幸田 露伴

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二日物語

初級翻訳・二日物語 第12話

娘は、高野の別所にあるという菩提の友を訪ねようと言って、風のように飄然と旅立っていったのだ。その後のことは私も知るよしもない。ツバメが忙しく飛び回り、ウサギが自らの毛を剥ぎ取るように、親というものは皆、自分を犠牲にして苦しむのが世の習いであ...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第11話

その上、我が子を愛するあまり狂いに入った意地悪な老婆(叔母)に責め立てられて、朝から晩まで過ごしている胸の内を思うと――「父上がいらっしゃれば、母がそばにいれば」と、親を慕って血を絞るような涙に暮れている時もあるその様子を思うと――親の心が...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第10話

ただし、それほどまでにこの浮世の未練をすっぱりと断ち切った身であるとはいえ、昔を懐かしむ情愛は当然のこととして、あまりにも悲しみのやり場がなくて、私を恨んでいるのではないかと見えたものだから、先ほどはあんなふうに少し厳しい言葉をかけてしまっ...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第9話

同じ悟りを目指す大切な友、浄土へ向かう旅の仲間、仏縁をこの世で結ぶなら今しかない、声をかけるなら今だ!と思い切って、数珠を擦る音に似せた声で、ふと自分の抑えきれない涙があふれ出てきて詠んだ歌の調子はいいかどうか分からないけれど、西行は思わず...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第8話

さまざまな色とりどりに美しい花を咲かせていたあの野辺も、結局は同じように霜枯れてしまったではないか」あぁ、私たち人間も最後にはこの草と同じようになるのだ。男性だの女性だの、美しいだの醜いだのといった違いなど全くなく、みんな同じように霜枯れて...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第7話

北風は暖かく吹いて赤い雪が香り、瓦礫はまばゆい光を放ち、目の見えない井戸からは美味しいお酒が噴き出し、蝶は声を上げて夜遅くまで愛し合う歌を詠む。耳の聞こえない者はよく聞き、目の見えない者はよく見える。剣や槍も折り取って食べてしまい、大きな釜...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第6話

要するに、恨む相手と親しい相手という二つの区別は、どちらも空に浮かぶ花のような仮の姿であり、怒りも喜びもどちらも幻のようなものなのです。雪だと思って見たら桜の花が乱れ散っていたという春の夜の月に照らされた景色が、本当の月ではないのと同じです...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第5話

宝石をちりばめた木の下に、花が隙間なく降り積もるような極楽浄土でお迎えするのを心待ちにしていらっしゃるとお聞きした頃は、寂然や俊成などとも、そのありがたいご意志を語り合い、どれほど喜ばしく思ったことでしょうか。しかし、納経のご希望が叶えられ...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第4話

それでもなお、お経を小さな声でブツブツと途切れなく唱え続けていくと、自分の声は意味不明な暗闇の中に吸い込まれて消えていくようでもあり、かと思えばしっかりと存在しているようでもあり、空の彼方に隠れたかと思えば、またふたたび何処ともなくぽっかり...
二日物語

初級翻訳・二日物語 第3話

どうしたものかと判断もつかないでいるうちに、雲や霧が自然とスーッと消えていくと、岩の角の苔や、木の生えている姿は、さきほどと変わらず目の前にくっきりと現れ、遮るものは何もなくなった。ただ、冬の日の暮れるのが早いせいで、太陽はすでに彼方の峰の...
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