野村 胡堂

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野村 胡堂

初級翻訳・青い眼鏡 第5話

「おい、島君」声だけは以前の宇佐美六郎のままの花房一郎が、ずかずかと進み出て、後ろ手に縛られた大谷千尋の肩に手を置きながら言いました。「このゲームは、私の勝ちのようだな」わだかまりもなく言い放ち、相手の顔を横から覗き込みます。「今のところで...
野村 胡堂

初級翻訳・青い眼鏡 第4話

「あっ、ちょっとその灯りを、少しだけ――」「電車が来ましたよ! どいたどいた!」信号手はけんもほろろに信号灯を取り上げると、花房一郎から遠ざけ、夜の街を猛獣のように走ってくる電車に向かって振りました。「赤い光だ、赤い光を!」辺りを見回すと、...
野村 胡堂

初級翻訳・青い眼鏡 第3話

もう一息というところで足踏みしているのです」「大谷千尋の正体を突き止めたのですね」「見当は間違っていないつもりですが、あくまで私の推測で、証拠というものが一つもないのです」「フーム……」一人は富田刑事部長、もう一人は言うまでもなく、宇佐美六...
野村 胡堂

初級翻訳・青い眼鏡 第2話

花房一郎にも準備が必要なんだ」「準備? それは一体何年かかるんですか? 昨年の夏から銀行襲撃は三件、命を失った人間は五人、それに四、五日前に明らかな大谷千尋の犯行で殺された印刷屋の主人を合わせると、もう六人になります。これだけ犠牲者が出てい...
野村 胡堂

初級翻訳・青い眼鏡 第1話

一「あら、皆さんお揃いね。よかったわ」 孔雀のように優雅で、どこか浮世離れした雰囲気の女性が、クラブの食堂に現れました。 村岡柳子(むらおか りゅうこ)。今は有名な美容家として、派手でどこか怪しげな生活を送っていますが、かつては外交官の夫人...
水中の宮殿

初級翻訳・水中の宮殿 第10話

健一と綾子と燿子は、引きずるようにして二人の男を隧道の外へ出しました。夜の新鮮な空気に当てて少し介抱すると、幸い正気だけは戻ったので、見張りの人夫に担がせて、とにかく小屋まで運び込んだのは、もう夜の十時近かったでしょう。「いや、翠川君、言葉...
水中の宮殿

初級翻訳・水中の宮殿 第9話

父が新たに出資して、綾子さんを支えているのです。株式会社というわけでもありませんから、出資も事業の継続も自由なはずだと聞いております」「翠川氏が? なんという馬鹿なことに手を出したものだ」唐崎荘之介はプリプリと怒りましたが、翠川健太郎といえ...
水中の宮殿

初級翻訳・水中の宮殿 第8話

生きるも死ぬも一緒だ」「お兄様!」「燿ちゃんは左から、綾子さんは右から、僕のベルトを掴むんだ。絶対に手を離してはならないぞ。――そして、できるだけ底の方を潜るんだ。水は隧道の天井すれすれまで来ているから、天井に吸い寄せられたら大変だぞ」「大...
水中の宮殿

初級翻訳・水中の宮殿 第7話

あわてさえしなければ、この少女の優れた頭脳は、難関を切り開く鍵となるはずです。「そう言えば、ここへは水が来そうもないね」と健一。「隧道の入り口からは、元の通り入っているでしょう。きっとどこかへ水が抜けるんだわ」 燿子は懐中電灯を振り照らして...
水中の宮殿

初級翻訳・水中の宮殿 第6話

念のために鶴嘴(つるはし)で二つ三つ叩いてみたら、ポコリと大きな穴が開いてね」「えっ」「覗いてみると、立派な隧道(トンネル)だよ。中は石で丁寧に畳み上げてある。宝庫の入り口かもしれないと思ったから、大急ぎで穴を塞いで帰ってきたんだ。何しろ、...
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