有島 武郎

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有島 武郎

初級翻訳・火事とポチ 第1話

愛犬のポチが激しく吠える声で、ぼくはパッと目を覚ました。ものすごく眠たかったから、「もう、うるさいなあ」と怒る暇もなかった。だって、真っ赤な火が目に飛び込んできたんだ。びっくりして両目をこすってパッチリ開けてみたら、なんと戸棚の中が火の海に...
僕の帽子のお話

初級翻訳・僕の帽子のお話 第3話

ついに帽子のところまで来ました。僕は力いっぱい帽子を掴みました。帽子が「痛い!」と言いました。その拍子に、帽子が天の釘から外れたのか、僕は帽子を掴んだまま、まっさかさまに下の方へと落ち始めました。どこまでも、どこまでも。もう草原に足がつきそ...
僕の帽子のお話

初級翻訳・僕の帽子のお話 第2話

帽子が――その時はもう学校の正門のところまで来ていましたが――急に立ち止まって、こっちを振り向いて、「やあい、追いつかれるものなら、追いついてみろよ」と言いました。確かに帽子がそう言ったのです。それを聞くと、僕は「負けるもんか!」と闘志がわ...
僕の帽子のお話

初級翻訳・僕の帽子のお話 第1話

僕の帽子は、お父さんが東京へ行った時にお土産として買ってきてくれたものです。値段は二円八十銭もして、形はかっこいいし、生地もすごく上等なんです。お父さんからは「大切にしなさいよ」と言われていました。僕もこの帽子が大好きだから、宝物みたいに大...
有島 武郎

初級翻訳・溺れかけた兄妹 第3話

若者はようやく立ち上がると体を拭いて帰ろうとしましたが、おばあ様が強く頼んだので、黙ったまま私たちのあとについてきました。家に着くと、もう妹のために布団が敷いてありました。妹は寝巻きに着替えさせられて寝かされると、すっかり夢中になってしまっ...
有島 武郎

初級翻訳・溺れかけた兄妹 第2話

Mは毎年学校の水泳部に行っていたので、とにかく普通に泳ぐことはできましたが、私は横泳ぎを少しと、水面に仰向けに浮くことを覚えたばかり。妹に至っては、ビート板を離してやっと二、三メートル泳げるようになったばかりなのです。見てください。私たちは...
有島 武郎

初級翻訳・溺れかけた兄妹 第1話

「土用波(どようなみ)」という、風もないのに海岸へ激しく打ち寄せる高い波がやってくる時期になると、海水浴に来ていた都会の人たちも、少しずつ別荘を片付けて帰り支度を始めるようになります。それまでは、砂の上も海の中も、朝から晩までたくさんの人で...
一房の葡萄

初級翻訳・一房の葡萄 第3話

ジムはもう、あなたから謝ってもらわなくてもいいと言っています。二人はこれからいいお友達になればいいのです。二人とも、仲良く握手をしなさい」それでも僕は、あまりにも自分勝手なことをしてしまったという恥ずかしさで、もじもじしてしまいました。する...
一房の葡萄

初級翻訳・一房の葡萄 第2話

「僕は昼休みの前に、ちゃんと絵の具箱を調べておいたんだ。一つもなくなっていなかった。それが、昼休みが終わったら二つなくなっていたんだ。休み時間に教室にいたのは、君だけじゃないか。」僕は「もうダメだ」と思った瞬間、頭に血が上って、顔が真っ赤に...
一房の葡萄

初級翻訳・一房の葡萄 第1話

一 僕は小さい頃、絵を描くのが大好きでした。僕が通っていた学校は横浜の山の手という場所にありましたが、周りは外国の人たちばかりが住んでいる町で、学校の先生もみんな外国人でした。学校へ行く道の途中には、ホテルや外国の会社がずらりと並ぶ海岸通を...
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