。それは、...
天馬

初級翻訳・天馬 第16話

こうして彼は、目だけを赤々と燃え上がらせ、まるで狂った泥牛(でいぎゅう)のような恐ろしい姿になっていきました。だが実際のところ、今度こそはお経や念仏が漂う海風にあおられて、ふわりふわりと天上の世界へ上っていきそうな心地がしていました。しかし...
天馬

初級翻訳・天馬 第15話

じめじめとした狭い路地には、家々がゴミ箱のようにギスギスと並び合い、下水には灰や汚いものが捨てられたり流されたりしていたため、強烈な悪臭がムンムンと立ちこめ、激しい風にあおられて灰やホコリがビューッと吹き荒れていました。細い路地を抜けて、遠...
天馬

初級翻訳・天馬 第14話

陶器が割れたような自分の声が、いつもと少しも変わっていなかったので、「なんだ、やっぱりもう大丈夫だ!」と胸をなで下ろしました。むさくるしい部屋の中がまだ薄暗いところを見ると、朝はまだ早いようです。一日中ちっとも太陽の当たらない、まるで穴ぐら...
天馬

初級翻訳・天馬 第13話

「少くとも地理的にみても、考古学的にみても、それから人類学的にみても、即ちアントロポロジー的にみても、生物学的にみても……」こうしきりに並べたてる時、角井ははたと学者的な良心に突き当ったので、「それは君、アントロポロジーじゃなくてアントロポ...
天馬

初級翻訳・天馬 第12話

そうだ、これこそが朝鮮の知識階級による生々しい自己反省なのだ。これをぜひとも日本の読者に知らせてやろう。「あの有名な尾形に自分の眼力が負けてたまるか!」と力みつつ、田中は心の中でしみじみと深い喜びを感じていた。「支那人のことなんか分かるはず...
天馬

初級翻訳・天馬 第11話

角井も、ちょうど自分ひとりで二度目の盃を口に運ぼうとしていたところだったが、明子の名前が飛び出したものだから、思わずお酒を吹き出しそうになってしまった。そして、それだけでは我慢できなくなったのか、「はははっ」と声を上げて大笑いした。なぜなら...
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