有島 武郎

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有島 武郎

初級翻訳・碁石を呑んだ八っちゃん 第3話

……あのね、お兄ちゃんがね」と言って僕のほうを見つめたけれど、僕がまだシクシク泣いているのに気づくと、「まあ、お兄ちゃんも弱虫ねえ」言いながら、お母さんもなんだか泣き出しそうになられた。それなのに、僕の前では「泣いてなんかいないよ」という顔...
有島 武郎

初級翻訳・碁石を呑んだ八っちゃん 第2話

お口を開けてごらんなさい。お口ですよ。こっちを、明るい方を向いて……ああ、碁石を呑んだんじゃないの!」そう言うと、握り拳を固めて、八っちゃんの背中を続けざまにたたきつけた。「さあ、かーっと言って吐き出しなさい……それ、もう一度……どうしよう...
有島 武郎

初級翻訳・碁石を呑んだ八っちゃん 第1話

八っちゃんが、黒い石も白い石もぜんぶ自分で両手にかき集めて、自分の股の下に隠そうとしたから、僕は怒って言ったんだ。「八っちゃん、それは僕のなんだよ!」そう言っても、八っちゃんは目をクリクリさせるだけで、僕の石までひったくり続けるから、僕は気...
有島 武郎

初級翻訳・燕と王子 第4話

燕は目をきょろきょろと動かしながら、何度も羽を組み直して首をキュッと縮めてみましたが、どうにも我慢できないほどの寒さで、なかなか眠れません。うとうともできないまま、東の空がぼんやりと薄紫色になったころに外を見てみると、屋根の上には一面に真っ...
有島 武郎

初級翻訳・燕と王子 第3話

「燕、おまえは本当に親切もので、この寒いのもいとわずよく働いてくれた。だが、私にはもう人にやるものがなくなってしまって、こんなみにくい体になってしまったから、さぞやおまえも私といっしょにいるのがいやになっただろう。もうお帰り、寒くなったし、...
有島 武郎

初級翻訳・燕と王子 第2話

つばめは、まだこんな立派な方から直接声をかけられたことがなかったので、うれしくて胸をどきどきさせながら、「それはお安いご用です! 何でもいたしますから、どうぞご遠慮なくおっしゃってくださいまし」とお返事をしました。王子はしばらく考えておられ...
有島 武郎

初級翻訳・燕と王子 第1話

つばめという鳥は、きまった家を持たずにあちらこちらへ飛びまわり、あたたかい場所をさがして大いそぎでお引越しをする鳥です。ちょうど今は日本があたたかい季節ですから、外に出て空を見上げてごらんなさい。背中の羽はむらさき色がかった黒で、おなかは真...
有島 武郎

初級翻訳・火事とポチ 第4話

ぼくも、とうとう悲しみがこらえきれなくなって、むやみに泣きだしてしまった。ぼくたちは、お手伝いさんに連れられて家に帰ってきた。「まあ、あなたたちはどこをうろついていたの。ごはんも食べないで……。それに、三人ともそんなに泣いて……」お母さんは...
有島 武郎

初級翻訳・火事とポチ 第3話

半分こげたり、水でびしょぬれになったりした荷物と一緒に、ぼくたち家族六人は、小さな離れで暮らすことになったんだ。ごはんは、朝・昼・晩の三食とも、官舎(かんしゃ)の人たちが作って持ってきてくれたよ。その、あつあつの「おにぎり」が、もう最高にお...
有島 武郎

初級翻訳・火事とポチ 第2話

立ち止まって自分の体を見てみると、ブルブルと震えが止まらない。ひざとお辞儀をするみたいにガタガタ震えて、あごまでガチガチと音を立てそうなくらいだった。急に、お家が恋しくなったんだ。おばあちゃんも、お父さんも、お母さんも、それに妹や弟たちはど...
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