寺田 寅彦

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寺田 寅彦

初級翻訳・電車と風呂 第2話

モーターの速く、規律正しい回転から生まれる音の中には、かなり純粋な音もいくつかあるのです。しかし、電車の中で歌いたくなる人というのは、あまりいそうにありません。たとえ鉄道のルールがそれを許したとしても、また、変わり者が二、三人やって見本を示...
寺田 寅彦

初級翻訳・電車と風呂 第1話

電車の中で、周りに乗っている人たちの顔を何気なく見渡してみると、気持ちが明るくなるような、いい顔をしている人はめったに見当たりません。顔色が悪いとか、目や鼻の形がどうだとかいう以前に、顔全体から漂う雰囲気が、十中八九、なんだか不愉快なものな...
寺田 寅彦

初級翻訳・重兵衛さんの一家 第4話

のぞき見をしていた女性たちの目には、その仲睦まじい光景が、まるで何かとんでもない悪いことでもしている現場を押さえたかのように、とにかく笑いものにすべき、あるいはバカにすべきこととして扱われているようでした。 しかし、当時の自分にはその光景が...
寺田 寅彦

初級翻訳・重兵衛さんの一家 第3話

草原の草と草を結び合わせて通りかかった人をびっくりさせて転ばせたり、田んぼ道に小さな落とし穴を作って人をはまらせたり、夏の暗い夜に道の上の牛のフンの上にピカピカ光るホタルの虫を乗せておいたり、道端にサツマイモの葉っぱをかぶせた提灯(ちょうち...
寺田 寅彦

初級翻訳・重兵衛さんの一家 第2話

ところが、いくらねじってもねじっても、終わりがないようにどこまでもどこまでもねじれていくのでした。その時、ちょうどそこから一キロ(十町)ほど下流の河口を船で通りかかった人が、何だか水面でボチャボチャと音がするなと思ってよく見てみると、なんと...
寺田 寅彦

初級翻訳・重兵衛さんの一家 第1話

明治十四年(1881年)、ぼくがまだ四歳だった冬のことです。お父さんが名古屋の部隊から熊本の部隊へお仕事が変わることになって、おばあちゃんとお母さんと、お姉ちゃんとぼくの四人で、故郷の家に戻って落ち着きました。お父さんだけは一人で熊本へ出か...
寺田 寅彦

初級翻訳・解かれた象 第2話

ところが今回のお話の場合だと、ゾウが人間の言うことを聞かないので人間が怒り、それに対してゾウも怒ったわけですが、その人間が仲間の人間たちにこのときの出来事を話して聞かせるとき、どうしても「ゾウが怒って大暴れした事実」ばかりを大げさに話してし...
寺田 寅彦

初級翻訳・解かれた象 第1話

上野動物園にいたゾウさんが、浅草の花屋敷(いまの花やしき)にお引越しをして、なんと何十年ものあいだ足につけられていた重い鎖をはずしてもらい、ひさしぶりに檻の中で「のそのそ」とお散歩している……というニュースを聞きました。そのお話を聞くだけで...
寺田 寅彦

初級翻訳・蜂が団子をこしらえる話 第2話

二、三分もすると、ハチは急に飛び上がり、水平に投げるようにして隣の家の屋根すれすれを越えて、見えなくなってしまいました。ぼくは、毛虫にこんな強力な敵がいるとは全く知らなかったので、目の前で起こったこの出来事から、かなり強い印象を受けました。...
寺田 寅彦

初級翻訳・蜂が団子をこしらえる話 第1話

ぼくの家の庭に生えている植物たちは、毎年いろんな害虫たちのせいで、ひどい目にあわされています。せっかくきれいにそろって生えてきた若い葉っぱが、いつの間にか悪い昆虫たちにむしゃむしゃと食い荒らされてしまうのです。なかでも一番ひどい被害を受ける...
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