人魚の祠

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人魚の祠

初級翻訳・人魚の祠 第4話

「沈んだ船だ――」と、私は思わず声を張り上げてしまいました。ためらう間もなく、陰気な水音が、ドブンと響き渡りました…… しかし、彼女は見事に泳いでいくのです。美しい肉体の背筋を上手に使って、左右へと水をかき分けて進むその姿は、まるで軽い薄絹...
人魚の祠

初級翻訳・人魚の祠 第3話

現に、私が通りがかりに沼のほとりの小さな祠(ほこら)を指して、『あれはどなたの神様でしょう。』と尋ねたときに、『道の神様だよ。』と言って教えてくれたのです。いまその祠は、沼に向かって草に休む背後の、なだらかな道端の小高くなった小さな森の前に...
人魚の祠

初級翻訳・人魚の祠 第2話

…… 小さな沼では、河骨(こうほね)の黄色の花が点々と咲く中を、子どもがいたずらに猫を乗せた盥(たらい)をこいでいる。大きな沼では、岸辺の葦(あし)を積んだ船が、竿をさして波を分けて進んでいく。千葉、埼玉、あの大きな川の流域をたどる旅人は、...
人魚の祠

初級翻訳・人魚の祠 第1話

一「いまの、あの女の人が抱いていた赤ちゃんですが、鯉か、すっぽんなんじゃないかと気になってしかたないんですよ。」「…………」 私は、だまって工学士の顔を見た。「まさかとは思いますがね。」 赤坂の見附(みつけ)に近い、ぽつんと一件だけある喫茶...
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