酒虫

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芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第3話

眼にはいるのは、それだけであるが、同時に、劉の想像には、その瓶のうす暗い内部に、黄金のやうな色をした酒のなみ/\と湛へてゐる容子が、浮んで来た。思はず、ひびの出来た唇を、乾いた舌で舐めまはして見たが、唾の湧く気色は、更にない。汗さへ今では、...
芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第2話

見ると、背が高く、まるで紫石稜(しせきりょう:美しい宝石のような石)のような鋭い目を光らせた、見慣れない格好のお坊さんである。黄色の法衣を着て、その肩には、クルクルと縮れた長い髪をうるさそうに垂らしている。その男は、赤い柄のついたハエたたき...
芥川 竜之介

初級翻訳・酒虫 第1話

一 近年にないすさまじい暑さである。どこを見渡しても、泥で固めた家々の屋根瓦が、鉛のようにどんよりと日の光を照らし返し、その下にかけられたツバメの巣さえ、この様子では中にいるヒナや卵がそのまま蒸し焼きになってしまうのではないかと思えるほどだ...
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