岡本 かの子

スポンサーリンク
岡本 かの子

初級翻訳・茶屋知らず物語 第2話

せっかくの機会ですから、娘さんたちに三帰(さんき=仏様の教えを受け継ぐ誓い)を授けてあげましょう。私が唱える通りに、みなさんも手を合わせて唱えなさい」「それがいい、それがいい!」円通さんも大賛成しました。まるでキツネにばかされたかのようなポ...
岡本 かの子

初級翻訳・茶屋知らず物語 第1話

昔々、元禄から享保という時代のこと。関西に、法眼(ほうげん)さんと円通(えんつう)さんという、二人の有名な和尚さんがいました。二人はどちらも、独湛(どくたん)という偉い先生の弟子で、性格も世間離れしていたので、とても仲の良い親友同士でした。...
山のコドモ

初級翻訳・山のコドモ 第1話

ヤマキチは、山の奥に住む木こりの子どもでした。小さいころから、山の動物や鳥たちと仲よく遊んで育ちました。ある日、ヤマキチの友達である一羽の大きなタカが、ヤマキチをひろい翼に乗せ、まるで飛行機のように空を飛んで、しばらく高い木の上で休みました...
ひばりの子

初級翻訳・ひばりの子 第1話

今年で八才になる一郎さんと、六才になるたえ子さんを、心が優しくて親切な婆やが、ひとりで大切にお世話していました。その婆やが、ある日のこと、実家へ用事があって出かけた帰り道に、かわいくてたまらないひばりの赤ちゃんを一人、着物のたもとに入れて連...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第14話

ゆらりと離れては、また開く。大きさは、両手の親指と人差し指で大きく囲んだくらいの、白牡丹の花ほどもありましょうか。それが、一匹の金魚だったのです。その白牡丹のような薄絹のひれには、さらにスミレ色、朱色、藤色、薄青などの模様があり、さらに墨色...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第13話

昭和七年の晩秋、京浜地方に大暴風雨があり、東京市内は坪当たり三石一斗という記録的な雨量で、谷窪の大溝も溢れ出し、せっかく仕立て上げた種金魚の片割れを流してしまいました。同じく昭和十年の秋の豪雨は、坪当たり一石三斗で、この時もほとんど流しかけ...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第12話

「何も悪いことはありませんけれど、谷窪の家の人たちから見えるでしょう。あの人はまだ独身なんですもの」「金魚の技師の復一君のことかね」「そうです」すると夫は少し興奮した様子で、軽蔑するように言いました。「君もその人と結婚すればよかったんだろう...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第11話

翌年の花の季節が巡ってくると、雄魚たちの胸びれには、春の宵空のように潤んだ目のような「追星(おいぼし)」が現れた。すると魚たちの本能が、彼ら自身も抑えきれないような素振りを見せ始める。艦隊のように堂々とした隊列で泳ぎ回ったり、闘鶏のように互...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第10話

そればかりでなく、お願いしておきますが、僕には最高級の金魚を作る専門の仕事をさせてください。これなら、命と引き換えにするつもりでやりますから」「僕は妻もいりませんし、子孫を残す気もありません。素晴らしく豊麗な金魚の新種を創り出す――これが僕...
岡本 かの子

初級翻訳・金魚撩乱 第9話

すでに七、八歳になっているため、中年を過ぎたような落ち着きがあり、その魅力は垢抜けていました。しばらく眺め入ったあと、復一はガラス鉢に元のように蓋を戻します。そして自分の席に戻るとき、先ほどキャリコが泳いでいたのと同じような体のひねり方を、...
スポンサーリンク