初級翻訳・海の使者 第3話

泉 鏡花

この橋は少し高いので、船に乗っているような心地がして、まずは胸をなでおろしたが、振り返ると、もうこちらも袂まで潮が来ていて、クラゲがひたひたと詰め寄せていた。
が、さすがに、ぶくぶくとそこで留まった。そして、泡が呼吸をするような仇(あだ)っぽい光で、

(さっさっさっ。
しゅっしゅっ、
 さっ、さっ!)

と、引きずるような声で、水を押し上げようと努力する気勢を見せる。
玄武寺の頂にある、砥石のような岩の面に、月影がさっと差した。

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