小川 未明

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小川 未明

初級翻訳・黒い旗物語 第2話

「昨夜は恐ろしい海鳴りがしたから、何か変わったことが起こると思っていたんだ」と老人が言いました。「よくもまあ、こんな荒波を越えてこの港の近くまでやってきたものだ。何か用があってここへ来たのだろうか」と一人が言いました。「ごらんなさい、あの船...
小川 未明

初級翻訳・黒い旗物語 第1話

一 どこからともなく、おじいさんと子供の二人の乞食が、ある北の港町にやってきました。 季節はもう秋の終わり。日に日に寒さは増し、太陽は南へと遠ざかって、差し込む光も力弱くなっていました。 毎日、渡り鳥たちが、まるで帆柱の林のように立ち並ぶ港...
小川 未明

初級翻訳・黒い人と赤いそり 第2話

みんなは不思議に思って顔を上げ、空を見ようとしました。すると、真っ青な海の上に、三つの黒い人間の影が、ぼんやりと浮かんでいるのが見えたのです。その三つの黒い影には、足がありませんでした。足があるはずの場所は、青い青い海の、うねりうねる波の上...
小川 未明

初級翻訳・黒い人と赤いそり 第1話

はるか北の国に伝わる、不思議な物語です。ある日のこと、その国の人たちが氷の上で、せっせと仕事をしていました。冬になると、海の上まで一面が分厚い氷で覆われてしまうのです。どれほど寒い場所なのか、想像できるでしょうか。地球の北の果てにあるため、...
小川 未明

初級翻訳・黒いちょうとお母さん 第1話

このごろ毎日のように昼過ぎになると、黒いちょうが庭の花壇に咲いているゆりの花へやってきます。最初、これに気がついたのは、お兄さんの太郎さんでした。「わあ、大きくてきれいなちょうだな。小鳥くらいの大きさがあるんじゃないか。もし弟が見つけたら、...
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初級翻訳・鳥鳴く朝のちい子ちゃん 第2話

「ちい子ちゃん、あんた忘れたでしょう。小さいとき、道を歩いていて、前を行くお姉さんを見て『お母さん、あんな靴がいい、わたしあれがほしいわ』と言ったことを。そのお姉さんの靴は、かかとが高くて先がとがったハイカラな靴でね。ダンサーとか女優さんが...
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初級翻訳・鳥鳴く朝のちい子ちゃん 第1話

ちい子ちゃんは、おふとんの中で目をさましました。どこからか、うぐいすの鳴き声がきこえてきます。「あら、ラジオかしら?」このごろは、お休みの日になると、いつも朝の放送で小鳥の鳴き声が流れるからです。でも、その声は、お隣のお庭の方からきこえてく...
小川 未明

初級翻訳・魚と白鳥 第2話

白鳥が子どもの訴えを聞き入れるはずもありません。白鳥は子どもをくわえたまま、ある大きな岩の上に止まりました。そして魚の子どもを岩の上に置くと、こう言いました。「もうおまえは帰ることはできない。俺はおまえを捕まえたとき、すぐにひと飲みにしよう...
小川 未明

初級翻訳・魚と白鳥 第1話

川のなかで、魚の子どもが冬の間じっとしていました。水はとても冷たく、流れも速かったからです。水の底は暗く、どんよりとしていました。魚の子どもは、長い間こうしてじっとしていることに、すっかり退屈してしまいました。「早く水の中を自由に泳ぎ回りた...
小川 未明

初級翻訳・高い木と子供の話 第2話

善ちゃん、登って捕っておいでよ」「垣根(かきね)を破って入ったら、しかられるからいやだ」と、善吉は頭を振りました。「だいじょうぶだ。ここで、見張りをしているから」「善ちゃん、君は、木登りがうまいんじゃないか?」「カラスがくると、頭をつつくだ...
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