鈴木 行三

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塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第38話

今日が預かり始めだ」すると多助は言いました。「お金はいりません。これは余所の物を拾ったのではなく、家の物を拾ったのですから、旦那様へ差し上げます。私がこうして皆に見せれば、少しは皆も草履を大事にするだろうと思って手本に貯めただけで、お金を貰...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第37話

丹治はそれを間一髪でかわし、懐へ飛び込んで仁助の刀をねじり取ると、丹治「邪魔をするな!」そう叫んで、力任せに切りつけました。天命でしょうか、仁助はその場で斬り倒されました。それを見た小平は「たまらない」と庭の方へバラバラと逃げ出し、丹治はそ...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第36話

……ところで、あなた方はこれからどちらへお出でなのですか? もし江戸へいらっしゃるなら、本街道の中山道へ出てはいけませんよ。お尋ね者の人相書きが回っていますから」丹治「ええっ、人相書きが回っているだと? それは一体どういうことだ」おかく「そ...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第35話

眼下には削り取ったような谷があり、吾妻川の流れる音も冬の中頃ゆえ水は涸れてはいますが、名高い急流だけあって、岩に当たって落ちる水音が「ゴーッ」と物凄く響き渡っています。丹治「困ったな、雪が降ってきたぞ」おかめ「旦那様、いけませんねえ。ここか...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第34話

角右衛門「黙れ、早く行かぬか! 炭屋の下男に知り合いなどおらん。ぐずぐずしていると、障子越しに槍で突き殺すぞ!」多助「はい、参ります。突き殺されては仕方ありません。ああ、ありがたい親心だ。本当はお父様だって会いたいけれど、義理堅い人だから、...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第33話

ここへ置くと邪魔になるから、空いている場所があるからそこへ入れておくれ」多助「それならこの戸袋の下へ入れておきます。犬が小便をかけると火をつけた時に臭いですから、戸を立てかけておきますね」そう言いながら縁側の方を見ると、旅の荷物に縛り付けら...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第32話

あははは、私も紋付きの筒袖は初めて見ました」善「選りによって『轡(くつわ)』の紋付きを買ってきたのはどういう訳だ? まるで薩摩様の御紋所のようだな。多助、何かそれがお前の家の定紋(じょうもん)か?」多「そうではございません。旦那様、聞いてく...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第31話

善右衛門「今帰ったぞ」主人が声をかけると、奉公人たちが皆出てきて、「へい、お帰りなさいませ!」と挨拶をしました。奉公人「ずいぶんお帰りが遅いので、お迎えに出ようかと思っておりました……おや、夜分に乞食を連れ込んで、困りますねえ」善右衛門「乞...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第30話

小前(村の平民)の者が間違ったことをすれば諭してやるのが名主様の役目なのに、その名主様ともあろうお方が、親類に内緒で済ませるなんてことがありますか」幸左衛門「それは、ごもっともなように聞こえるし、確かにその通りだが……先ほども言った通り、こ...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第29話

宇都宮なら食べずに歩いてでも行きますが、三百里も先ではどうしようもありません」役人「グズグズ言うな、あっちへ行け!」多助「はい、参ります……」そう言って立ち去りましたが、頼みの綱もすべて切れ果てました。これからは飢えて死ぬよりほかに道はない...
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