神西 清

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神西 清

初級翻訳・青いポアン 第7話

彼女は洗面台へ手を洗いに立ちました。水の音を聞くと、村瀬はむっくりと半身をもたげました。彼女には手を清める暇さえありませんでした。――何ですか。どうするつもりなの。動いてはいけません。「あれを、あれを取ってちょうだい」村瀬は歯を食いしばりな...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第6話

明子はこの二つの花が、まるで彼女自身の許しを得て開いたもののように感じました。彼女の許しなしには、咲く機会などなかったはずの菊の花なのです。せっかくこれほど麗しく花開いた菊を、今さらどこへ置こうかと迷いました。敗北の感情も、憎悪の感情も、ど...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第5話

劉子の美しい顔が、音もなく彼の腕の中で意識を失っていきました。次いで伊曾は、自分自身の首を切り裂いたのです。失踪した村瀬と明子は、三ノ宮駅で家からの追手に発見されました。彼らは色を失った宝石のようでした。二人は別々の列車で東京へ連れ帰されま...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第4話

すべては、曇った日の白っぽい光に似ていました。彼女の心の内側にあったはずの脂分は、すっかり枯れ果ててしまったかのように見えました。明子は、永遠に未完成な母親として取り残されたのです。お腹の皮膚は、やはり薄いまま残りました。それは、あまりに悲...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第3話

「それ? まあ、半分半分なの。本当を言うと、それは私の体なんです」伊曾は少女の顔を凝視していました。明子の顔はこのとき一層青ざめて見え、その目はまるで睨むように彼を見返していました。明らかな反抗がそこに見られました。「僕もそうだろうと思った...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第2話

しかし、間もなく一つの奇跡が起こり始めました。その障害があるからこそ、伊曾はかえって劉子に強く惹かれるのを感じ始めたのです。劉子にとって、その性的不具は、ある種の完成形のように見えました。本当に、劉子は驚くべき完成された存在でした。彼女は柔...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第1話

第一部 明子は学校で、「ポアン」というあだ名で呼ばれていました。 ポアンとは、点のこと。そして、チクリと刺す痛みのことでもあります。 同時にそれが、「ポアント(尖った鋭い先端)」という意味も含んでいることを、クラスの仲間たちはみんな暗黙のう...
かもめ

初級翻訳・かもめ 第23話

アルカージナ (おびえた声で)いったい何の音かしら!?ドールン (落ち着いた様子で)なあに、心配いらないよ。きっと僕の薬カバンの中で、何か薬の瓶でも破裂したんだろう。なんともないさ。(そのまま右手のドアから出ていき、半分ほどの時間が経ってか...
かもめ

初級翻訳・かもめ 第22話

そ、そうよ!(隣の部屋から聞こえてきたアルカージナとトリゴーリンの笑い声に気づき、ピクリと耳を澄ませてから、左手のドアへ急いで駆け寄り、鍵穴からそっと中をのぞき込む)あの人も来ているんだわ……(トレープレフのそばへ戻りながら)ふん、そう。…...
かもめ

初級翻訳・かもめ 第21話

ところがおれは、ふるえがちの光だとか、静かな星のまたたきだとか、しんとした匂やかな空気のなかに消えてゆくピアノの遠音だとか……いや、こいつは堪らん。(間)そう、おれはだんだんわかりかけてきたが、問題は形式が古いの新しいのということじゃなくて...
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