佐藤 春夫

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佐藤 春夫

初級翻訳・蝗の大旅行 第2話

新聞を読むのに夢中になっているほかの乗客たちは、誰一人としてこの風変わりな小さな乗客には気づかなかった。それが結局、この小さな乗客にとっては幸せなことなのだろう。それにしても、このバッタはどこまで遠くに行くつもりなのだろう。ここまでやってき...
佐藤 春夫

初級翻訳・蝗の大旅行 第1話

僕は去年の今ごろ、台湾というところへ旅行をしたんだ。台湾というのは、言うまでもなく「ものすごく暑い」ところなんだけれど、その代わりに、南の方では夏の間ほとんど毎日夕方になると雨が降って、夜には遠い海を渡って気持ちのいい風が吹いてくるから、「...
佐藤 春夫

初級翻訳・柱時計に噛まれた話 第1話

文字は星のようにあざやかな金その文字板は死のようにまっ黒ぐるりは花と葉との浮彫さてその振子と言えばそれは風にゆれるたった一房の葡萄の実熟れて命のように甘いたった一房このよき細工人は無名でこそあったがエピクロスほどの賢者だった美しい教えはつつ...
伝説と事実 鷹を飼つた話

初級翻訳・伝説と事実 鷹を飼つた話 第2話

体長は一尺六、七寸(約五十センチ)くらいに思えたから、翼を広げると小さな庭の片隅では少し窮屈で、足元も危なっかしい感じがした。「大丈夫だとは思うが、なるべく鷹の顔は外に向けて置くがよい。もし間違って眼でも突かれたら、鷹をくれた私が申し訳ない...
伝説と事実 鷹を飼つた話

初級翻訳・伝説と事実 鷹を飼つた話 第1話

「鷲を飼った話を書け」と言われた。けれど、僕はまだ鷲なんて飼ったことはない。飼ったのは、ただの「鷹」だったんだ。それを鷲だなんて言われるのは、僕(春夫)にまつわる数多い伝説の一つに過ぎない。昔から文豪というものは、たくさんの伝説を持っている...
おもちゃの蝙蝠

初級翻訳・おもちゃの蝙蝠 第1話

あるところに、一匹のコウモリがいました。それはおもちゃで、ボール紙を切り抜いた上に、紫色のきれいな紙がはってありました。そして、小さなゼンマイじかけで、バタバタと飛ぶように作られていたのです。ところが、ある日のこと。このコウモリが、どういう...
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