姫たちばな

スポンサーリンク
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第9話

子供というものは、死ぬまで親が面倒を見てやらなければならないのだと、今ようやく思い知りました。」基経は、三人並べて墓石を建てる件について二人の父親に相談しました。和泉の国の人々は翌日、和泉の国の清らかな土を船で運び、その船は生田川の岸辺に早...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第8話

しかも、その夢みるように潤んだ瞳の奥には、人間がどうしても譲れない強い決意を固めた時にだけ立ちのぼる、圧倒的な蒼白さが宿っていたのです。その夜、橘はいつになく入念に化粧を施し、晴れやかな顔で夕餉の高膳に向かいました。基経には、娘がなぜそこま...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第7話

自分も死にかけている、和泉の人はもう息を引き取っているだろうと思ったが、もし生きられるものならもう一度生きてみたいものだと、ようやくほのかな希望が心に芽生え出しました。それは、まるで予想もしていなかった突然の思いつきでした。もし生きられたら...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第6話

ついに、そのカイツブリは二度と同じ水面には浮かんで来ませんでした。和泉の若者が、怒りに任せて詰め寄りました。「貴様の矢があせったからだ! なぜ合図よりも早く射ったのだ!」「何を言う、同時に射たわ!」「貴様の矢が先に水を打って鳥を驚かせたこと...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第5話

」それは、「どうぞお射ちくださいました」という心からの安堵の表れでした。どちらか一方が負けてしまえば、父の手前とても悲しくなってしまうところでしたが、お二人とも全く劣らない見事な腕前を示してくださったことに対し、何にたとえてこの嬉しさを申し...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第4話

自分自身でさえこれほど困惑しているのだから、若い女性である橘姫はもっと複雑な気持ちに違いないと、基経は何度も娘の方を振り返りました。その時の橘姫は、野原の明るい陽射しの中で一段とまばゆいばかりの目鼻立ちを際立たせており、これが本当に自分の娘...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第3話

彼らはまず鼻先で「ふん」と笑い、肩を揺すぶりながら、腰の太刀に手をかけ、「本当にバカバカしい」という顔つきをしながら、同じ道を往復するうちに、たまにすれ違うこともありました。お互いの心を突き刺すような冷たい笑みが、ときどき口から漏れることも...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第2話

ただ、橘自身の気持ちとしては、最初はなんだかそわそわするような浮き浮きした嬉しさばかりが先立っていたものの、だんだんと「いったいこの二人はどうなってしまうのだろう」「どうすれば自分の立場がきちんとするのだろう」と、そんな重たい気持ちが一日ず...
姫たちばな

初級翻訳・姫たちばな 第1話

はじめのうちは、橘(たちばな)もなんだか嬉しかったのです。なにごともない、ただ子どもっぽかった日々とちがって、一日一日が増えていくような気がする毎日が、これまでの人生とくらべて、すっかり自分のために用意されているように感じられたからです。そ...
スポンサーリンク