正岡 容

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円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第7話

来月、真打として看板を上げたら、俺は高座で本物のラッパを吹いて、この乗合馬車の御者の物真似をしてやろう。 そうして、これほどまでに開化した日本の美しい姿を、せめて俺も自分らしい芸のなかで祝福しよう。 途端に圓太郎は、右手で鞭を打ち鳴らす格好...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第6話

今までずいぶんといろんな弟子をとってみたが、死んだぽん太とお前ほど奇妙な奴は初めてだ」圓朝は笑いました。ぽん太というのは、蚊帳(かや)を着物に仕立て直して、その四隅についている輪っかを紋の代わりに結びつけて平気な顔をしていた、そんな変わり者...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第5話

女のお八重に吊れるものが、男の、まして大工のお前さんに吊れないんだ」圓朝は笑った。「でもそんな、そんな。そんなはずはほんとにないんだけれどなあ」なおもひとしきり小首を傾げて考えていたが、やがてのことにポンと手をうって、「あ、わかった師匠。じ...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第4話

「はい、これ」その棚板を左手でかかえ、右手で金槌を持ち、口に釘を三、四本くわえて、圓太郎は荒神様と鼠入らず(ねずみいらず)の間の板壁のところまで行くと、瞬く間に棚をひとつ吊り上げました。すっかりこしらえ終えると、二、三間離れて様子を見、また...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第3話

あの娘が持っているもの一つ一つが、みんな血の通った親しさや懐かしさのように感じられたのです。でも、あの娘が俺みたいなドジで間抜けな野郎に惚れてくれるはずがない。そう考えると、急に日が暮れたように寂しくなりました。「仕方がないや。高座は一人前...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第2話

なるべく人の出そうなところへ行って売るんだ」「売るって、何を売るんだい?」「お精霊さまのときにぶら下げる、あの盆提灯だよ」一段と声を低めて、今輔は言いました。「あれを売るんだ。元日の朝なら、羽が生えたように飛ぶように売れていくぜ」「ふーん、...
円太郎馬車

初級翻訳・円太郎馬車 第1話

暮れも押し詰まった夜の浅草、並木亭でのこと。 高座の上では、若手の落語家・橘家圓太郎が、この寒さだというのにボロ布を一枚羽織っただけで、安っぽい風呂敷をだらりと帯の代わりに巻きつけ、とぼけた顔つきで高座の端っこに座っていました。 クリッとし...
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