論語物語

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下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第54話

彼はそう思うことによって無限の喜びを感じた。(自分の歩いて来た道は、万人の道だ。自分は今、何人が自分の言葉に従って自分のあとを歩もうとも、いささかの不安も感じない。なぜなら、自分の言葉には、ただの一つも空想がなかったからだ。自分は自分の言葉...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第53話

しかし、あの頃はもうわしも五十歳をこしていた。自分の進むべき天命(てんめい)を、はっきりと知ることができておったのじゃ。だから、わしはその信念に基づいて、何の不安もなく政治を行うことができた。中部の宰(さい)、司空(しくう)、大司寇(たいし...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第52話

わしは、しかし、節だけはわかったが、まだ拍子が十分のみこめないので、そういって当分その曲だけをつづけて練習することにした。ところが、また十日もたつと、『拍子もそれで十分だ、次の曲にしよう。』という。しかし、わしには、まだその曲の気持がわから...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第51話

当時の貴族やエリートの子どもたちは、十三歳になると詩を学び、音楽を習うのが当たり前だったからです。孔子がいくら子どものころ貧しかったとはいえ、十五歳になるまで何の教育も受けていなかったというのは、どうにも信じられない話だったのです。「なるほ...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第50話

蒼い空のもとに、静かに、しかしその底に限りない悩みをたたえながら、中国という国がその運命的な息を吸って吐き出している。天と地がどこで交わっているのかはわからない。中国の大地から漏れる息が、青空の裾をわずかに溶かして、この地上の様々な悩みを隠...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第49話

……子貢も安心してくれ。やはり、いい買手がついたら、身売りをしたいのが、わしの本心じゃ。ははは。」今度は子貢が顔を真っ赤にした。顔淵と、閔子騫と、漆雕開の顔には、かすかな微笑が浮かんだが、それは一秒とたたないうちに消えてしまった。孔子は間も...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第48話

そうした素晴らしい心を生かすことの前では、お役人になるかならないかなんて小さな問題にすぎん。そもそも、いまの世の中の人は、早く役人になりたがりすぎる。早く役人になったからといって、それが偉いわけではないのだ。3年間ずっと学問に真面目につとめ...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第47話

「今のは一たい何のことだい。」と、一人がたずねた。「ただ一つのものって云っただけじゃ、まるで見当がつかないね。」と、他の一人が云った。「曾君はいかにも解ったような返事をしていたが、ほんとうに自信があったのかい。」と、また他の一人が突ッかかる...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第46話

君等がわしに学ぼうとするなら、わしの生活を見ればいい。言葉は道ではない。わしが口で言わないからといって、何も君等に隠してはいないのじゃ。孔丘という人間は、そんな人間だと思ってくれ。――どうだ、ぎゃふんと参るじゃないか。」 みんなは默って考え...
下村 湖人

初級翻訳・論語物語 第45話

大昔からずっと受け継がれてきた尊い先王の道を、後世の人々にしっかりと伝えることによって、永遠に生き続けたいのじゃよ!」孔子はそう言いながら、はるか遠い過去と、はるか遠い未来を同時に見つめているような、とても深く鋭い眼差しをした。子路も、そし...
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