村で一番の栗の木(五場)

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岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第9話

家の方は、そんなに広くなくたっていいよね。あや子 そんなこと言って、いや、ごまかそうとしたって……。あたし、もう聞かないからね(と首を振る)亮太郎 だから、僕が悪かったって言ってるじゃないか。もうわかったよ。何とも思っちゃいないよ。あや子 ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第8話

あや子 おだてないで頂戴。亮太郎 おだててるわけじゃないけど、あれでは、そばにいる男は物足りないよ。こっちは、ひと通り勇ましい気持ちになって、君の出方一つでは「僕がついているから安心しなさい」ってなことを、涙ぐみながらでもさ、男らしく言って...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第7話

(立ち上がって、辺りを見回す)誰か、ちょっと来てください!(返事がないので、自分で母屋の方へ走っていく)やや長い間。亮太郎 (かすかに目を開けて、手を額のあたりに当ててみる。それから、痛む喉をさする)あや子 (金だらいに水を入れて持って来る...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第6話

誰かと話がしたいときは――ここに来れば誰かしらいる。それに、特に君のそばに行きたいと思えば、ここに来さえすればいい。――君も、どうやらここよりほかに気に入った場所はないみたいだしね」あや子「そんなことないわよ……」亮太郎N「別に悪いことじゃ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第5話

別に行ったってしょうがないんだけど、家のことで、また何かと世話になる奴も来るしするから、顔だけでも出しておこうと思うんだ。遅くなっても泊まらずに帰ってくるよ。終列車に乗れば、明日の昼には帰れるからさ……。あや子 そう……じゃあ、仕方がないわ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第4話

二十三にもなれば、男の恋愛なんて空想の域を出るものさ。誰もいない川べりで魚が泳ぐのを見ているふりをして、そこを通りかかった女の子を呼び止めてみるくらいの度胸は自然とついてくるもんさ。それだけじゃない、何かこっそり手渡しでもしたって言うのかい...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第3話

本はなかなか読むらしいけど、一体どこから探してくるんだか」あや子 「でも、そういう方も面白いわね。私、素朴で飾り気のない人って好きよ」亮太郎 「馬鹿じゃないんだよ、あいつは」あや子 「馬鹿だなんて、そんなこと言ってないわ……。じゃあ、東京の...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第2話

わからないかなあ、田舎の百姓のおじいさんがどんな格好をしているか……」あや子 「百姓のおじいさんっていったって、普通のお百姓さんじゃないんでしょう?」亮太郎 「大して変わりやしないよ。僕がクシを使って髪を整えていたら、息子が女の真似をするよ...
岸田 国士

初級翻訳・村で一番の栗の木(五場) 第1話

亮太郎あや子ほかにも、しゃべらない人が何人か第一場山の中の小さな駅――待合室真夏の早朝。ちょうど電車が出発したばかりのような雰囲気。二、三人の旅行客に混じって、都会から来たらしい若い夫婦が、改札口の方からやってきます。すみに場所を選んで荷物...
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