海の使者

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泉 鏡花

初級翻訳・海の使者 第3話

この橋は少し高いので、船に乗っているような心地がして、まずは胸をなでおろしたが、振り返ると、もうこちらも袂まで潮が来ていて、クラゲがひたひたと詰め寄せていた。が、さすがに、ぶくぶくとそこで留まった。そして、泡が呼吸をするような仇(あだ)っぽ...
泉 鏡花

初級翻訳・海の使者 第2話

真夏などは、潮が引いている短いあいだにすっかり乾ききって、壁のように固まり、稲妻のようなひび割れが入ることもある。そこへ一潮(ひとしお)、田越川から水が上がってくると、じゅうっと水がしみ込み、ひび割れからぶつぶつと泡が立って、やがて満々と水...
泉 鏡花

初級翻訳・海の使者 第1話

上 なんとなく、裏手の小川にかかる小さな橋を、向こう岸のヨシ原へ渡りかけようとして、思わず足を止めた。ふと、鳥の鳴き声がする。……いかにもやさしく、かわいらしい声で、「きりきり、きりりりり」と響く。その声は、すぐ耳のすぐそばで聞こえた。だが...
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