田山 花袋

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海をわたる

初級翻訳・海をわたる 第4話

何とも言えない気持ち――悲しみとも憂鬱ともつかない別れの感情が、この五十日間、一緒にあちこちを旅してきた二人の胸いっぱいに広がっていきました。Sもさすがに船が出航するまでは、その場を離れることができませんでした。ベルが鳴り、エンジンの音が響...
海をわたる

初級翻訳・海をわたる 第3話

七三に結った娘がいたり、土地の芸者らしい女が男と立って話していたりしましたが、二人は別にそれについて言葉を交わすでもなく、そのまま彼らが泊まっている旅舎の入り口のところまで戻ってきました。 ちょうどその時、旅舎の番頭が電報用紙らしいものを手...
海をわたる

初級翻訳・海をわたる 第2話

三「君、電報用紙があったね?」大鞄の中を片付けているSのそばに行って、Kは言いました。「ええ――」「二、三枚くれないか?」「…………」そこにあるのをSは取って渡しました。「本社のTさんに、お礼を一通打っておきたいからね」こう申し訳のように、...
海をわたる

初級翻訳・海をわたる 第1話

一 長い間、ずっと心に描き続けてきたT温泉が、ようやく目の前に近づいてきました。そこへさえ無事にたどり着けば、あとはもう帰ったも同然です。 そこからFという町までは三里(約十二キロ)。その埠頭には、海をわたる連絡船が朝に夜にと決まって旅客を...
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