ちいさこべ

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初級翻訳・ちいさこべ 第13話

「あの人だって、棟梁が好きなのよ」「おい、よく聞け」と茂次はまた言いました。「俺はおゆうさんが好きだ。けれども、女房にするということと、好きだということは別だ。それとも……ああ、面倒くせえ」彼はじれったそうに立ち上がると、布団の上へ行って仰...
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初級翻訳・ちいさこべ 第12話

以前、茂次に言われたことがあったので、彼には何も告げていませんでしたが、少し前から時折そんなことがあったのです。おりつが寝床に入ってしばらくすると、誰かがそっと廊下を忍んで来て、障子の外から中の様子をうかがっているらしいのです。すぐにまた忍...
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初級翻訳・ちいさこべ 第11話

それとも忘れているんなら、おれが思い出させてやってもいいぜ。どうだ、そんなことは一度もなかったか」徳二郎はむっとしてやり返した。「それとこれとは話が違うだろう」「たしかに違う」と茂次がうなずいた。「おれたちには親もあり家もあった。だから一度...
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初級翻訳・ちいさこべ 第10話

それじゃあ、お父さんやおっ母さんに対してあまりにひどいじゃないの」おりつはまた前掛けで顔を覆い、肩を震わせて泣きじゃくりました。茂次は頭を垂れ、しばらくおりつのすすり泣く声を聞いていました。「これだけは黙っているつもりだったが、言っちまおう...
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初級翻訳・ちいさこべ 第9話

高輪やあべ川町に肩代わりしてもらい、まずひと落ち着きしてからのことにしただろう。けれども――留守のお前たちは、大留を立て直す一心で請け負った。その気持ちがわかるから、無理だとは思ったが何も言わなかったんだ」三人は頭を垂れました。「これこれの...
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初級翻訳・ちいさこべ 第8話

茂次もおりつのその身のこなしを見て、逆にハッとして、「もういい」と顔を背けました。「ああ、びっくりした」とおりつが言いました。「怖い声。叩かれるかと思っちゃった」「つまらないことを」「小さいとき、叩かれたことがあるんですもの」「つまらないこ...
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初級翻訳・ちいさこべ 第7話

お蚕がしたかったので、『こ』を集めてこいっておっしゃったら、その人はよその子をうんとこさ集めてきたのよ。それで天皇が笑って、『ちいさこべのすがる』っていう名をお付けになったんですって。そうでしょ?」とおりつは言いました。「だからここのうちも...
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初級翻訳・ちいさこべ 第6話

「途中まで聞いて、捕まってどこかへ連れて行かれると思ったんでしょう。少し前に五人で逃げたんですって」茂次は奥へと走っていきました。おりつが続き、おゆうもやって来ました。行ってみると、勝手口の外に子供が八人、お互いに寄りかたまって、怯えたよう...
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初級翻訳・ちいさこべ 第5話

七兵衛は「こんなものは受け取れない」と言いましたが、茂次も「それなら金は借りない」と言い張り、ついに七兵衛が折れました。岩井町へ帰った茂次が、助二郎にお金を渡し、大六が来るのを待っていると、福田屋の久兵衛と町内の頭である勘助が、町方同心の中...
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初級翻訳・ちいさこべ 第4話

小さいころは痩せた小柄な体つきで、色は浅黒く、目が大きかった。類稀な勝ち気さで、男の子とよく取っ組み合いの喧嘩をし、多くの場合、おりつが勝った。負けても泣くようなことはなく、涙をこぼしながらも歯を食いしばっている、そんな子だった。――炭屋の...
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