林 芙美子

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林 芙美子

初級翻訳・鶴の笛 第2話

「誰も威張らずに、みんなで分け合って食べ合う気持ちがあるのなら、帰っていらっしゃい」足の悪い鶴が言いました。帰ってきた鶴たちは喜び、涙を流しました。それからは、みんなで働きに出かけ、みんな仲良く分け合って食べました。――賑やかで美しい鶴の国...
林 芙美子

初級翻訳・鶴の笛 第1話

昔のこと、ひどい飢饉(ききん)がつづいた年がありました。その村には、たくさんの鶴が住んでいました。鶴たちは毎日、一生懸命食べ物を探して歩き回りましたが、どこにも食べるものは見当たりません。気の早い鶴たちは、みんな旅の支度をして、遠くの空へと...
林 芙美子

初級翻訳・絵本 第1話

赤い屋根の、とても小さな家に、お婆さんがひとりで住んでいました。お婆さんは耳も遠いし、目もかすんでよく見えませんが、いつも何だか楽しそうにしています。娘さんが子供のころに使っていたような小さな針箱をそばに置いて、涼しい場所でお昼寝をするのが...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第7話

「おい! おいたしてると、いい加減にしなさいよッ」二階の階段の上から、寛子の顔が生首のように覗いた。階下では、菅子の優しい声で、「子供なんだから放っておきなさいよ」と、姉をたしなめる声が聞こえる。「真っ暗だね? 眠いなら二人とも降りてきなさ...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第6話

――早く啓坊にご飯でも食べさせてやりなよ」「シラを切って、何なんですかッ、私が何も知らないと思って……みーんな知ってますよ」「知ってるならなおさらいいじゃないか、俺がオオカミみたいに酔っ払って帰ってきたからって、何もお前が知ってるって威張る...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第5話

尺八教習所といっても、部屋の隅には布団が三、四人分も重ねてあり、七輪だの、茶碗だの、古机などが雑居している。「腹はどうだね?」「…………」「ええ? 遠慮はいらないんだよ」「…………」「おや! 小僧はいつの間に唖になったんだ?」「田崎、啓吉っ...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第4話

勘三は封筒から拾円札を引き抜きましたが、ふと何かを思い直したように、そのお札をまた封筒の中へしまい込みました。「うーん……」勘三はそう唸りました。「ねえ、それ拾ったものだけど、僕たちのものじゃないんだろう?」「そうだよ。この持ち主の女性だっ...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第3話

第一、私が読んだって面白くないんだもの……」「おい、あまり人の前で本当のことを言うなよ!」寛子は二階からぎくしゃくした茶膳台を持って降りてくると、濡れ布巾でごしごしと拭いて、茶碗を並べ始めました。「もうご飯にするの?」「ええ、この人が座れば...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第2話

走り去る町の景色を眺めながら、どんな口実で啓吉を預けようか、それを考えるだけで気が重くて仕方がなかったのだ。「あ、いつか叔母さんと行ったお風呂屋さんがあるね」 啓吉がびっくりするような大きな声で言った。「運転手さん! この辺でいいわ」 自動...
林 芙美子

初級翻訳・泣虫小僧 第1話

一 二匹のエンマコオロギが、重なり合うようにして這(は)いまわっている。啓吉(けいきち)は、草がボーボーと生い茂った薄暗いところまで行き、少し離れた場所から向かい合っているコオロギたちの様子をじいっと観察していた。小さなオスのコオロギが触角...
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