水中の宮殿

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初級翻訳・水中の宮殿 第10話

健一と綾子と燿子は、引きずるようにして二人の男を隧道の外へ出しました。夜の新鮮な空気に当てて少し介抱すると、幸い正気だけは戻ったので、見張りの人夫に担がせて、とにかく小屋まで運び込んだのは、もう夜の十時近かったでしょう。「いや、翠川君、言葉...
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初級翻訳・水中の宮殿 第9話

父が新たに出資して、綾子さんを支えているのです。株式会社というわけでもありませんから、出資も事業の継続も自由なはずだと聞いております」「翠川氏が? なんという馬鹿なことに手を出したものだ」唐崎荘之介はプリプリと怒りましたが、翠川健太郎といえ...
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初級翻訳・水中の宮殿 第8話

生きるも死ぬも一緒だ」「お兄様!」「燿ちゃんは左から、綾子さんは右から、僕のベルトを掴むんだ。絶対に手を離してはならないぞ。――そして、できるだけ底の方を潜るんだ。水は隧道の天井すれすれまで来ているから、天井に吸い寄せられたら大変だぞ」「大...
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初級翻訳・水中の宮殿 第7話

あわてさえしなければ、この少女の優れた頭脳は、難関を切り開く鍵となるはずです。「そう言えば、ここへは水が来そうもないね」と健一。「隧道の入り口からは、元の通り入っているでしょう。きっとどこかへ水が抜けるんだわ」 燿子は懐中電灯を振り照らして...
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初級翻訳・水中の宮殿 第6話

念のために鶴嘴(つるはし)で二つ三つ叩いてみたら、ポコリと大きな穴が開いてね」「えっ」「覗いてみると、立派な隧道(トンネル)だよ。中は石で丁寧に畳み上げてある。宝庫の入り口かもしれないと思ったから、大急ぎで穴を塞いで帰ってきたんだ。何しろ、...
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初級翻訳・水中の宮殿 第5話

「まあ、まあ、お嬢様」そう言って迎えてくれた中年の夫人は、昨年猫間ヶ淵で亡くなった潜水夫の妻で、お高さんという――白い割烹着に、引詰めた束髪といった、思いの外東京風の女性です。小屋は板敷きの六畳間が二つと、それに小さな物置がついているだけ。...
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初級翻訳・水中の宮殿 第4話

滝山さんは金庫の鍵を持っているんだから、上の穴から手なんか入れなくたって、扉を開けて中を見られるはずじゃない」「でも、中にある『平泉館』の記録なんて、滝山はいつでも見られるものなんだから、わざわざ爺やさんを殺してまで奪う必要はないだろう?」...
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初級翻訳・水中の宮殿 第3話

早速自分も資金の一部を出し、広く世の中からも資金を募って、いよいよ仕事に着手したのは昨年の春のことでした。 幸運なことに歴史学者である立花博士は平泉の古記録を手に入れ、それに基づいて仕事を進めるうち、かつての柳の御所の跡から一枚の薄い銅板を...
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初級翻訳・水中の宮殿 第2話

「あっ」 中は二人の警官が警備しており、床の上には、まだ洗い流されていない血が、赤い膠(にかわ)のようにこびりついていました。「お嬢さんたちの入るところじゃありません。向こうへ行って、向こうへ」 二人の可愛らしい断髪の少女が入ってきたのを見...
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初級翻訳・水中の宮殿 第1話

「お嬢様、今すぐ鎌倉の翠川さんの別荘へ行ってください」「どうしたの、爺や?」「どうもしませんが、夏休みになったら泊まりに行くお約束でしたよね」「でも、爺や一人で不自由することはないの?」「私はもう六十八歳ですから、どんなことがあっても驚きま...
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