中 勘助

スポンサーリンク
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第37話

木霊も声をひそめて、親しい歌い手たちの静かな時間に水を差すことはありませんでした。晩ごはんの食卓には真っ白なテーブルクロスがかけられ、ばあやは横に、姉様と私は向かい合って座りました。恥ずかしいような、嬉しいような、寂しいような、悲しいような...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第36話

私はいつもの通り、そんな当たり前のことに原始的な嬉しさを感じて、幸福な半日を歌い明かしたのち、夏の日の海に太陽が沈むころ、ようやく譲葉(ゆずりは)の垣根の中へと帰りました。二十私は足を洗うために裏庭を回って、もう風呂が沸いている時間だろうと...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第35話

そこで今度は、通りがかりのおじいさんに話したところ、おじいさんは造作もなく引き受けてくれて、「ともかく自分の家へ来れば、善光寺へ行く飛脚と一緒に立たせてやる」と言ってくれました。ばあやはそれを真に受けておじいさんについて行ったのですが、一ヶ...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第34話

暇を持て余した、気楽で気のいい人たちは、「いつも伯母さんが自慢している『〇〇ちゃん』ってどんな子かしら?」という好奇心もあってやってきたのですが、その評判の「〇〇ちゃん」が普通の子供だと知ると、親切にも一度家へ帰って、砂糖をたっぷりまぶした...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第33話

いつになく近くに座らされて汗びっしょりになりながら、今までこの人を死ぬまでも石仏みたいにして鈴を鳴らすだけの人と決めつけていた私は、その一挙一動を何か珍しいことのようにじっと眺めていました。老僧は大きな硯(すずり)を持ち出して墨をすらせ、筆...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第32話

竿の先でちょんちょんと叩いてみると、イガがぴょいぴょいと首を振って、いかにも美味しそうな手応えがします。そこでこつんと一つ叩くと、バラバラと落ちてきます。飛んでいって拾い集めます。そして三つに一つは、味見といって食べてしまいます。イチゴ、柿...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第31話

いろいろな理由から、無邪気さや快活さ、普通の子供が持っているはずの幸福を多く失っていた「子供らしくない子供」が、本当の子供らしく楽しい時間を過ごせた場所。引っ込み思案で憂鬱な子供が、太陽の光の下でしか得られないような、自然についての子供らし...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第30話

けれども、誰ひとり教えてくれる者はなく、部屋に閉じこもって何度も何度も描き損ないながら、さんざん苦心をして、ひとつの線の引き方も、ひとつの色の出し方も、みんな自分ひとりで工夫しなければなりません。併しながら、これは私にとって言わば自由な創造...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第29話

母や伯母は「面倒だ、面倒だ」と言いつつも、実はいくらか得意そうで、もう二度と戻ることのない昔の苦労を懐かしみながら、楽しそうにいそいそと桑を刻んでやります。はじめはただ葉の下に隠れているだけだったのが、日に日に大きくなり、坊主頭を振り立てて...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第28話

平らな地面と傾斜した浜の境目には、盛り上がった砂丘があり、そこに雑草や風に吹き溜められた黒松がへばりついています。また、すっきりとした漁船が引き上げられていて、舟を滑らせるための枠や、鳥の巣みたいな生け簀、あか汲み、縄、ウニの殻、ヒトデの殻...
スポンサーリンク