大根の葉

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壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第11話

「さあ、それじゃあそろそろ帰ろうか、健。克ちゃんが待っているからね」いつの間にかすっかりおとなしい元の顔に戻っていた健は、お母さんの言葉が終わるか終わらないかのうちに、パッと元気に立ち上がりました。そして中の間をスーッと通り抜けて、納戸から...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第10話

「はい、それがですね――」お母さんは言いにくそうに、ちょっと言葉を切りました。みんなはお母さんの顔をじっと見つめました。「――だいぶ見えるようにはなったんですけど、片方の目がまた失敗してしまって……。もう一回手術をしないといけないんですが、...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第9話

健ちゃんはおじさんといっしょに縁側の右手の入口へ回り、薄暗い土間に入っていきました。太郎くんのお母さんが大きな鍋をさげてかまとこ(かまどのある場所)から出てきました。「太郎さんのお母さん、今日は味噌汁を作ったんだよ。すごくおいしそうなにおい...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第8話

健ちゃん、くさい野菜は本当に嫌いなんだ!」「おお、そうかそうか、ちょっと待ってくれよ。」 おばあさんは健ちゃんを抱いたまま歩き、今度はほうれん草をちぎってふいてやりました。ぶううん――と、尾を切ったような汽笛が響いてきました。汽船が健ちゃん...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第7話

」 相変わらず天秤棒にしがみついたまま、おばあさんは豚小屋に背を向けて海のほうを眺めながら、すっかり落ち着き払っていました。目の下には、同じように並んだ家々の黒い屋根瓦がモザイクのように集まっています。そのところどころを縫うようにして、すも...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第6話

腰のまわりにたくさん生えている麦の穂が、まわりの麦とすれあってサラサラと音をたて、青い麦の波がゆらゆらと揺れました。ばあやんは石垣の端に立ち、健ちゃんたちが通りすぎるのを待って、雑草がいっぱいにつまったカゴを道にドスンとぶちまけました。腰に...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第5話

くりくりした丸い胴体に、ちょこんとのっかった並外れて大きな頭をふりふり駆け回りました。健ちゃんより足の遅い子供は誰もいません。健ちゃんはいつまでたっても鬼のままでした。胸がどきどきしてきました。顔をしかめ、立ち止まってハアハアと肩で息をしま...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第4話

ねえ、健ちゃんは今、目が見えなかったでしょう。お母さんが目隠しをしたからね。でも、目隠しをしなくても目が見えなくなったら、健ちゃんどうする?」「そんなの、嫌だ!」健ちゃんは目を激しくしばたたかせながら、しみじみとした様子でお母さんの顔を見上...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第3話

」お母さんは克ちゃんの顔ばかりをじっと見つめています。「克ちゃん、目々をあけてごらん。ねえ、お目々をあけて見せてちょうだい。」健ちゃんはおそるおそる、そろりそろりとお母さんに近づいていきました。お母さんの膝にそっと両手をふれて、その顔を見あ...
壺井 栄

初級翻訳・大根の葉 第2話

「健ちゃんと克ちゃんと、どっちがお母さんの言うことをよく聞くかなあ?」「けん!」「よし! じゃあ健ちゃんはおばあちゃん家、行かないね。」お母さんはちゃっかり論法でせめてきた。思わず油断して引っかかってしまった健ちゃんは、あわてて足をダンダン...
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