田畑 修一郎

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田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第10話

「この辺りの場所から思いきって飛び降りたら、いったいどの辺りに落ちるんだろう?」そんなふうに想像して、頭の中で落ちる場所を見当をつけてみると、見下ろしたあたりはどこも一面、ゴロゴロとした鋭い岩ばかりでした。手足の折れたお人形さんのように、崖...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第9話

昌さんは隙を見つけてこっそり逃げ帰ろうとし、民さんはそれを絶対にさせまいと引き止めるのです。あげくの果てには取っ組み合いの大ゲンカになりました。民さんは小柄でしたが力は強いらしく、クルリと昌さんの足を引っかけて見事に倒すと、その上に馬乗りに...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第8話

しかも、いかにも嫌々といった様子で、めんどくさそうにするのです。もっとも、この「そうです」は彼の口癖みたいなもので、彼が何かといえば歌う歌、『恋し、恋し銀座の柳』という歌の後ろにも、「そうです。ええ、そうです」と必ず付け足すのでした。それに...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第7話

僕の目に映るお医者さんは、世間の悪いウワサとは裏腹に、どこかむやみに人見知りするような内気さと、お坊ちゃまとして育ったワガママっ子らしいところと、そして目立たない優しさが入り交じっていました。その一方で、子供の頃から東京で長い間教育を受けた...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第6話

信じていいものと、信じなくてもいいものの境界線がいっしょくたになってしまい、夢を見ているときと目を覚ましているときの感覚がまったく同じになってしまい、最後には自分の体を生きているという感覚さえも失われてしまったのです。そして、一番最悪なこと...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第5話

そうこうしているうちに戸がガラリと開き、お母さんらしい人が顔を出した様子でした。でも、怒られるどころか、何やら楽しそうに言葉を交わしています。「ああ、そうですか。お休みのところを起こしてしまってすみませんでしたね」と、「タイメイ」さんは妙に...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第4話

おかげですぐに娘たちは後ろへと遠ざかったけれど、「タイメイ」さんは時々後ろを振り返りながら、ふいにニヤニヤして僕の顔を見上げ、「阿古村っていうところは、村の娘たちが宿屋へ遊びに来るんですよ」と言ったのだった。やがてその辺りは、丘陵のしわが入...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第3話

その二日後の朝、僕はすっかり見違えるような背広服に、上下で色の違うズボン姿のタイメイさん(その中には、中島泰明という、先日とはまた違ったキリッとした一人の男の顔がありました)といっしょに、島めぐりに出かけたのでした。神着(かみつき)の集落を...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第2話

「誰でもいいさ」「何しに来た」「遊びに来た」「遊びに?――島へ遊びになんか来られちゃ困るんだ」僕は思わず彼の顔をまじまじと見つめました。たしかに、言う通りかもしれません。僕は適当に「遊びに来た」と答えたけれど、あの男に怒られたみたいに、僕の...
田畑 修一郎

初級翻訳・石ころ路 第1話

島に着いた翌日から、ものすごい強い風が吹きはじめて、それから三日ものあいだ、ビュービューと荒れ狂ったんだ。雨もときどき混ざってきたけれど、何よりも風の強さには本当にびっくりさせられた。島の人に聞いてみたら、こんな風なんていつものことだよ、と...
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