梟谷物語

スポンサーリンク
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第5話

広場に人夫とみえる男が四、五人、馬の背へ残りの荷物をしばりつけているところだ。お糸は走った。そして篝火の中から、燃えている松を一本ぬきとると、まだ荷をつけてない一頭の馬へ、いきなり飛び乗った。――積荷で夢中だった人夫たちがそれと気づいて、「...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第4話

「あっ」「動くな、拙者のにらんだ通り、お前はやっぱり土生一族の密偵だったな。――来い!」逃れようと、しきりにもがく少女の体を、石岡はずるずる引きずるようにして屯所の小屋へ入った。――そして、あきれている半九郎の前にどうんと突き倒した。「隊長...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第3話

「我々は敵にかこまれている、しかしこの砦はかたい、兵糧も弾薬もたくさんある、そして一日二日のあいだには三百人の後援隊が来るんだぞ、それよりおくれることは絶対にない、一日か二日だ、そのあいだがんばってくれ、わかったか」「官軍の名をけがすな」石...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第2話

しかし、そっと半九郎を見上げたひとみは、もうさっきほどおびえた色ではなかった。「いってごらん、こわいことはないよ」「はい、わたくしは酒田の御領分の者でございます。父は海産商人で名は市郎兵衛、わたくしはお糸と申します」「――うん」「父といっし...
山本 周五郎

初級翻訳・梟谷物語 第1話

慶応四年二月(この年の九月に明治という新しい時代になります)、天皇の命令を受けて奥羽(おうう)を征服するため軍を仙台に進めた九条道孝(くじょうみちたか)さまは、四月の初め、まず庄内藩(しょうないはん)の酒井忠寛(さかいただひろ)を討つため、...
スポンサーリンク