火の鳥

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太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第17話

毎日毎日、食べていくためだけに必死で、借金を返すことばかり考えて……。何が正しいか分かっていても、どうしてもそっちへ行けなくて、流されるままに生きてきたの。そうしているうちに、いつの間にか世の中から『ダメな人間だ』っていうレッテルを貼られて...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第16話

そのまま、高須を入り口から連れ出し、廊下の隅まで何も言わずにグイグイと押し戻したのです。「まあ、ごめんなさいね」と言ったのは、ほっそりとした姿の女性でした。目が大きくて、鼻筋が通った、どこか寂しげな顔立ちをしています。黒いドレスがとてもよく...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第15話

君にはハッキリした目的があって、どうしてもやり遂げたいという強い願いがあって、そして、ちゃんとかしこい具体的な計画があるから東京へ出てきたんだと、そう思っていたんだ。それなのに、どうだ。八重田数枝さんのところに転がり込んで、そのまま何もしな...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第14話

町の人たちの笑いものになっていましたし、息子の朝太郎(あさたろう)は、その頃まだ東京の大学に入ったばかりでしたが、私はあまりに困り果てて、朝太郎に手紙で事情をすべて知らせてしまったのです。その時の朝太郎は、本当に立派でした。すぐに東京から駆...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第13話

「あなたではありません」「僕だ」隆哉は横からひったくるようにして受け取り、顔をしかめながら開いて見ました。紙ナプキンに、色鉛筆でくっきりとはっきり書かれていました。――さっき、私の舞台に向かって、すごく大きな舌打ちをして、そのままさっさと廊...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第12話

でも、あれからもう一年がたって、私たちもその時のことを、少し楽な気持ちで思い出せるようになったわ……」(ここで、舞台の時計がボーン、ボーンと十二時を打ちます)ゆっくりと響く舞台の時計の音を聞いているうちに、隆哉は急にソワソワして、あたりをキ...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第11話

ありのままの自分に、体一つに、ちゃんと自信を持っていてくれたら、それだけで女の子はどんなに嬉しいか分からないわ。お互いにちょっとした勘違いのせいで、男の人も女の人も、ずいぶんおかしなことになっちゃっているのね。もう、もどかしくて仕方がないわ...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第10話

数枝は、最初からあの歴史の先生のことが好きだったんでしょう?」「このお転婆!」女二人は、お腹を押さえて笑い転げました。「もう帰らない昔のことだよ」照れ隠しに、数枝はわざと乱暴な言葉を使って言いました。「どうも、なんだかね。あたしたち、男運が...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第9話

とにかくお昼の十二時に、雪が溶けてドロドロになった道を苦労しながら歩いて戸山が原にたどり着くと、ちょうどその時、シャツ一枚の姿になった三木朝太郎が、助七のすごい力で投げ飛ばされて、空中でくるりと一回転しているところだったのです。さちよは、そ...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第8話

その席で、三木がうっかり、東北の山奥の温泉宿での出来事について口を滑らせてしまいました。さちよの様子について、ちらりと話してしまったのです。そのあと、「おい、さちよはどこにいるんだ!」と助七が言いました。「知らないよ」と三木は答えました。「...
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