片山 広子

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掏摸と泥棒たち

初級翻訳・掏摸と泥棒たち 第2話

だからこそ、ときには自分のテクニックを過信して、失敗してしまうこともあるようです。「地下鉄サム」という小説に出てくる憎めない泥棒名人のような人物も、もし現実の世界にいたら、きっとあっさりと捕まってしまうに違いありません。有名な推理小説に出て...
掏摸と泥棒たち

初級翻訳・掏摸と泥棒たち 第1話

Y氏は、山手線に乗っていたとき、グループで活動する掏摸(すり)たちにポケットの中身をすっかり抜き取られて帰ってきました。その日、Y氏夫婦は帝国劇場で「モルガンお雪」という芝居を見る予定でした。Y氏の切符はポケットの中のほかの持ち物と一緒に掏...
大へび小へび

初級翻訳・大へび小へび 第3話

そして、そのあと、私たちが長いあいだ大切に住み続けてきたあの家は、空襲の被害を広げないための「強制疎開」によって取り壊され、今ではすっかりただの畑になってしまっています。今になって思い返してみると、まさにあの守り神(ヌシ)は、私たちの家や暮...
大へび小へび

初級翻訳・大へび小へび 第2話

このカゴのウリが実に怪しいと思われます」と、まるで目に見えているかのように言ったのでした。すると、源頼光がいきなり刀を抜いて、そのウリを真っ二つに切り捨てました。すると驚いたことに、ウリの中から小さなヘビが、くるくると体を丸めて隠れていたの...
大へび小へび

初級翻訳・大へび小へび 第1話

日本にはヘビの昔話がたくさんありますが、遠い外国のアイルランドの伝説にも、ヘビのお話がたくさんあるようです。日本と同じように、海に囲まれた島国だからかもしれませんね。私が最初に読んだお話は、はるか昔の大昔のことです。北のほうの山にある湖に、...
仔猫の「トラ」

初級翻訳・仔猫の「トラ」 第1話

トラ子はモミの木でできた首輪をして、庭にあるイチョウの木を駆け上がったり駆け下りたりしています。トラ子の木登りは、彼にとって唯一の特技で、私たちを楽しませるために一日に一度か二度は必ず披露してくれます。トラ子というのは、今年の六月に生まれた...
三本の棗

初級翻訳・三本の棗 第1話

いま浜田山の庭にある棗(なつめ)の木は、私にとっては人生で三本目の棗の木なんです。子供のころに泊まりに行った埼玉県の祖父の家には、大きな棗の木がありました。祖父の家の表門を入るとすぐ左手に、お米をしまう蔵が建っていました。それは古びているけ...
ジェミイの冐険

初級翻訳・ジェミイの冐険 第2話

おじょうさんはそれからも長いあいだ悲しそうにしていたが、だんだんジェミイの家の生活になれてくると、ぶたの世話をしたりにわとりのえをやったり、古い毛糸でソックスをあんだりするようになって、一年の月日がすぎた。また萬聖節の祭日がまわってくると、...
ジェミイの冐険

初級翻訳・ジェミイの冐険 第1話

むかし、ファネットの田舎に、ジェミイ・フリールという青年がお母さんと二人でくらしていました。夫を亡くしたお母さんは、息子だけをたよりにしていました。息子はその頼もしいうでで、お母さんのために一生けん命働き、毎週土曜日の夜になると、かせぎため...
ばらの花五つ

初級翻訳・ばらの花五つ 第1話

ばらの花五つ片山廣子 むかしの私は、すごく時間のたっぷりある人間だった。 どうしてそんなに時間があったのかなと考えてみると、やらなきゃいけないいろんな仕事をしなかったせいなんじゃないかと思う。 そんななまけものの人間が、ときどき忙しいことが...
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