鈴木 行三

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塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第28話

五八は「旦那様は、己の家から見てどういう関係にあたりますか」と尋ねました。太左衛門は「馬鹿野郎! 何年奉公しているんだ。そんなことも知らねえのか。亡くなった角右衛門殿の甥といえば、俺一人しかいねえだろう」と返しました。五八は「それじゃあ、己...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第27話

口説いてもダメなら、どこか寂しいところで押し倒してやろうか」そう考えた途端、夕立が降ってきて、ガラガラと雷が鳴り響くのです。「ああ、悪いことをした。やめよう」と気づけば、元のような晴れ晴れとした月夜に戻ります。また、向かいの鰻屋でパタパタと...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第26話

ああ、青、青……」多助は、まるで人間の兄弟や奉公人に語りかけるように馬に言い聞かせ、その顔を撫で回しました。あまりの辛さに、多助は袖で顔を覆って、おいおいと泣き出しました。すると、多助の真心が馬にも伝わったのでしょうか。馬も名残を惜しむかの...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第25話

多助は日々その「青」という馬を引いて山坂を歩いていましたが、田舎では「月待・日待」といって、十五夜や二十三夜などには村の若い者たちが皆で集まって遊ぶ習慣があります。多助も二十一歳の若者ですから、本当は遊びたい盛りです。しかし、他の人が遊んで...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第24話

「黙れ、おえい! お母さんには何を言われても、これまで一度だって言い返したことはない。だが、汝(おまえ)まで同じように『圓次を殺した』だの『お作と訳がある』だの、身に覚えのないことを理由にして離縁を迫るのか! 父上の遺言を忘れたか? 『従弟...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第23話

圓次どんは先へ帰ったはずですよ」老婆「圓次はまだ帰ってこないよ。どこかで寄り道でもしているのかねえ」多助「俺より随分と先に出たはずなんだけど……」老婆「後から帰ってくるのかもしれないね。まあ、お茶でも一杯飲みなさい。多助さん、村の者たちが皆...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第22話

「ああ、ご苦労だが、これから秋口は用事が多いから、すぐに小麦を積んで行ってきておくれ。また雨が降るといけないから、桐油を掛けて行きな。あの新しい方がいいよ」そう言われて、多助は「はい」と答えながら、引き慣れた「あお」という馬を引いて御城下の...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第21話

「まだ色事をしたというわけでもないのだから、穏便に済ませれば世間にも知られずに済むだろうに」おかめは言い返します。「いけませんよ。馬鹿馬鹿しい。あまりに不人情だなんて、お前さん、早く離縁状を書かせてくださいましよ。書かせてくださらなければ、...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第20話

「これはお作が私に送った手紙のようですが、こんな手紙があったなんて……困った奴だなあ。まあ、お母さん。私にこの手紙が届いたのかは知りませんが、私自身には全く覚えがありません。どうしてあなたがこの手紙を持っているんですか?」すると、おえいが口...
塩原多助一代記

初級翻訳・塩原多助一代記 第19話

とはいえ、どんなに人の好い男でも、自分の妻を他人に奪われて腹を立てない者はいません。多助も怒りのあまり、いっそこの家を飛び出してしまおうかとも考えました。しかし、「いや、自分がこの家を出れば、原丹治親子が間違いなくこの塩原の家に乗り込んでく...
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