佐藤 垢石

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佐藤 垢石

初級翻訳・純情狸 第4話

それはまるで、雨に打たれた牡丹の花が、今にも崩れ落ちそうなほど艶やかな風情でした。「その方は、狸であろう」そう言って、雀右衛門は小みどりを鋭く睨みつけました。突然の風変わりな問いかけに、小みどりは耳を疑うような表情で、雀右衛門の顔を仰ぎ見ま...
佐藤 垢石

初級翻訳・純情狸 第3話

「吉野さん、そう心配しなくてもよい、わしに考えがあります」「よき考えがあるか、助けてくれ」「殿様が好色であることは、藩の中で誰もが知らぬ者はいません。そこで、領内から見目よい女を二、三人探し出し、それを殿様に献上すれば、免職どころの話ではあ...
佐藤 垢石

初級翻訳・純情狸 第2話

名は小みどりといい、三味線、笛、太鼓はもちろんのこと、芸事全般に精を出し、本を読むことでも人には負けません。その上、美しい容姿はまるで薔薇の花にも勝ると言われていたのですから、大したものです。翌朝、小みどりが庭下駄を突っかけて花壇へ花を折り...
佐藤 垢石

初級翻訳・純情狸 第1話

私に董仲舒(とうちゅうじょ)のような素晴らしい学問の知識があれば、見事な詩の一句でも詠んで、あの「しゃもじ狸」をやっつけてやるところですが、悲しいかな私にはそんな才能はなく、ただただ怖くなって逃げ出すことしかできませんでした。それは本当に残...
佐藤 垢石

初級翻訳・海豚と河豚 第4話

よく干したものを削って耳かき一杯分ほど飲むと、体が自然と熱を帯びて精力がみなぎり、夫婦仲が驚くほど睦まじくなるという不思議な薬としても重宝されています。「抱肝(だききも)」も、恐ろしい部位のひとつです。抱肝とは河豚の肺臓のことで、肩甲骨の下...
佐藤 垢石

初級翻訳・海豚と河豚 第3話

これを友人たち数人と道玄坂の割烹店へ持ち込みましたが、残念なことに、あの船で食べたような調理の旨味を再現することはできませんでした。最近、大阪へ旅行した際に有名な新町の鯨料理屋へ行って食べてみましたが、ここの水炊きと醤油漬けはさすがに美味し...
佐藤 垢石

初級翻訳・海豚と河豚 第2話

牛肉とマグロの味の中間のようなものだ。かつて食べた缶詰にも、晒し鯨にもこんな上品な味はなかったが、一体鯨はどこの肉でもこんなに上品なものなのだろうか。そう尋ねると、船長は「いや、どこの肉でもというわけにはいかない」と答えた。この刺身にしたの...
佐藤 垢石

初級翻訳・海豚と河豚 第1話

一 世の中には「鯨」と名のつくものなら、たいてい食べてきた。「大井川の鯨(※当時の言葉遊びで、猪肉のこと)は、女性でもその味を知っている」といった話はさておき、山鯨(猪)、なめくじら、そして海豚(イルカ)に至るまで、その汁を舌の上に乗せてみ...
佐藤 垢石

初級翻訳・河童酒宴 第2話

河童という生き物は、実にとんでもない大酒飲みだ。生きた小馬を肴(さかな)代わりに眺めながら、強い焼酎を茶碗でがぶがぶと飲む。そこへ猫万どんも厩舎の影から這い出してきて、河童たちの輪に向かって無言で恭々(うやうや)しく頭を下げた。次第に夜が明...
佐藤 垢石

初級翻訳・河童酒宴 第1話

私の父親は、近所でも有名な大酒飲みでした。そして今、私も負けず劣らずの大酒飲みです。子供の頃から今日まで、六十年以上もずっとお酒を飲み続けてきました。母は、私が子供の頃にお酒を飲んでいるのを見ると、いつもこっぴどく叱ったものです。でも、父は...
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